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「私たちはもう出発済みなの~♡」私を置き去りにして家族旅行へ行った義母→私「よかったです!だって…」

海鮮が苦手な私に、わざと高級寿司を振る舞う義母。夫が不在の時を狙った嫌がらせは、日増しにエスカレートしていきました。

ついに義母は家族旅行の日程を私にだけ知らせず、仲間外れにしようと画策します。しかし、その完璧なはずの計画が、義母自身を奈落の底へ突き落とすことになるなんて……このときは誰も予想しませんでした。

「この間の集まりではごめんなさいね〜? あなた、海鮮苦手だったわよね? なのに私ったら……つい、うっかりお寿司なんて頼んじゃって」

 

夫が不在の昼下がり。義母は楽しそうに笑いながら、私に話しかけてきました。

 

「いえいえ! 全然大丈夫です! むしろおいしいお寿司、ごちそうさまでした!」

 

呆気にとられる義母をよそに、私はそのお寿司がどれほど素晴らしかったか、ネタもシャリも絶品で、苦手どころか大ファンになったことを話しました。あまりにもおいしかったのでお店にお礼の電話をしたところ、大将と意気投合し、今度魚のさばき方まで教えてもらう約束をした、ということまで興奮気味にまくし立てました。


さっきまでの楽しそうな雰囲気はどこへやら、義母は「な、何よ! 強がってんじゃないわよ!」と悔しそうに言いました。私が「そうだ! 今度一緒にお魚をさばきに行きませんか!?」と提案すると、「ふ、ふざけんじゃないわよ! なんで私があんたと!」と捨て台詞を吐いた義母。

 

そのまま席を立った義母の背中は、悔しさで震えているように見えました。

 

幾度となく繰り返される義母の嫌がらせ

その日の夜――。

 

親戚から話を聞いたらしい夫は、「この間、俺のいない集まりでお寿司が出たって……無理させたよな? 母さんがまた……俺がいない間に、本当にごめん!」と帰宅直後にもかかわらず謝ってきました。

 

心底申し訳なさそうに謝る夫に、私は「生もの苦手なはずだったんだけど……実は、おいしかったんだよねぇ。やっぱり高級なお寿司は違うわ」と笑いかけました。

 

「母さんのことだから、わざとに決まってるんだ。俺からもまた注意しておくから……」という夫に、「ありがとう、でもあんまり気に病まないでね。あなたがこうやって私の味方でいてくれるだけで十分満足だから」と返した私。夫のこのやさしさが、いつも私を守ってくれているのでした。

 

しかし、今回、夫が義母に注意したことにより、事態は悪化しました。翌日、なぜか義母がわが家に「ちょっと! あんた……本当に私のいびりに、何も思ってないの!?」と怒鳴り込んできたのです。

 

「えっ? まぁ……正直『懲りずによくやるな〜』って思うことはありますが……」と本音を話すと、義母は頭を抱えて「はあ!? なんなのよ! あんたには何も効かないし、息子には怒られるし!」と叫びました。

 

義母は、「息子は昔から私のことが大好きだったのに、あんたのせいで……!」と私に八つ当たりしてきます。夫にまた好かれたいなら、嫁いびりなんてやめればいいのに……。

 

ひとしきり喚いたあと、義母はふっと息を吐き、皮肉っぽい笑みを浮かべました。

 

「あんた本当に、何をしても楽しそうに笑ってるわよね。息子まであんたの味方をするし……」

 

そう言って、悔しそうに唇を噛み締めた義母。

 

「……いいわ。あなたのことを認めてあげる。今度の家族旅行、あなたも来なさいよ」

 

それは、毎年恒例の親族が集まる温泉旅行。今までは誘われたこともありませんでした。


「今までは『嫁にはまだ早い』って言ってたけど……特別に許してあげる」

 

そして、義母は「ふふふ……」と、含みのある笑い方をしました。

 

「楽しみにしていなさいよ? とっても楽しい家族旅行にしてあげるわ!」

 

 

知らされなかった本当の旅程

それから2カ月後――。

 

朝、義母から「あら、まさかまだ家にいるの? もうみんな集合してるのに」と電話がかかってきました。

 

「え……? ちょ、ちょっと待ってください! 旅行はたしか……来週の予定ですよね?」

 

私が聞かされていた旅行の日程は来週でした。しかし、義母はみんなもう集まっているというのです。

 

「あらやだ、なに言ってるの? 予定を早めたって連絡したじゃない」

 

そう言われましたが、メールも電話ももらっていません。

 

「あらあら、私ったら、うっかり連絡し忘れてたみたいね。あなたにだけ」

 

電話の向こうで、義母がくすくすと笑う気配がしました。


怒りを押しころして「……夫も欠席でいいんですか?」と尋ねると、 「もちろん、息子はもうこっちにいるわよ」とうれしそうな義母の声。

 

「朝早くから、『お父さんが倒れた』ってウソついて呼び出しておいたの♡ あわてて駆けつけてくれたから、こっちのもの♡ ギャーギャー騒いでるけど、もう出発してやったわ。これで、あんただけが仲間外れね」


どうりで、夫が朝ドタバタと出かけていったわけです。

 

「親族旅行に嫁だけ置いてけぼり! これにはさすがのあんたも悔しいでしょう? 温泉旅行に自分だけ行けないって、泣きたくなるんじゃないかしら?」と電話口で勝ち誇る義母。

 

「事前に日付を変更して出発済! あんたは留守番していなさい」

「それはよかったです!」
 

 

 

「私の欠席は、全然気にしないでください。だって……ぶっちゃけ、行きたくなかったので!」と明るく言うと、 「な、なに言ってるの!? 強がってんじゃないわよ!」と義母。

 

「いや、本気でそう思ってますけど? 夫や友だちとなら楽しいですけど、義両親や親戚と一緒にお泊まりって、正直しんどいですし。だから『堂々と欠席できる理由』ができて、むしろうれしいです!」「本当にありがとうございます。最高の気遣いです! あ、せっかくだし、私も近くの日帰り温泉にでも行こうかなぁ~」

 

あはは、と笑う私に、義母は度肝を抜かれたようでした。

 

「はあ!? な、なんなのよあんた! ちっとも平気だなんて……こんなの……!」


義母が電話の向こうで喚いています。それをぼーっと聞きながら、私はふと気になったことを口にしました。

 

「でも……それよりも、ひとつ気になることがあるんですけど……。キャンセル料って、大丈夫ですか?」

自業自得の二重払い

「え? キャンセル料ですって?」と義母。

 

義母の含み笑いが引っ掛かって、なにか裏があるんじゃないかと今回の旅行について詳しく調べていた私。宿泊予定の旅館のホームページを確認したところ、「即時決済が必要」「日程変更はキャンセル扱い」「再予約の場合は新規決済」と書かれていたのです。

 

「え? つまりどういうことよ?」といらだちを隠せない義母に、私は丁寧に説明してあげることにしました。

「……つまり、日程変更すると、前の予約分がキャンセル扱いになって、さらに新規予約分として今日からの旅行費用が発生するので……二重の支払いが発生するはずですが……」


「えええええ!? そ、そんなの聞いてないわよ!?」と叫んだ義母に、 「でも、そういうルールらしいですし。……ちなみにキャンセル料は100%だそうです!」と追い打ちをかけました。


口コミにも「うっかり変更すると全額パー」と書いてあったことを伝えると、義母は完全にパニック状態でした。

 

「う、嘘でしょ……! 二重支払いなんて……お、お父さんに……なんて言えばいいのよ!?」「そ、そうだわ! 嫁なんだから、私を助けなさいよ! そしたら嫁として認めてあげてもいいわ!」

 

しかし、日付を勝手に変えたのは義母。私には関係ありません。

 

「私はのんびり1人の休日を楽しませてもらうので、お義母さんたちも楽しんでください。あと、キャンセル料はお義母さん自身で支払ってくださいね。私はお留守番なので!」

 

「な、なによそれ!!」という義母の叫びを聞きながら、私は通話終了ボタンを押しました。

 

 

 

その後すぐに、今度は夫から着信がありました。

 

「本当にごめん!!」

 

夫は、「俺、今朝いきなりお母さんから『父さんが倒れた』って呼び出されてさ。とにかく病院に急ぐからって、そのまま強引に実家の車に乗せられて……あれ? お父さん元気そうじゃんって思ったら、『実は今週末が旅行なのよ』って……」と、怒りと情けなさの混じった声で説明してくれました。


私は夫に、ノーダメージであること、そしてキャンセル料の件を伝えました。

 

「え! てことは……くだらない嫁いびりのせいで二重払いってこと!?」と驚いたあと、夫は深くため息をつきました。

 

「……はぁ、よし決めた! 俺、今から家に帰るよ! こんなんじゃ旅行なんて楽しめるわけないし、母さんも母さんで自分で仕掛けた嫌がらせで自滅するとか、もう救いようがないよ」

 

何度目かになるかわからない夫のため息を聞いて、私は「そっかぁ……じゃあ、もう一緒に日帰り温泉に行こっか! 私、近くまで迎えに行くよ」と提案。


「それもいいな! じゃあその間に俺は、母さんに最後の挨拶でもしてこようかな。今後はもう二度と母さんとは関わらないし、親だとも思わないってことを伝えてくるよ」

 

さすがにそこまでは……と思って制止しましたが、夫の決意は固いものでした。

 

「大事な妻を何度も傷つけようとする人を、親だなんて思えないよ。……じゃあ、またあとで! 最後にきっちり、母さんに話をつけてくるから、安心して!」

 

 


その2時間後――。

 

今度は義母から泣きそうな声で電話がかかってきました。

 

「ど、どうしよう……! 助けてちょうだい……!」

 

電話口で半泣きの義母は、今回の嫁いびりの件が親戚中にバレて大激怒されたこと、夫にも「二度と関わらない」と宣言されて帰られたことを一方的に話してきました。どうやらすでに完全に孤立しているようでした。


「お父さんが『今回の旅費は全部お前が出せ』っていうのよ! キャンセル費用だけじゃなくて、今日からの宿泊分も!」「でも私、貯金もないのに……!!」

 

あきれながらも「自分で働いて返すしかないんじゃないですか?」と言うと、「そ、そんなの無理よ! 一度も外で働いたことなんてないのに!」と義母。

 

「それから、あんたが息子に私を許すように言ってちょうだい! あの子が帰っちゃったのも、私があんたに意地悪したせいだって、みんなが私を責めるのよ! あんたのせいでこうなってるんだから、そのくらいしなさいよ!」


「……お義母さん、いい加減にしてください」

 

そのときの私は、人生で一番冷たい声が出ていたと思います。


「あなたが今泣きついている相手は、他でもない、いびり続けた嫁ですよ? どれだけ自分勝手なんですか。夫からは、もう『二度と関わらない』と言われていますよね?」「夫が決断した以上……私もあなたとは、これで終わりにします」

 

「えっ……まさか、あなたまで私を見捨てるっていうの!?」と心から驚いているような義母。これは何を言っても無駄だと思った私は、「それじゃ、さようなら」「お互いに温泉、楽しみましょうね!」と明るく言って電話を切りました。

 

その後――。

 


義母は旅行中ずっと孤独に過ごし、帰宅後すぐに義父にハローワークへ連れて行かれたそうです。今は旅行費用を返済するため、人生で初めてパートに出ていると聞きました。

 

しかし、嫁いびりの噂は親戚や地元中に広まり、誰からも相手にされず、義父からも「返済が終わるまで口をきかない」と宣言され、寂しい日々を送っているそうです。

 

夫の不在時を狙って、私に嫌がらせを繰り返していた義母。旅行でも意図的に仲間外れにされたことを知ったときは、本当に驚いたものです。まさか、嫁いびりのためにここまでするのか……と。

 

しかし、私のポジティブな性格が功を奏したのか、私は一切ダメージを受けませんでした。どんなときも味方でいてくれて、最後には「義母とはもう関わらない」という決断をしてくれた夫の存在も、大きな心の支えとなっていました。


理不尽な攻撃に対しては、戦うのではなく、受け流し、自分の心の平穏を守ること。そして、本当に守るべきは夫という、大切なパートナーとの信頼関係なのだと、この経験を通して痛感しました。

 

もうしがらみはありません。これからは、2人で取り戻したこの穏やかな日常を大切に、幸せを育んでいこうと思います。
 

 

【取材時期:2025年10月】

※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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    ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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