不摂生を続ける夫
義母は「嫁は夫のやることに口を出すな」と言い、夫は好き放題する毎日。「体のことを本気で心配している」とうったえかけても聞く耳を持たず「何でも口うるさく言われて、正直しんどい! イライラする!」とまで言われてしまいました。
夫はすでに健康診断に引っかかっており、医師からも精密検査を受けたほうがいいと言われています。しかし、夫はそれを大げさだと笑って無視。私がいくら言っても病院に行ってくれませんでした。
言えば言うほどうざがられ、私たち夫婦の仲は冷めていくばかり……。夫の「うるさいから出て行け!」という言葉を引き金に、私は家を出ることにしました。
いずれは子どもを持ちたいと思っていましたが、こんな様子では叶わないかもしれません。私は離婚を考え始めました。
突然の訃報
別居から7カ月後――。
「ちょっと! なんで葬儀に来ないのよ!」と、義母から電話がかかってきました。「え? 葬儀?」と聞き返すと、「とぼけないで! 息子が急に倒れて亡くなったのよ!」と言います。
義母曰く、夫が突然亡くなったとのこと。あれほど言われていた精密検査も受けず、生活も改めなかったようです。義母は、私が放っておいたせいで夫が亡くなったのだと責めたかと思えば、毎日の小言がストレスだったせいでこうなったとも言います。
「その小言を聞いて検査を受けてくれていたら、こんなことにならなかったのかもしれないのに……」とつぶやくと、義母は「なによその言い方は! まるで息子の自業自得みたいな言い方じゃない! 嫁のくせに旦那が亡くなっても薄情で……本当にあんたは最低な嫁だわ!」と激昂しました。
義母の本音
実は、私が家を出てから1カ月後には、私たちの離婚は成立していました。夫は、義母になにも伝えていなかったようです。
私の口から事実を告げると、義母は驚いた様子……。しかし、すぐさま「籍を抜いたって『元嫁』は『嫁』同然よ! いいから葬儀に来なさい!」と言い出したのです。
もちろん亡くなったことは悲しく、義母の気持ちもわかります。でも葬儀には行くつもりはありません。そう伝えても義母は折れず、それどころかますますヒートアップ!
「嫁が葬儀にいないなんて、親戚に『息子は独り身でみじめに亡くなった』って言えっていうの!? そんなのあんまりだわ!」「葬儀だって意外とお金がかかるのよ! あんたも一応は嫁だったんだから、当然負担すべきなの。戒名代も、会場費も、あんたが払いなさい!」と本音がポロリ……。
見栄やお金のために私を呼び寄せたい気持ちがよくわかりました。
「すみませんが、私はもう関係ありませんので。なにも手伝いませんし、弔いに行きたいとも思いませんから」と言うと、「あんた、正気なの!?」と義母。
「一度は好きだった男でしょ!? どうして平然としていられるのよ!?」と言う義母に、「でも、私たちの夫婦関係を終わらせたのは彼自身ですよ。冷たいと思うならそれで結構です。失礼します」と言って、私は電話を切りました。
義母をブロック!
その後、人づてに聞いた話ですが、離婚後の半年間で、元夫の生活は荒れに荒れたようです。飲み歩いてはツケにして、ゲームにも好き放題課金。カードもキャッシング限度額いっぱい、さらにあちこちからお金を借りていたのだとか……。
相続放棄をしてなんとか逃れたようですが、葬儀費用や荒れ果てた家を片付ける人手が欲しいようで、いまだに私に連絡がきます。
この期に及んで、私に頼んでくる元義母の面の皮の厚さには驚きましたが、「私は独身です。もう過去に縛られません」とはっきり伝えて、連絡先をブロックしました。
助言を伝える側も決して責めたいわけではなく、「長く元気でいてほしい」という思いから口にしているもの。その声に耳をふさいでしまえば、自分の体も、大切な関係も、取り返しのつかない形で失われてしまうかもしれません。
人から受け取った言葉をどう受け取るか——。そんなことに気付かされたのでした。
【取材時期:2025年11月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。