彼の父から目を疑うメッセージ
顔合わせが終わり、しばらくすると、スマホに見覚えのない番号からショートメッセージが届きました。内容は「母子家庭で育ってきたということを初めて知った。苦労した家庭の子となると、いろいろと心配になる」というもの。文面の雰囲気から、彼の父だと気づきました。
実は顔合わせの途中、空気が変わった瞬間があったのです。私は幼いころに両親が離婚した関係で、母子家庭で育ちました。彼はそのことを知っていましたが、彼から彼の両親には伝わっていなかったようです。顔合わせ当日、彼の両親から「お父様は?」と聞かれ、改めて母子家庭であることを話すと、彼の父の表情が一瞬、曇ったように見えて……。
その後は大きな問題もなく顔合わせは終わりましたが、やはり彼の父は私が母子家庭で育ったことが引っ掛かっていたようです。そして「母子家庭=お金に余裕がない」と思っていたのでしょう。私にこのようなメッセージを送ってきたのだと感じました。
不自由なく育ててもらった
母子家庭ですが、母は私を大学まで通わせてくれました。
「母子家庭で育ちましたが、不自由だったことはありません。母は仕事にも熱心で、それでいて家のことは手を抜かず、大学まで卒業させてくれました」と彼の父にメッセージを送ると、彼の父から返ってきたのは「そんなことを言って、息子との結婚は、資産が目当てじゃないのか?」というまさかの決めつけめいたもの。
私は言葉を失いました。そんなことまったくないのに、私が育ってきた環境だけで判断されていることに強いショックを受けました。
このことをすぐに彼に知らせたものの……彼からは「実際、そういう家庭があるのは事実だし、父は不安なだけだよ」と、軽い返答が。さらに「結婚したくないの? 結婚したいなら、家族との関係は良好に保たないとw」という他人事みたいな返事に、胸の奥がスッと冷える感じがありました。
自分の父親から、妻となる私に、あんな失礼なメッセージを送られているというのに、かばってくれる気はないのか——そう思うと、これから先の結婚生活を不安に感じてしまいました。
「不安を払拭できないなら、結婚は許せない」
1週間後、彼の父から再び連絡が届きました。「こちらの心配を払拭できないのなら、結婚を許すことはできない」と。母のことを見下された気がして、とても悔しい気持ちでした。そして、私は「この家族とは関われない」「彼との結婚は難しい」と確信したのです。
私は母にもこのことをすべてを話しました。母は驚きつつも静かに、「あなたは何も間違っていない」と言ってくれました。母は長年勤めている会社で管理職を務めています。特別裕福というわけではありませんが、真面目に働き、私を育て上げてくれた……私にとっては誇りある人です。
その後、母は彼の父へ直接連絡。母が「顔合わせでは詳しく話せませんでしたが、私は企業で管理職をしています」と伝えたところ、彼の父の態度は急に軟化したそうです。
けれど、私や母の職業で態度を変えるような人とは、これから家族になることはできない――。私は、正式に婚約を解消する旨を伝えました。
その直後、彼から電話がありました。「親父のことは気にしなくていい。結婚の話を進めよう」と言われましたが、私は静かに答えました。
「あなたは、私が相談したときに味方になってくれなかった。きっと結婚しても同じだと思ったの」と。
そして「さようなら」と伝え、電話を切りました。彼も思うところがあったのでしょうか、すんなり婚約破棄ということに。その後、当然ですが、彼がどういうふうに過ごしているのかは知りません。自分の選択に後悔はなく、今は落ち着いた気持ちで前に進めています。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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