ポイント集めが生きがいのママ友
ママ友数人で食事に行くと、彼女はクレジットカードのポイントをためるために、必ずテーブルでみんなの会計をまとめようとしました。もしピッタリの金額を払えない人がいると、わざわざコンビニなどで両替してくるよう強く言うほどでした。
そして、最近彼女が得意としていたのは、ネットの予約サイトを使ってお店を予約すること。店のポイント、カードのポイント、予約サイトのポイントの「3重取り」に命を懸けていて、「これが賢い主婦の節約術なの」といつも豪語していました。
「ポイントが貯まらない店はありえない!」
ある日、幼稚園のクラス委員の人から、クラス会の会場について相談を受けました。
「ねぇ、◯◯さん(私)のご実家って居酒屋さんでしょう? おいしいと評判だし、ご実家のお店でクラス会を開けないかな?」と。
私の実家は小さな居酒屋を営んでいます。私は、「実家の2階の座敷を貸し切りにすれば、周りに気兼ねなく子連れで食事できるよ」と提案しました。
しかし、その話をそばで聞いていた例のママ友が猛反対!
「え! でも、あなたのお父さんのお店って予約サイト使えないでしょ!? ポイントがたまらないじゃない! そんなアナログな店でクラス会なんて開かないでよ!」
あくまでポイントが目当ての彼女。私が「ポイント集めも良いけど、常識の範囲内にしたほうがいいんじゃない?」と冷静に言うと、彼女は顔を真っ赤にして大激怒!
周囲のママ友たちが間に入ってくれたおかげでその場は収まりましたが、彼女は明らかに私を睨みつけていました。このとき、彼女は私への反感を募らせていたのだと思います。
仕組まれた50人分のドタキャン
私はその後、父と相談し、実家の店をネット予約のサービスに登録することにしました。そのことを例のママ友に伝えると、「初回登録で1000ポイント付与」の特典を知った彼女は、「それなら」と渋々納得したかのように見え、幹事として50人分の予約を入れてくれたのです。
しかし、クラス会当日、開始時刻になっても誰もやってきません。父も母も、大量の仕込みをして待っていたのに。
おかしいと感じた私がそのママ友に連絡すると、彼女は電話口で大笑いしながらこう言いました。
「あ、ごめーん。他にもっと良いお店があったから会場を変えたんだけど、連絡しなかったっけ?」
彼女にとっての「良いお店」とは、「もっとポイントがたくさんたまる店」ということでしょう。そして、私の実家の店に損害を与えることで、私に仕返ししようとしたのだと思います。
「もうみんなこっちの店に集まってるし、今回はキャンセルってことで!」と彼女は言い放ちました。
店が損をしなかったカラクリとは
幹事をしていた彼女は、私以外の保護者全員に「会場が変更になった」と連絡をしていたのです。
実家の仕込みが無駄になったこと、そして何より両親の気持ちを踏みにじられたことに怒りが込み上げましたが、私は冷静にこう伝えました。
「キャンセルは構わないけど、予約時に選んでもらった『50名様貸切プラン』で、あなたのカードで事前決済が完了してるから、お店への支払いは全部あなた持ちだね」
実は、ネット予約を導入する際、父と相談して高額・大人数になる予約は「事前決済」のみ受け付ける設定にしていたのです。ポイント目当ての彼女は、ろくに確認もせず自分のカードで決済していました。
「え! うそでしょ! そんな!」
電話口で泣き崩れる彼女。変更先の店でその様子を見ていた他の保護者たちは、彼女が企てた身勝手な計画のすべてを知り、大激怒! 彼女はその後、当然ながらみんなから距離を置かれることになりました。
ポイ活ママ友の末路。そして実家の店はその後…
あとからママ友たちから聞いた話によると、例のママは後日、高額なカード請求が来たことで旦那さんに今回の件がすべてバレて、クレジットカードもポイントカードも全部取り上げられたそうです。彼女の唯一の趣味だったポイント集めができなくなり、抜け殻のようになっているとのことでした。
その後、事情を知った保護者たちが「この前は本当にごめんね」と、改めて実家のお店を訪れてくれました。
それがきっかけで常連客になってくれた方々も多く、お店は以前より繁盛! 「子連れでも気兼ねなく楽しめる」と、人気がさらに広がったようです。
節約やポイ活も、度を越して他人を傷つければ、ただの迷惑行為です。彼女は目先の利益に目がくらみ、お金では到底取り戻せない「信頼」という、一番大切なものを失ったのだと痛感した出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。