見てしまったママ友の秘密
仲良しのママ友のお家に、初めて招待された時のことです。彼女はいつも身なりがおしゃれで、私の憧れ。きっと素敵なお部屋なんだろうなと、ワクワクしながらお邪魔しました。
通されたリビングは、予想通りモデルルームのようにピカピカ。しかし、楽しい時間は一変します。次女がトイレを探して、間違えて廊下の奥にある扉を開けてしまったのです。
「あ、ダメ!」
とっさに叫んで駆け寄りましたが、時すでに遅し。閉めようとした私の目に、衝撃的な光景が飛び込んできました。そこには、綺麗に片付いたリビングとは正反対の、足の踏み場もないほど物が溢れかえった部屋があったのです。
さらに心臓が止まりそうになったのは、無造作に積まれた書類の山。一瞬でしたが、督促状のような封筒や、消費者金融らしきロゴが見えた気がして……。明らかに「見てはいけないもの」でした。
私は慌てて扉を閉め、何も見ていないふりを装いました。しかし、その場の空気は凍りついたまま。彼女は私と目を合わせず、消え入りそうな声でつぶやきました。
「……見られたくなかったな」
その悲痛な響きに、私は謝る言葉さえ喉につかえてしまったのです。
彼女は必死に、外向けの「理想の自分」を守っていたのかもしれません。キラキラして見える裏側には、人には言えない苦労や、表面だけではわからない「その家の事情」があるのだと痛感しました。
誰にでも隠しておきたい秘密はあるもの。それを見てしまった申し訳なさと気まずさで、以前のように気軽に会うことは難しくなってしまいました。それでも、私のためにリビングをピカピカにしてくれていたことは事実です。今は少し距離が空いてしまいましたが、時間が経ってこの気まずさが薄れ、また普通にお茶でも行けたらいいなと思います。
著者:吉澤菜月/30代女性/2人の娘の母。サービス業にパートで勤務中。
イラスト:きりぷち
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年11月)
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