母が用意してくれたお土産を手に義実家へ帰省








30代後半の私は、夫と娘と3人暮らし。私たち夫婦は大型連休に娘を連れ、お互いの実家に帰省することにしました。先に訪れた私の実家では、母が私たちの帰省を大喜び。手の込んだ料理でもてなしてくれました。「きっとAさん(夫)のご両親も、みんなが来るのを心待ちにしているわよ。私も久しぶりにお話ししたいわ」と、義母に会いたそうでした。
数日実家に泊まり、次の帰省先の夫の実家へ移動する際、母が「これ、Aさんのご両親に持って行って。よろしく伝えてね」と、地元で有名なお店のお菓子を手土産に持たせてくれたのです。それを見ていた夫は「うちの実家にまでお土産をありがとうございます。きっと母も喜びます!」とうれしそう。母に見送られながら、預かったお土産を手に義実家に向かいました。
次第に曇る義母の表情…「バカにしてるの!?」
義実家に着くと、義母が「よく来てくれたね」と私たちを迎え入れてくれました。移動の疲れに加え、久々の再会で盛り上がったこともあり、私は、すっかりお土産の存在を失念。義母の「お茶でも入れようかしら」の言葉で思い出し、慌てて「母からお土産です。実家近くの人気店なんですよ」と義母に手渡しました。義母は「まあ! ありがとう。みんなでいただきましょう」と、包みを開け始めたのですが……。
義母の表情が、次第に曇っていくのです。不安に思った私が「どうしました?」と声をかけると、義母は「“あんこ”は嫌いなのよ」とひと言。しかし箱の中には、メインのどら焼きの他に、焼き菓子も入っています。
夫が「どら焼き以外を食べたら? おいしそうだよ」とフォローするも、「少しだけじゃない! 私はついでってこと?」と義母が激高。母の好意を踏みにじられたように感じた私は「母はそんなことを考える人ではありません。さすがに失礼すぎませんか」と反論します。
義母は「あなたたち親子は私をバカにしているの!? 私は食べないわ」と言い捨て、自室に戻ってしまいました。夫や義父が謝ってくれましたが、その後、義母と会話することはありませんでした。
険悪ムードのまま見送り…そのとき呼ぶ声が!
翌日、気まずい雰囲気のまま私たちは義実家を去ることに。いつもなら新幹線の駅で名残を惜しんでくれる義母ですが、今回は私とは目を合わせません。夫と娘にだけいつも通りに接しています。私がイライラしながらその光景を眺めていると、後ろから「なつき~!」と呼ぶ声がするのです。
振り返ると、なんと母の姿が! 「お義母さんに会っておきたいと思って!」と言い、わざわざ電車に乗ってやってきたのです。母は、義母に向かい「お久しぶりです~! お会いできてよかったわ! お土産、お口に合いましたか?」とあいさつ。
義母は驚きと気まずさで口をモゴモゴするばかり。すると夫が「お菓子は父と一緒に食べました。母は“あんこ”が苦手だったようで、すみません」と頭を下げたのです。
それを見た義母が「で、でも他の焼き菓子はおいしくいただきました」と慌てて釈明すると、「そうでしたか、今度は“あんこ”以外で探さないと、ですね」と母はにっこり。母の屈託ない笑顔のおかげでその場は和み、私たちは帰路に就いたのでした。
その後、義母から「失礼なことを言ってしまってごめんなさい。せっかくの帰省を台無しにしてしまって申し訳なかったわ」と謝罪の電話がありました。激高していた義母でしたが、頭を下げる夫の姿や悪気のない母の態度を見て、反省した様子でした。
まとめ
今回の出来事で改めて感じたのは、好みの違いがあっても相手の善意を大切に受け取る姿勢は大切だということです。そして、お土産の好みを事前に確認するなど、ほんのひと手間で帰省の時間をもっと穏やかにできると実感しました。次回からは母にお土産を預かる際、義母の好みを軽く確認しておくことで、みんなが気持ちよく過ごせるようにしたいと思います。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:一ノ瀬 なつき/30代女性。1人娘とマイペースな夫と暮らす。肌のエイジングに抗い、さまざまなスキンケアを試している。
マンガ/おーちゃん
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年10月)
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