「寝かしつけなんて簡単」と言う夫
息子が2歳のときの話です。当時は、私と夫と息子の3人暮らしで、ある日の土曜、家族で働く車の展示会に行きました。息子は働く車が大好きで、興奮冷めやらず、お昼寝をしないまま一日中元気いっぱいです。楽しく遊んだ帰り道、車の中でもハイテンションな様子を見て、「今日はたくさん遊んだね」と親子で笑っていました。
その日の夜、いつも就寝する20時になっても息子はなかなか寝ません。お昼に興奮したせいなのか、眠る気配がないのです。私は「早く寝かせなきゃ」と焦りながら、絵本を読んだり、背中をさすったり、いつもの就寝ルーティーンを繰り返していました。
21時半を過ぎたころです。寝室に夫が来て「まだ寝てないの? いつもはちゃんと寝かしつけしているのか? 寝るまでのルーティーンができてないってことなんじゃないか?」と責めてきました。そして、続けて「睡眠は、子どもの成長に大切なんだぞ!」と言い捨てられたのです。普段夜勤で寝かしつけをしてくれるわけでもない夫からのその言葉を聞いた瞬間、今までの育児を否定された気がした私は、「じゃあ、代わりにしてよ!」と言い返しました。すると夫はムッとした表情で、「ああ、わかった。俺がする! 俺が寝かしつければ、秒で眠る!」と、息子の側に行きます。私は怒りに任せ「じゃあ、お願いね」と言い、寝室を出ました。とはいえ、少し心配もあったので、いつでもフォローができるようしばらくはすぐ隣の部屋で過ごすことに。
その後、寝室から「パパじゃなくて、ママがいいの!」と息子のぐずる声が聞こえましたが、しばらくすると声も消え、静かになります。私は「あ、本当に寝かせてくれたんだ」と感心し、キッチンに出て食器の後片づけをしました。そして、23時過ぎに寝室に戻ってみると……。「え?」と思わず声を上げてしまったのです。
なんと息子はベッドから出て、お気に入りのバスのおもちゃで大遊び。傍らで夫は、爆睡中です。「どうなってるの!」と、私は夫を起こします。夫は「あっ、いやぁ……」と、ハッとした表情。「あまりにぐずるから、お気に入りのおもちゃを持たせて、しばらく遊べば眠るだろうと思って……」と言うのです。寝かしつけどころか、そのうちに自分が寝てしまったそうで、夫は小さな声で「ごめん。俺、何もわかってなかったわ。きっといつも試行錯誤して苦労して寝かせてくれてたんだよな。ルーティーンがどうとか、知ったようなこと言ってごめん」とひと言。その日は再度私が寝かしつけをしました。幸いにも翌日は日曜日だったので、朝は少しゆっくり起こし、息子の睡眠時間も確保できました。
以降、夫は仕事がお休みの日など、「今日は俺が寝かしつけにチャレンジしてみるよ」と自然に言ってくれるようになり、今では同じルーティーンで寝かしつけができるようになりました。
「言うは易く、行うは難し」という言葉にもあるように、寝かしつけは、口で言うよりずっと根気のいる時間。ルーティーンがあったとしても、子どもの性格やその日の体調、また一日の過ごし方などによって、うまくいかない日もあると思います。「ルーティーンがなってない」と偉そうに責めていた夫も、自ら体験したことで、実際に寝かしつける大変さをわかってくれたので、よかったです。理想ばかりを押しつけるのではなく、夫婦で柔軟に育児をしていこうと考えるきっかけになった出来事でした。
著者:桂ゆかり/30代・ライター。働く乗り物が大好きな5歳の男の子と、ティッシュをひらひらして遊ぶのが大好きな3歳の女の子を育てるママ。夫は夜勤のため、月〜土曜日までワンオペの日々を過ごしている。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)
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