そんな発想になるなんて…
ある日、お手洗いで同僚Aに出くわした際「〇〇さん(私)って妊娠してますよね? 今何週目ですか?」と聞かれ、それほど仲良くもない同僚からデリケートな話をされたことに驚きました。ときどき体調が優れない私の様子を見て、勘づいていたようです。
妊娠していることは事実なので、嘘をつく理由もないと思い「今12週目なの。まだつわりもあるし、安定期にも入っていないから、申し訳ないけど落ち着くまでほかの人には内緒にしといてもらえるかな?」とお願いしました。Aは「おめでとうございます! もちろん内緒にしときますね。体調気をつけてください!」と言ってくれ、私はひと安心したのです。
その日の夕方、Aがやってきて「〇〇さん、私今日どうしても早く帰らないといけない用事があるんです。申し訳ないのですが、この仕事の残りをお願いできますか?」と聞いてきました。それまでそんなことを頼まれたことがなく少し疑問に思いましたが、用があるなら仕方がないと引き受けたのです。
しかし、次の日も、その次の日もAは私に仕事を頼みにきて、定時に退社。私は3日ほど2時間の残業をすることになり「仕事を私に頼んで毎日定時に帰るのには、なにか事情があるのかな?」と疑問に思うようになりました。産休、育休を取得する立場の私は、なるべく周りの迷惑にならないように、仕事ができるうちは同僚たちの力になりたいと思っていましたが、Aがどんなつもりで私に仕事を頼んでいるのか気になって、尋ねてみることに。
私が「言いにくいことなら申し訳ないのだけど、毎日定時に帰るのにはなにか事情があるの?」と聞くと、なんとAは「だって、妊婦さんだから〇〇さんはそのうち産休に入るじゃないですか。そしたらずっと休めるんだから、今のうちに人の分も仕事をしないといけないでしょ?」とさも当たり前かのように言ったのです。私は驚きのあまり、開いた口が塞がりません。
すると、近くで私たちのやり取りを見ていた同僚Bが状況を察し、「ちょっと、聞き捨てならないこと言い出したから割り込ませてもらうけど。あのね、産休や育休は会社に定められた制度なの! 遊ぶために休むんじゃないよ!」と一喝。するとAは顔を真っ赤にして「休まれたあと仕事が増えるのはこっちなんですよ!?」と言いながらその場を去って行きました。
しかし、どうやら後日上司にも話が伝わったようで、翌日Aから「おとなげないことをして申し訳ありませんでした」と謝罪があったのです。その後、Aは自分の仕事を押し付けてくることはなくなりました。とは言え、私も産休中に仕事を他のメンバーにお願いすることに罪悪感もあったので、可能な範囲で周囲の仕事を引き受け、穏やかに産休に入ることができました。
たしかに産休や育休中、代わりに業務を引き受けてくれる人がいるのも事実です。しかし、だからと言って無理やり産休前の人に自分の業務を押し付けるのは間違っていると私は思います。会社で働く人の置かれている状況はさまざま。お互いの立場を理解し、感謝し合いながら、どんなときも思いやりのある行動をしていきたいと感じた出来事でした。
著者:竹内美月/40代・ライター。車のおもちゃが大好きな4歳の男の子と、歌って踊るのが大好きな1歳の女の子を育てる母。平日はほぼワンオペ育児。何が起こったのかわからないほどのスピードで時間が過ぎていく、ドタバタな毎日を送っている。仕事終わりに夕飯を作りながら飲むハイボールが楽しみ。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)
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