幼稚園で顔見知りになり、家が近所だったので、偶然会えば世間話をするようになりました。しかし、A子にはとんでもない癖があったのです。
ママ友・A子の「便乗癖」
A子は、誰かの予定を聞くと、必ずと言っていいほど「それ、私たちも行っていい?」と加わろうとするタイプでした。
私たちがどこかへ行く話を聞くと、すぐに一緒に行きたがるのです。最初は公園や買い物くらいだったのであまり気にならなかったのですが、家族旅行やイベントの話にも同行を希望するのです。
あるとき、A子から「ねぇ、〇月〇日は何してる?」と連絡が。その日は日帰り旅行に行く予定があると伝えると「ご一緒させて!大勢の方が楽しいし!」と便乗しようとしてきました。
家族だけで楽しむ予定だったので「家族旅行なので、ちょっと……」と言葉を濁したのですが、A子からは「当日車で迎えに来てね!じゃあまた!」と返信が。あまりの強引さに、はっきり断ることができませんでした。
家族イベントに便乗するママ友一家
それからというもの、どこへ行くにも気づけばA子一家がついてくるようになりました。楽しいはずの休日も、正直気疲れのほうが大きくなり、次第に休日がおっくうに感じるほど……。
そんなある日、日帰り旅行予定の数日前に、娘が高熱を出してしまいました。病院で診てもらうと「インフルエンザ」。娘も楽しみにしていましたが、旅行はやむなく中止することにしました。
「ごめんね、娘がインフルエンザになったから旅行は中止にするね」
そうA子に連絡すると、そのときは「それは大変だね、お大事に」と言ってくれたのですが……。
幼稚園でウソを広められた
後日、幼稚園に行くと、園ママたちの視線がなぜか冷たく感じました。すると……
「向こうから誘っといてドタキャンとか最低!」
「ひどーい! ありえないね〜」
というA子と園ママの会話。どうやら、私がA子一家を誘い、直前で一方的に中止した
という話になっていたのです。
ただ、その場にいた数人のママは、以前から私が「家族で行く予定」と話していたことを覚えていました。そのため、
「あれ? 最初から家族旅行だって言ってなかった?」
「A子が『一緒に行きたい』って後から言ってきたんじゃなかった?」
と、次々に確認する声が上がりました。
そのやり取りを前に、A子は一瞬言葉に詰まり、視線を泳がせて黙り込んでしまいました。話を取り繕おうとするものの説明はあいまいで、A子の話と実際の経緯が食い違っていることが、周囲にもはっきり伝わっていったのです。
自分の気持ちに正直に
後日、A子が何事もなかったかのように声をかけてきました。
「今度の連休、どこか行くの? 行くならご一緒させて♪」
私は微笑みながら、「家族だけでゆっくり過ごす予定なの」と言いました。
A子は驚きつつ、「え、なんで?大勢の方が楽しいじゃん!」と。
私は「大切な家族イベントだから、うちのペースを優先したいの。今までのこと、ちょっと考えたいから」
言葉を選びながら、丁寧に伝えました。A子はそれ以上何も言えなくなった様子でした。
人付き合いの原点
それからしばらくすると、園ママたちの空気が明らかに変わりました。A子の話と事実が食い違う場面が何度もあり、違和感を覚える人が増えていったのです。その後、A子は周囲との距離を置かれるようになり、便乗してくることもなくなりました。
週末、家族だけでのんびり散歩。
夫は「のんびりした休日って、意外といいな」と。
静かだけど穏やかで、笑顔の多い時間。それが、何よりの幸せだと気づかされました。
人付き合いは大切。でも、自分と家族の境界線を守ることは、もっと大切だと学びました。これからも、大切な時間を、大切な人たちと、丁寧に重ねていこうと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
もちろん子供にも直前まで言わない。
学習しなよって思った。