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夫「このマンション3000万円で売ったから!」私「ここは賃貸だよ」夢が音を立てて崩れた日

私の夫は起業家志望。思いつくたびに手を出しますが、どれも数カ月で赤字に終わります。そんな夫を支えたいと思っていた私は、そのたびに夫婦の貯金や私の収入で穴埋めしてきたのです。

しかし失敗を繰り返すたびにだんだんと私の応援したい気持ちも冷めてしまいました。そんな私の気持ちなどお構いなしに、夫はまた新しいビジネスに目を輝かせていて……?

「今度のビジネスこそは絶対うまくいく!」と夫は興奮していますが、これまでの失敗の数々が頭をよぎります。

 

もっと慎重になってほしいと伝えても「俺が一発当てたら全部返すから! 社長になって海外旅行に連れてくからさ!」とあまり響いていない様子……。この言葉は、もう聞き飽きています。

 

これまでのように応援する言葉は、もうどうしても口にできませんでした。

ビジネスが軌道に乗らないワケ

ある日、夫が真剣な顔で「今やってるビジネスさ、あと一押しでバズりそうなんだ。広告にお金をかければ一気に売れる! だから100万円貸してくれないか?」と言いました。


商材はすでに手元にあるようで、夫曰く「在庫を確保している」状態。私からすると「在庫を抱えてしまっている」状態です。

 

広告で最後のひと押しをする方法は、成功者の先輩からアドバイスされたとのこと。夫に力説されましたが、私はもう首を縦に振ることができませんでした。


「ごめんね。これ以上お金を出すつもりはないの。それに、もう私たち夫婦の貯金はそんなにないよ」


そう告げると夫は露骨に不機嫌になり「やっぱりさ、ビジネスをわかってくれない人が近くにいるとどうしても気持ちが下がるんだよ。成功してる人たちも、同じこと言ってた」と吐き捨てるように言いました。まるでビジネスがうまくいかないのは私のせいのような言い方です。

 

夫の“次なる一手”

数カ月後、夫はやけに上機嫌で帰ってきました。


「お前が買ったこのマンション、売ることにしたから! 友だちの知り合いに任せたら手数料安くしてくれたよ」

 

一瞬、何を言われているのかわかりませんでした。驚きよりも先に、嫌な予感だけが胸に広がっていったのを覚えています。

 

「マンションは3,000万円で売れる話になっていて、『仲介手数料が先に必要だ』と言われたから、70万円だけ払っておいたんだ。あとで戻ってくるから大丈夫!」


「ちょっと待って! ここは賃貸のマンションだよね?」と確認したのですが、夫の耳には届いていません。きちんと話してほしいと頼むと、夫は得意げに話し始めました。

 

ことの発端は私と母の会話だそう。たしかに、私は母に「独身時代の貯金をはたいて家を買った」と話しました。しかし夫は、今住んでいるこのマンションを私が購入して賃貸から持ち家に変わったのだと勘違いしていたのです。

 

「3,000万を元手に不動産投資で儲けるから!」と息巻く夫に、その事実を告げました。

 

失敗は私のせい!?

「え? だってお前、『家を買った』って……」と夫は青ざめていました。


夫は、「自分のものではないマンション」を、勝手に知り合いに売ろうとし、仲介手数料と称するお金まで払っていたのです。冷静に考えれば、登記関係の書類も確認せずに話が進むはずがありません。夫は騙されたのでしょう。

 

そう伝えると、夫は顔面蒼白になりながらも「お前がちゃんと話してくれていれば、こんなことにはならなかったんだ」と責任転嫁。これが私の中で決定打になりました。


うまく行かない事業にも、度重なる赤字にも疲れてしまい、私は夫に離婚を申し出ました。夫は渋っていましたが、私たちは何度も話し合いを重ねた末、離婚の手続きを淡々と進めたのでした。

夢を諦めた夫

“自分には見る目がある”と豪語していた夫にとって、今回の出来事は相当なショックだったようです。それ以降、ビジネスの話は一切しなくなり、あれほど熱を込めて語っていた夢の話題も消えていきました。

 

離婚後の現在は派遣社員として働いていると聞いています。時々「やり直したい」「やっぱりお前が必要だ」と復縁を求められますが、その都度私はきっぱり断っています。

 

♢♢♢♢♢♢

 

パートナーの夢を応援したいと思う気持ちは、とても自然なものです。しかし、その夢が繰り返し現実を壊し、支える側の心や生活を削っていくのであれば、立ち止まる勇気もまた必要なのかもしれません。

 

「夢を応援すること」と「自分の人生を守ること」。そのどちらも大切にできる関係でありたいですね。

 

【取材時期:2025年11月】

※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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    ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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