そのたびに夫や義父は「そんな言い方はやめろ」「病院でみてもらっているんだから、静かに見守っていてくれ」と私を庇ってくれます。それでも、何度も繰り返される言葉に心は少しずつ疲れていき、私は義実家へ行くこと自体が怖くなり、距離を置くようになっていきました。
夫が留守中、突然やってきた義母
そんなある日、夫が留守にしている平日の昼間に玄関のチャイムが鳴りました。扉を開けると、そこに立っていたのは義母でした。ずかずかと家に上がり込み、「まだ孫はできないの? ちゃんとお努めしてるのかしら」と言うのです。驚きで声も出ません。
さらに追い打ちをかけるように、義母は小さくため息をつきました。
「みんな、あなたにうんざりしているのよ。子どもが生めないなら、離婚も考えたら? だいたい、こういうことは自分から言い出すべきでしょ?」
人の価値を妊娠の有無で測るような言葉に、頭が真っ白になりました。義母が帰ったあと、震える手で夫に連絡し、起きたことをすべて伝えました。夫は激怒し、その日のうちに義母へ「妻に暴言は許さない」「もう二度と家に来るな」と強く叱ってくれました。しかし、その数日後……。
嫁を「返品」宣言!?
ある平日の昼下がり、また義母がアポなしで訪ねてきました。玄関を開けるなり、怒鳴るような声が飛んできました。
「あんたのせいで息子に怒られたじゃない! 告げ口したんでしょ!?」
「もういい! あんたみたいな嫁は返品します!」
私が「……わかりました。では、返品方法について今度しっかり話し合いましょう」
そう答えると、義母は満足そうな表情を浮かべました。私はすぐに夫へ連絡し、両家で話し合いの場を設けることになりました。
『返品会議』当日。逆転の瞬間
話し合いの場に選ばれたのは、第三者の目がある落ち着いた場所でした。夫と私、そして義父母が重い空気の中で席に着きます。
義母は勝ち誇ったような表情で言いました。
「この子は、こちらでは面倒を見きれません。そちらで引き取ってください」
そのとき、夫がはっきりと言いました。
「待った。その話は受け入れられない。俺は離婚しない。ずっとそばにいてほしい人だから」
静まり返る中、義父がゆっくりと口を開きました。
「返品されるべきなのは、お前の方だ」
義母は言葉を失い、義父を見つめました。義父はこれまでの義母の身勝手な言動や家族を傷つけてきた事実を淡々と話しました。長年積み重なった価値観の違いが、限界に来ていたのだと思います。
そして、最後に一言。
「お前の両親にも、すでに話してある。しばらく実家に戻ってくれ」
義母の顔は、みるみるうちに青ざめていきました。「母さんは、俺の妻を傷つけた。そのことから逃げずに、向き合うべきだったと思う」夫の言葉に義母は何も言わず、その場を後にしました。
新しい未来に向かって
その後、義両親は話し合いを重ね、離婚という選択をしました。義母は実家に戻り、義父は一人暮らしを始めました。私たちは義父と時々食事をするなど、今も穏やかな関係を続けています。
そして、義両親の離婚から数カ月後、私の妊娠が分かりました。夫も義父も、目を潤ませて喜んでくれました。
ようやくきてくれた新しい命は、私たち家族がもう一度歩き直すための、大きな一歩になりました。支えてくれた人たちに感謝しながら、これからは私たちが誰かを支えられる家族になれるよう、未来へ向けて一歩ずつ進んでいきたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。