会社を立ち上げたばかりの夫は仕事が忙しく、深夜までオフィスにいることも少なくありません。接待や飲み会への参加も多く、休日も家を空けがち。両親学級も仕事があると言ってふたりでの参加は叶いませんでした。
ベビー用品を大量買い
夫からは「両親学級には参加できないけれど、出産準備は俺がやるから。必要なものは全部揃えておくよ」と頼もしいひと言が。赤ちゃんを迎えるにはさまざまなアイテムが必要なので、出産準備を任せられるだけでとても心強いと感じていました。
しかしその翌月、夫のクレジットカードの請求額を見て思わず言葉を失いました。ベビーカーやチャイルドシートなど、高額なものも買っているのだと思いますが、それにしても想像を超える金額です。
「出産が待ち遠しくて買い物をしすぎた」と言われるとキツく言うこともできず、高額の商品を買うときは事前に相談してほしいということで話は落ち着きました。
ところが夫の購買欲は止まりません。夫がベビー用品店で大量に買い物をしていたという、友人からの目撃情報も入りました。その話をよく聞いてみると、思わぬ事実がわかったのです。
夫が一緒に買い物をしていたのは誰?
「赤ちゃんグッズ見てきたよ!」と嬉しそうに帰宅する夫。手にはたくさんのベビーグッズや洋服を持っています。
そんな夫でしたが、私の次のひと言で明らかに凍りつきました。「それ、うちの子のやつ?」
友人曰く、夫はおなかの大きな妊婦さんと一緒に買い物をしていたよう。しかも、同じ車に乗って帰っていったと……。
すこし動揺を見せつつも、「誤解だ」「見間違いだ」と夫は否定しますが、不思議に思った友人は仲が良さそうに買い物をしている様子を写真に撮っていました。夫とその女性が親しげに買い物をしている様子が、はっきりと写っています。
夫の嘘
ずっとおかしいと思っていたのです。妊娠のこともやたらと詳しく、仕事で多く家をあける割には収入も増えていません。わが家のベビー用品はそんなに増えていないのに、カードの引き落とし額だけは増えていきました。
友人からの情報をもとに調査会社に浮気調査を依頼すると、私の嫌な予感は的中! 夫は浮気相手と半同棲状態。相手は夜のお店で働いていた女性で、私より4カ月先に妊娠していたのでした。
夫が妊婦や赤ちゃんについて詳しいことにも合点がいきます。そしてベビー用品店からの請求の数々も、わが家の分と浮気相手の分、ダブルでカードを切っていたのでしょう。
この状況で父親として向き合う覚悟があるとは、どうしても思えません。私は別れを告げることにしました。夫は「別れたくない。あくまで浮気だ」と言ってすがりますが、それも本心かわかりません。なぜならまだ夫は会社を立ち上げたばかりで給料などほぼ出ていない状態です。私と離婚したらお金に困るのは容易に想像がつくでしょう。
それでも、浮気相手と子どもを作る人とこれからもいっしょに暮らすだなんて、これから先の人生を思うと耐え続ける理由が見つかりませんでした。仕事がうまくいかず不倫に逃げてしまったと、涙ながらに語った夫でしたが、同情する気にもなれません。
その後、何度も話し合いをした末離婚は成立。夫は自分の会社をたたんで転職し、浮気相手と結婚したようです。養育費の支払いもあり、決して楽な生活ではないと聞いています。
どんな事情があっても、子どもを授かった責任から逃げることはできません。子どもに罪はないからこそ、夫と浮気相手には、大人として当然の責任を果たしてもらうつもりです。
◇ ◇ ◇
子どもを持つということは、重い責任が生まれるということ。大人の身勝手な選択のしわ寄せが、子どもに向かうことだけはあってはなりません。命を生み出すという選択の重みを、改めて考えずにはいられません。
【取材時期:2025年11月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。