地元の暗黙のルール。慎重に進んでいたつもりが…
私には3人の娘がいて、週末はバレーボールの送迎で車を出すのが日常です。ある日、近隣の小学校での試合を終えた子どもたちを乗せて、いつもの道を帰宅していました。
わが家の近所には、急勾配で激しいカーブが続く、少し特殊な形状の坂道があります。坂の上のほうは車1台が通るのがやっとの狭さですが、下へ行くほど少しずつ道幅が広がるため、この道を使う住民の間では「上りでも下りでも、対向車が来ていないか確認してから進入する」という暗黙のルールがありました。
その日、私は前後に数台の車やバイクが続く列の中で、慎重に坂を上っていました。ところが、あと少しで上り切るという絶妙なタイミングで、突然、坂の上から対向車が現れてしまったのです。
逃げ場のない状況!ピクリとも動かない対向車
私の後ろには数台の車がピッタリと続いており、下がることは物理的に不可能な状況。一方、対向車(下り側)はまだ道幅に余裕がある場所にいました。
本来、坂道でのすれ違いは「上りの車が優先」というルールがあります。物理的な状況を考えても、交通ルールに照らしても、「あちらが少し下がって譲ってくれるだろう」と思っていました。
しかし、相手の車はピクリとも動きません。しびれを切らした私の前の車が、無理やり隙間をすり抜けて行ってしまったことで、対向車はさらに私の目の前まで前進。道幅はすれ違う余裕のない状態で、私は完全に身動きが取れなくなってしまいました。
困惑していると、対向車から70代くらいの男性が降りてきて、私の運転席側へ歩いてきたのです。
「代わろうか?」まさかの言葉にあぜん!
窓を開けた私に対し、その男性は、あきれたような、こちらを見下したような口調で、信じられない言葉を口にしたのです。
「あんた、運転できんの? 代わろうか?」
あまりに失礼な言い方に、一瞬言葉を失いました。
「そもそも上り側が優先だし、あなたが少し下がってくれれば解決するのに……!」という言葉が喉まで出かかりましたが、必死で飲み込み、「結構です」ときっぱりとお断りしました。
その後、見かねた後続車の方々が協力してバックしてくれたおかげで、ようやくスペースが空き、どうにか事態は動き出しました。
ようやく進めると思いきや…さらなる追い打ち!?
ようやくすれ違える、と安堵したのもつかの間。相手の男性は車に戻ったものの、私の車の真横で再び停車し、わざわざ窓を開けてこちらを見ています。
何か文句でも言われるのかと身構えながら窓を開けると、男性は「大丈夫!大丈夫!通れるから!」と、まるで初心者を諭すかのような口調で言い放ちました。
通れるなら、一刻も早く通り過ぎてほしい……! そう思いつつも、私はそれ以上何も言えず、ただ静かに窓を閉め、その男性の車が過ぎ去るのを待つしかありませんでした。
今回の出来事は、本当に心が疲れる体験でした。自分に非がない状況で、一方的に「運転が下手」だと決めつけられた悔しさは、今も消えません。何より、同乗していた娘たちを不安にさせ、嫌な思いをさせてしまったことが申し訳なくて、胸がぎゅっと締め付けられました。
理不尽な態度に出会うこともあるけれど、これからも自分の運転に自信を持ち、どんなときでも落ち着いてハンドルを握りたい。そう強く思った出来事でした。
著者:原口さくら/30代女性・主婦。3姉妹を育てる兼業主婦。好きな家事は料理。夫が多忙で毎日ワンオペ。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)
※AI生成画像を使用しています