嘘と総菜パック
私が中途半端でダメな母親だから、アミがわがままになる……マサトに言われた言葉が、頭から離れませんでした。
私は、マサトに怒られないよう、アミにまでマサトの怒りが向かわないよう、毎日必死でした。そんなある日、仕事に集中してしまい……。























「おい、マミ。これは何だ?」
ゴミ箱からスーパーの総菜パックを拾い上げ、マサトさんは冷たい目で見下ろします。
仕事と育児で時間がなく、夕食を作れなかったマミさんでしたが、「手抜きだ」と怒鳴られる恐怖から、買ってきた総菜をお皿に移し、マサトさんに出してしまったのです。
味が濃いと指摘され、思わず「レシピを変えてみたの」と嘘をついてしまいました。
「ごめんなさい、怒られると思って……怖くて……」
震えながら謝るマミさんに、マサトさんはパックを投げ捨てて激昂。
「手を抜いたことより、俺に嘘をついたことが問題なんだよ。お前は俺を騙して、裏切った」
そう言って、アミちゃんの見ている前で「ママは嘘つきだ」と、マミさんを罵倒するマサトさん。そして「母親失格だ」と吐き捨てました。
その言葉をきっかけに、今までに浴びてきた暴言が次々にフラッシュバックして、涙が溢れて止まらないマミさん。そんな絶望するマミさんの傍には、マミさんと同じように涙を浮かべながら「ママ……?」と、アミちゃんが不安げに寄り添うのでした。
◇ ◇ ◇
「怒られるのが怖い」という一心でついた嘘が、結果として「母親失格」というレッテルを貼る口実を与えてしまったこの状況、マミさんの努力や気持ちを考えると、胸が痛みます。夕食にお総菜を活用することは「手抜き」でも「悪」でもないはず。それを「家族への裏切り」と断罪し、人格まで否定するマサトさん。どうかマミさんには、この生活の異常さを冷静に受け止め、距離を取るなどの行動を起こしてほしいですね。
パートナーに対し、怒られることを恐れて隠し事や嘘をつかなければならない関係性は、健全とは言えません。もし、相手の顔色をうかがって本音が言えないと感じたときは、自分が悪いと責めるのではなく、その関係性自体がすでに危険な状態にあるということに、いち早く気づき、行動を起こしたいですね。
つらいときは遠慮せずに周囲に助けを求めましょう。頼れる人が思い当たらない場合は、専門機関に相談することもできます。相談窓口をいくつかご紹介します。
※よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
ガイダンスで専門的な対応も選べます(外国語含む)
0120-279-338 つなぐ ささえる(フリーダイヤル・無料)
岩手県・宮城県・福島県から 0120-279-226 つなぐ つつむ(フリーダイヤル・無料)
※こころの健康相談統一ダイヤル
電話をかけた所在地の都道府県・政令指定都市が実施している「こころの健康電話相談」等の公的な相談機関に接続します。
0570-064-556 ※相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。
※DV相談ナビ
全国共通の電話番号(#8008)に電話をすると、お近くの都道府県配偶者暴力相談支援センターにつながります。
#8008(はれれば)※相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。
ゆる山まげよさんのマンガは、このほかにもブログで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。
ゆる山まげよ