大暴走する義母に振り回され…
私が呼びかけてもお義母さんはピクリとも動きませんでした。
本当に意識がない……!? 私は急いで救急車を呼ぼうとしましたが、ふと脳裏にケンの「情に流されるな」という言葉がよぎりました。
すると、レンが廊下に走ってきて……。













戸惑うユリさんの元へ、息子のレンくんがやってきました。
「いいから! これ見て。ペットカメラに映ってた」
慌てるユリさんの言葉を遮り、小声で耳打ちし、スマホの画面を見せるレンくん。
ペットカメラの映像が映し出されているスマホ画面。誰もいない廊下に義母が歩いてきて、キョロキョロと辺りを見回します。そして、壁に背中をつけてズルズルと座り込み、ガクッと首を垂れて「倒れたフリ」をしたのです。
「誰かの足音が聞こえて、倒れたフリ……」
その映像を見た瞬間、ユリさんの中に残っていたわずかな良心や罪悪感は、音を立てて崩れ去っていきました。
レンくんはあきれた様子で倒れたフリを続行する義母の顔を覗き込み、「ばーちゃん、もう起きたら? 嘘だってわかってるよ」と言います。
それでも目を閉じたまま演技を続ける義母。ユリさんとレンくんは、そんな義母を放置して、その場から立ち去ります。
廊下に残された義母は、目を見開いてあぜん。すぐさまユリさんとレンくんを追いかけ、「私が倒れてても助けないなんて最低!!」と怒鳴り散らします。
暴走する義母に振り回され、ユリさんの心は、冷え切ってしまうのでした。
◇ ◇ ◇
まさか、ペットカメラに倒れたフリのスタンバイをする一部始終が録画されていたとは……。決定的な証拠を突きつけられてもなお、演技を続けようとする義母の往生際の悪さにはあきれてしまいますね。
ここまで信頼関係が崩れてしまうと、たとえ本当に体調が悪かったとしても「また演技だろう」と疑ってしまうかもしれません。信用は一度失うと、取り戻すのは本当に難しいものです。自分の言動がどう見られているかを客観視し、家族からの信用を失うような振る舞いは避けたいですね。
小出ちゃこ