ある夜、マミは自宅前の車内で夫が見知らぬ女性と抱き合っているような姿を目撃してしまいます。暗闇の中でマミの目に焼き付いたのは、その女性の肩にかかった「赤いスカーフ」でした。
後日、夫の不審な行動の真実を確かめるため、マミはあえて宅飲みが行われるという家まで夫を車で送りました。そこで現れたのは、あの日と同じ赤いスカーフを羽織った女性・モモでした。
夫は彼女を「会社で良くしてくれる同僚の奥さん」だと紹介し、モモもまた愛想よく挨拶を返しますが、モモの指に指輪はなく、また、アパートはどう見ても一人暮らし用。愛息・ヨウスケの前で平然と嘘をついてひどい芝居をする無神経さに、心底腹を立てたマミ。
「ただ泳がせるだけでは気が済まない。この2人をメチャクチャにしてやりたい」と心に誓い、復讐のために動き始めます。まずは2人の正体を暴くための罠として、独身の疑いがあるモモを「夫婦でうちに招待したい」と提案。動揺するかと思いきや、夫はなぜか落ち着いた様子でその誘いを快諾。疑惑が渦巻く中、招待の日を迎えました。
ミニスカートでやってきたモモは、マミ夫婦の家に到着するなり大はしゃぎ。夫もまたご機嫌な様子。そんな2人を冷めた目で見ていたマミですが、モモが「泊まっていく」と言い出したのです……。
お花畑の2人に静かに爆弾質問を投げ込んだ結果












モモの宿泊を快諾した夫・リュウに、マミは呆れ果ててしまいます。しかし、「証拠集めの絶好のチャンス」と自分を納得させることに。
図に乗ったモモの図々しさは加速します。マミが愛用する高級シャンプーを見つけると、「使ってみたかったんです!」とおねだり。渋るマミをよそに、リュウも「減るもんじゃないだろ」とモモの味方をします。
さらにモモは「お礼に手伝います」とキッチンへ乱入。冷蔵庫や収納を勝手にかき回す振る舞いにマミが憤っていると、リュウは無神経に言い放ちました。
「マミより手際いいじゃん、見習えよな」
その瞬間、マミの心は一気に冷え切ります。
「……じゃあ、全部やってもらおうかしら」
夕食の準備ができると、モモは「なんか暑くって♡」と上着を脱ぎ捨てました。その下は、場違いなタンクトップ姿。剥き出しの素肌を前に、リュウは鼻の下を伸ばして喜んでいます。
冷ややかな視線を送るマミを無視して、2人は並んで座り、モモが甲斐甲斐しくリュウの皿に肉を取り分けます。その様子は、まるで新婚夫婦のようでした。
そこでマミは、静かに爆弾を投げ込みます。
「ねぇ、なんだかそっちが夫婦みたいね。……もしかして、付き合ってたりする?」
直前までの浮かれた空気は一変しました。
「な、何をバカなことを……っ」 「えっ、何言ってるんですかぁ、もう~」
あまりにも分かりやすく動揺し、視線を泳がせる2人。その稚拙な反応に、マミは冷徹に確信を深めるのでした。
◇ ◇ ◇
「付き合っているの?」というあまりに真っ直ぐなマミさんの問いは、余裕たっぷりに振る舞っていた2人を激しく動揺させました。後ろめたさというものが、どれほど人をもろくさせるかを表しているようです。
マミさんが選んだ、相手と同じ土俵に立たず、冷静に事実を見極める道。それは単に事実を追及するだけでなく、一歩引いて相手を観察することでもあります。マミさんの行動は簡単にできることではありませんが、ただ感情をぶつけるよりも、自分自身の尊厳を守ることにつながるのかもしれませんね。
もしみなさんの目の前に、疑わしい振る舞いをする2人がいたら、どのように対応しますか?
きりぷち