連絡もなく遅く帰宅した夫を問い詰めると…
5年生になる娘から夕方、「お父さんがまだ帰ってこない」という連絡があり、夫に何度も連絡しましたが返事はありませんでした。私は仕事の段取りを調整し、母に来てもらう手配をしました。そのことを伝えても、夫は悪びれる様子もなく、「仕事が入った」「義母が来たなら問題なかっただろう」と言い、連絡ひとつできなかったことを「忘れていた」で済ませようとしました。
母が夕飯を作ってくれたことを伝えても、夫は「家族なんだから当たり前だろ」と笑います。さらに腹立たしかったのは、娘のことでした。もう少しコミュニケーションを取ったらどうかと伝えても、「もう小5だからいいだろ」「俺の役目は終わった」と言い切ったのです。
私は疲れていましたが、何も言わなければ、また同じことが繰り返されると感じました。「改善しないなら、生活費も家事も育児も、すべてきれいに折半。それができないなら、別々に暮らす」と伝えると、最近カードの支払いが増え、生活費を入れる額が少なくなっていた夫はすぐに謝り、「直す」と言いました。私は、ひとまず夫の言葉を信じることにしたのです。
娘とのドライブを計画する夫に、ひとまず安堵して…
それから1カ月後。夫は「今週末、娘とドライブに行ってくる」と言い、週末に娘と出かける約束をしたようでした。娘がうれしそうに出かける準備をしている姿を見て、「壊れかけていた関係も、立て直せるかもしれない」と思いました。
最近の夫は、自分がやった家事を大げさに誇ったり、「週末に娘と過ごすために、平日に残業している」と自分に都合の良い理屈を並べたりしていましたが、それでも“ゼロよりは前進している”と、私は目をつぶっていました。
ですが、「来週は家族で遠出しよう」と提案したとき、夫が露骨に渋ったのは気になりました。そして、「来週はひとりで出かけたいところがある」と言ったのです。空気が悪くなるのを避けたくて、それ以上の追及はしませんでしたが、そのときの小さな違和感こそ、見過ごしてはいけないサインでした。
夫とドライブに行ったはずの娘から、突然の連絡が…
週末の昼過ぎ、仕事の資料を広げていると、娘から電話が入りました。泣きそうな声で「ママ、病院に来られる?」と言われ、頭の中が真っ白になりました。事情を聞くと、娘は夫とドライブに出かけ、お昼ごはんを食べた帰りに、「ここからはひとりで家に帰って」と、家の近所の大通りで降ろされたというのです。
夫は「お金を渡すから、欲しいものを買ったらいい」「ママがうるさいから、16時まではパパと一緒にいたことにして、それまで図書館で過ごして。パパは急な仕事が入って遅くなるって伝えておいて」と軽い口調で言い、娘は欲しかったマンガのこともあり、断れずにうなずいてしまったそうです。
娘は夫の言う通り、図書館へ向かおうと走っている途中で段差に足を取られ、転倒したようでした。激痛で動けず、膝から下をかばうようにしてうずくまっていたところを、偶然通りかかった近所のママ友が見つけてくれました。ママ友は救急外来の受診手配を進めながら、娘を病院まで連れて行ってくれたのです。娘本人からの連絡で事情に気づきましたが、その少し前に、ママ友からも連絡が入っていました。
夫はどこに?連絡すると耳を疑う返答が…
医師の診断は骨折でした。私は病院へ駆けつけながら、胸の奥で怒りと恐怖が渦巻いていました。本来、娘を守らなければいけない夫が娘のことを途中で放り出した。その結果、娘はけがをして病院に来ている。その現実が、どうしても許せませんでした。
病院の外で夫に電話をかけると、夫は「今は休憩しているけど、ドライブ最高ってはしゃいでるよ」と平然と言いました。私が言葉を失っていると、「景色が最高だ」と笑っています。私は、事実を突きつけました。
すると夫は「急に上司から電話があって」と言い訳し、さらに問い詰めると話を変え、最後には副業だのプライバシーだのと逃げました。その場しのぎの嘘が重なるほど、私は確信していきました。私は娘が骨折したことを簡潔に伝え、しばらくこちらには帰ってこないで、義母の家に帰ってほしいと告げました。
夫の隠し事が、リビングのパソコンから発覚…
それから1週間後。話し合いの席で夫は泣きつくように謝り、「やり直したい」「離婚を考え直してほしい」と言いましたが、私は首を縦に振れませんでした。娘を放り出したことも、私に隠して口止めしていたことも、嘘を重ねたことも、どれひとつとして許せるものではなかったからです。
そして決定打となったのは、夫がその時間を不倫相手に会うために使っていたという事実でした。何を思ったのか、夫は不倫相手から送られてきた甘い言葉をスクショし、ツーショットの画像とともに、リビングのパソコンにフォルダを作って保存していたのです。何か隠しているのでは……と思い、見覚えのないフォルダをひとつずつ開いていった私は、ついにそれを見つけました。
夫は「遊びだった」「もう別れた」「これから努力する」と言いましたが、その言葉は、私には都合の良い嘘にしか聞こえませんでした。娘も「もうお父さんに会いたくない」と静かに言いました。その表情を見たとき、これ以上この人を“父親”として家に置くことは、娘の心を削り続けることになると確信しました。
離婚は決定し、慰謝料と養育費の取り決めを進め、親権は私が持つことになりました。後日、夫と同じ会社に勤める不倫相手が、別れ話をきっかけに職場で騒ぎを起こし、ふたりの関係が周囲にも知られることになったと、以前うちに来たことのある会社の人から聞きました。これからは、娘の幸せを第一に考え、笑顔で過ごしていきたいと思っています。
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家族との約束を軽視し、連絡を怠り、都合の悪いことを「忘れていた」「仕事だった」と曖昧に済ませる――。そうした行動は一見ささいに見えても、積み重なれば信頼を大きく損ないます。ましてや、子どもに嘘をつかせる行為は決して許されるものではありません。夫にはひとりになって自分の行動を猛省してほしいですね。
【取材時期:2025年12月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。