義両親の目的は「助けて」ではなく「出せ」
ある日、義母から電話が来ました。声のトーンは柔らかいのに「ねえ、ちょっと聞きたいんだけど……。あなた、息子にちゃんと言ってくれてるの? “お願い”があるって!」と、威圧的な言葉を投げかけてきたのです。
私は嫌な予感がして「それはどういうことでしょう……?」と義母に問いかけました。すると返ってきたのは「今月、厳しくてね〜。家族なんだから、少し助けてもらえない?」と言うのです。 “少し”と言いながら、金額をぼかしてくるところが卑怯だと思っていました。私が黙ると、義父が割り込んできて「もしもし!? あんた、嫁としての自覚が足りてないんじゃないのか? こっちは困ってるんだぞ!」と言い放ったのです。私は心の中で「お願いしてる側が、その言い方!?」と、ツッコミが止まりませんでした。
さらに数日後、義母が「あなた名義で、カード作れない? ちょっと立て替えが必要なだけ。すぐ返すから」と“貸して”の言い訳を変えてまたお金を借りようとしてきたのです。私がはっきり断ると、義母は一瞬で声が冷たくなり「ふーん。家族なのに、冷たいのね」と一言。このとき、義両親は“家族”という言葉を便利な合言葉にしているだけだと確信したのです。
夫まで言い出した「嫁なんだから従え」
義両親の金銭要求がエスカレートしてから、私は何度も夫に相談しました。夫は、困った顔をするだけで「親が困っているんだから仕方ないじゃないか! 少し我慢すれば丸く収まるんだから」と言うだけで、私の気持ちは後回し……。お酒が入った夜、 「嫁なんだから、親に従えよ!」 と言い放ったのです。その瞬間、胸の奥がスッと冷えました。 この人は、私を守る側じゃない。 義両親と同じ方向を向いていると感じたのです。
そんなやり取りが続いたある日、 義両親からの連絡が、なぜか急にピタッと止まったのです。あれほど頻繁だった電話も、メッセージも、一切なし。 正直、少しホッとしました。しかし、同時に理由の分からない不安も残りました。 そして入れ替わるように夫の外出が増え始めたのです。休日になると 「職場の人と会う」「ちょっと用事があって」と言って家を出るようになり、 平日も帰宅は深夜続き。 今までそんなタイプじゃなかったのに、生活のリズムが明らかに変わっていました。
ある日、夫が出かけたあと夫の忘れ物に気づき、届けようと家を出ました。すると少し先で、夫が見知らぬ女性と並んで歩いているのを見かけたのです。並んで歩く距離感がどう見ても職場の人ではなく……。その瞬間、 義両親の沈黙と、夫の変化が、一本の線で繋がりました。 ——ちゃんと確かめないといけない。 私はそう思ったのです。私は少し時間を置いてから、夫の後を追いました。
「婚約したんです〜♡」現場で全部つながった瞬間
しばらく歩いたあと、 私たちが結婚前に義両親と顔合わせをしたレストランへ夫と女性が入って行きました。その瞬間、嫌な予感が確信に変わりました。私は覚悟を決め、 “姉”という立場でレストランへ入りました。
中に入ると、夫と女性、そして義両親の姿がありました。私は夫の姉だと名乗り席につきました。夫は明らかに動揺し、 義両親は無理に笑顔を作っていました。 女性は「お姉さんがいるとは聞いていませんでした! 私、彼と婚約したんです〜♡」と言い、自己紹介をしてくれました。話を聞くと彼女の実家は裕福な家庭ということがわかりました。そこで夫と義両親の狙いがはっきりとしたのです。私は女性の目をしっかりと見て「実は私、姉じゃありません。この人の妻です」 そう告げ、スマホを取り出し結婚式と新婚旅行の写真を見せました。そして「夫はあなたを愛しているのではなくお金を愛しているんです。義両親も、迎え入れるのはあなたではなくお金です」と冷静に告げました。すると、女性の顔色が一気に変わり、 義両親は慌てて言い訳を始めます。 すると女性が震える声で「無理です。こういう家族とは関われません」と言い、顔合わせはその場で崩壊しました。
私は夫と義両親に向かい「私は財布じゃありません。離婚してください」と告げました。 こうして私は、 “都合のいい嫁”として扱われる結婚を終わらせたのです。
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結婚は、誰かの借金や都合を背負う契約ではありません。本当の家族になりたいなら、誠実さが先にあるはずです。違和感を無視せず、線を引く決断が必要なのかもしれません。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。