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お見合いの前日、無職に。「お見合いはなかったことに…」頭を下げた僕に、彼女から予想外の提案が

30代半ばになっても恋人がいなかった僕を心配してか、両親がお見合いを組んできました。お見合いの日当日、僕は「どうしよう……」と思いながら食事の場へ。そういった思いを抱いていたのは、お見合い自体が嫌だったからではなく、実は勤めていた会社を前日に辞めていたから。「こんな状態で会うのは失礼だろう」と思っていた僕でしたが、このときの彼女との出会いが、僕の人生を大きく動かしていくことになりました。

無職の自分がお見合いなんて

上司が変わり、どうにも新しい上司と馬が合わなかった僕。仕事の進め方や、仕事の考え方について衝突することも多くなりました。そんなとき、上司から「嫌なら辞めろ」と言われ、悩んだすえに退職を決意したのです。

 

実は、両親が組んだお見合いは、僕が会社を退職した次の日でした。

 

そのため「無職になっているなんて詐欺みたいなもの。相手の女性に悪い……」と申し訳ない気持ちでいっぱいでした。ただ、親からの強い勧めもあって、とりあえず顔だけでも……と、僕は約束の場所に向かいました。

 

お見合いの場で待っていたのは、笑顔が印象的な女性。彼女は明るく挨拶をしてくれました。

 

そのタイミングで「すみません。勤務先をお伝えしていたと思うのですが、実は昨日会社を辞めてしまって……今は無職なんです。申し訳ないので、このお見合いの件は、なかったことにしていただければ……」と頭を下げた僕。

 

正直、嫌な顔をされる覚悟をしていました。けれど……。

 

彼女から予想外の提案

彼女は「そうだったんですか?」と一瞬驚いた顔を見せたものの、「でもせっかくなので今日はお話ししませんか?」と笑顔で言ってくれたのです。

 

彼女がいいなら……という思いで、僕は彼女と食事をしながらいろいろな話をしました。彼女の勤め先は聞いていませんでしたが、なんと僕が以前勤めていた会社のライバル企業。まさか近いところにいたなんて驚きでした。そうしてお互いのことを話したのち、もうすぐお開きの時間……というタイミングになって、僕は彼女から

 

「もし転職先が決まっていなければ、私が勤めている会社とか……興味はありませんか?」

 

と言われたのです。

 

さらに、「せっかくのご縁なので、今後の私たちの関係も、前向きに考えてもらえたらうれしいです」という言葉まで。彼女からは予想外の反応ばかりでただただ驚きでした。

 

彼女が放った、胸のすくひと言

その後しばらくは、仕事のこと、プライベートのことを考える日々でした。ライバル企業への転職……。上司と馬が合わなかったとはいえ、切磋琢磨し合っていた仲間たちがいました。そんな仲間たちを裏切ることにならないかという不安も大きかったのです。そんな不安を抱きつつではありましたが、せっかくの申し出でもあったため、僕は彼女に連絡し、中途採用試験を受けたい旨を伝えました。

 

そして面接を経て、彼女が勤める会社への入社が決まりました。彼女とは同じ部署に配属され、同じチームとして一緒に働く仲になりました。

 

入社後しばらくして、競合他社が集まるプレゼン会の場へ彼女と行くことになったのですが……。その場で、前に勤めていた会社の上司と再会してしまいました。もちろん「こういうこともあるだろう」とは思っていたものの、こんなに早いタイミングで再会してしまうなんて、という気持ちでした。

 

案の定、僕がライバル企業へ転職したことを察すると、元上司からは「(僕が前勤めていた)会社の情報を横流しするために(ライバル企業へ)転職したんだろ」「お前のことを裏切者だと広めてやる」などと言われ……。

 

僕は何も言い返せませんでした。確かに、ライバル企業への転職は誤解を招きやすいものです。でも、僕は何かを盗み出したわけでも、誰かを裏切るつもりもありませんでした。ただ、自分の働き方を見つめ直し、新しい環境でやり直したいと思っただけです。

 

それでも元上司の視線は冷たく、「どうせ長くはもたないだろ」と小さく吐き捨てるように言いました。胸の奥がぎゅっと締めつけられ、返す言葉が見つかりませんでした。

 

そんなとき、隣にいた彼女が一歩前に出て、元上司の前で静かにこう言いました。

 

「彼がここにいるのは、私たちの会社が必要だと判断したからです。前の職場のことを悪く言うつもりは、まったくありません」

 

場の空気が一瞬で凍りつきました。元上司は一瞬言葉を探すように口を開けましたが、結局何も言えずに視線を逸らし、そのまま去ってしまいました。

 

気づけば、人生のパートナーに

あの日以来、僕の中で彼女への気持ちははっきりとしたものになりました。転職して環境が変わり、不安も多かったはずなのに、彼女はいつも背中を押してくれました。僕も自然と彼女を支えたいと思うようになり、仕事のあとに食事をしたり、休日に出かけたりと、少しずつ距離が縮まっていきました。

 

ある日、彼女から「最初のお見合いのとき、あなたが正直に話してくれたから信頼できたんです」と言われました。無職になったばかりで情けないと思っていたあの瞬間が、実は2人の関係の始まりだったのだと気づき、胸が熱くなった瞬間でした。

 

そして自然と交際が始まり、僕たちは結婚しました。

 

お見合いの席で「この話はなかったことに」と頭を下げた僕に、「それでも話してみたい」と言ってくれた彼女。退職とお見合いが同じタイミングで訪れたあの日がなければ、今の僕たちはないのかもしれません。あのときのお見合いが、僕の人生をまるごと変えてくれたのです。

 

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

 


 

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