結婚式当日、私は義母から譲り受けた着物を着て、早めに式場へ入りました。
夫は相変わらずでした。「そのメイク、七五三みたいだな」「古臭い着物がよく似合うな!」など、平然と私を傷つけます。
周囲に人がいる場でもお構いなし。「目立たないように静かしにてろよ」と言って、招待客のほうへ行ってしまいました。
どっと疲れてしまった私は、夫の言う通り親族控室の隅で静かに式が始まるのを待つことにしたのです。
結婚式場で密会
もうまもなく結婚式がスタートするというころ、私はトイレに行こうと親族控室を出ました。しかし結婚式場は迷路のよう……。トイレをすぐに見つけられず、私は迷子になってしまいました。
すると、式場の一番奥にある、その日は使われていなかった控室から、夫の声が聞こえたのです。
隙間から覗くと、夫とキレイな女性の姿が見えました。おそらく、先日話していた美人の幼なじみでしょう。人目につかない控室で、ふたりは驚くほど近い距離に立っていました。
次の瞬間、彼女が夫の腕に手を絡め、顔を近づけました。周囲を気にする様子もなく、慣れたような仕草……。彼らの関係が最近始まったものではないことが、はっきりと伝わってきます。
夫たちの話に耳を澄ませていると、式の後、2人でホテルに行く約束を交わしていました。最近になって急に私をけなすようになった理由が、この光景を見てようやく腑に落ちたのです。
夫の裏切り行為
結婚式自体は、滞りなく終わりました。義妹はとてもきれいで、本当に素敵な花嫁でした。
夫はというと、何食わぬ顔で親族や友人と談笑していました。あの控室での出来事など、最初からなかったかのようです。
その後、夫は私に向かって、何気ない口調で「このあと飲みに行く」と告げました。その言葉を聞いた瞬間、私は確信しました。控室で耳にした、あの約束通りだ、と。
このまま何も知らないふりをして夫を送り出すことは、どうしてもできませんでした。私は夫を呼び止め、控室で見たことを含め、すべて知っていると伝えました。
夫は一瞬だけ言葉に詰まりましたが、すぐに態度を変えました。悪びれる様子はなく「彼女とはなんでもない」と言い張るのです。
ちょうどそのとき、お見送りを終えた義妹が戻ってきたよう。私たちの会話の一部始終を聞いてしまいました。
思いがけず耳に入った内容に、妹はその場で立ち尽くしていました。兄が自分の幼なじみと不倫していたなんて、きっと義妹もショックだったことでしょう。妹の表情から、さっきまでの喜びの色は一気に消えていました。
夫は慌てて取り繕おうとしましたが、妹は静かに首を振りました。夫の裏切りは私たちだけの問題ではなく、妹の大切な一日まで踏みにじった行為だったのです。
夫の末路
その場では、それ以上話をすることはありませんでした。結婚式という場を、これ以上乱すわけにはいかなかったからです。
後日、義妹は改めて事実を確認し、深く怒りました。自分の結婚式に招くほど親しい幼なじみと兄が不倫していたこと、そして私を傷つけ続けていた夫の態度――どれも許せなかったようです。
ちなみに結婚式の日、夫は予定通り飲みに出かけました。幼なじみとはなんでもないと言い張ったまま出かけた夫でしたが、帰宅した彼からは、はっきりと香水のにおいが漂っていたのです。私はこれ以上信じ続けることはできないと感じました。
その後、義妹から義両親にも事実が伝えられました。夫の行動を知った家族との関係は次第にぎくしゃくし、結果的に信頼も居場所も失っていったのです。人を見下し、裏切った結果がどんなものか、夫自身も思い知ったことでしょう。
◇ ◇ ◇
日常の中で積み重なってきた違和感や、何気なく投げかけられた傷つく言葉は、想像以上に心に残るものです。近い存在だからこそ、つい軽く扱ってしまう言動が、相手の心を深く傷つけてしまうこともあります。
大切にしたい家族だからこそ、当たり前の存在としてないがしろにしないこと……。互いを思いやり、尊重し合う姿勢を忘れずにいたいものですね。
【取材時期:2025年12月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。