自分の準備しかしない夫
連休を作って行った家族旅行。「やっと出発だね!」と子どもたちと笑ったのも束の間、私はすでにヘトヘトでした。
子どもたちの着替えやおやつ、タオル、薬、保険証ケース、予備の服と、荷物は多くなりがち。前日から準備し、当日朝は洗濯・食器の片付け・ゴミ捨て・戸締まりまで全部私の担当です。一方、夫はというと、自分のカバンひとつを持って「早く行こうよ。俺、終わったから先に車行ってるからね」とだけ言い残し、スマホを触りながら車で待機していました。
準備が終わり、子どもたちと一緒に車へ。出発したものの、すぐに渋滞にハマってしまいました。後部座席の子どもたちはぐずり始め、車内はどんよりした空気に。そのとき夫がため息をつきながら「だからもっと早く出たいって言ったのに。準備に時間かけすぎなんだよ。なんで要領よくできないの?」と言ったのです。
その瞬間、私は「要領が悪い? 出発前の家事も、子どもたちの荷物の準備も全部私がしたんだけど。あなたは自分のことだけでしょ。文句言うなら手伝ってよ。運転だけしてればいいからラクでいいね」と思わず声を荒げてしまいました。夫は「運転も大変なんだけど」と返し、そこから沈黙。夫はイライラした様子で急にラジオの音量を大きくしました。車内はさらに重たい空気に……。
しばらくして、小学1年生の息子が不安そうに「パパも頑張ってるけど、ママもいっぱい準備してたよ」とぽつり。年少の娘も「ママすごいよー! 朝スーパーマンみたいに動いてた!」と笑顔で続けます。私はその言葉にハッとしました。子どもたちは朝からの様子をすべて見ていたのです。
私は子どもたちに「ありがとう」と声をかけましたが、夫は気に入らない様子。黙ったまま運転を続けます。気まずい沈黙が1時間ほど継続し、サービスエリアに着いたところで、夫がようやく「さっき子どもたちに言われたこと、運転しながら考えてた。出発前の準備って、そんなに大変だったんだな。俺、自分の荷物だけでよかったから気づけなかった。どう分担したらいいか教えてほしい」と口を開きました。
その言葉に私も冷静になり「準備そのものは私がするよ。でも、出発前の家事は手伝ってほしい。ゴミ捨てとか、戸締りとかできるところはしてくれないと、早くなんて出かけられないし、全部ひとりで背負っている感じがするから」とぽつり。夫はうなずき、「わかった、次から気をつけるよ。いつもありがとう」と言いました。それを聞いて、私の気持ちもようやく軽くなったのです。息子が「もうけんかしないでね」と笑い、娘も「仲直り〜!」と手を叩き、車内に柔らかい空気が戻りました。
家庭の中には気づきにくい負担が多くあると思います。今回の出来事を通して、お互いの役割を言葉で共有することの大切さを実感しました。小さな「ありがとう」を伝え合うだけで、家族の時間はもっと穏やかになると感じた出来事です。
著者:井島りほ/30代・ライター。小学1年生の息子と年少の娘を育てるママ。おしゃべりが大好きで寝るのが苦手な兄妹と、にぎやかな毎日を過ごしている。
作画:ryo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)