祖母の家の隣には、私たちと同年代のご夫婦が住む新しい家がありました。ご主人は出張が多く不在がちでしたが、奥さんはとても愛想が良く、美しい方でした。
引っ越しが済み、あいさつへ行くと、出迎えてくれた隣の美しい奥さんを見て、夫は明らかに浮き足立っていました。妻としては少し複雑な心境でしたが、ご近所トラブルとは無縁の良好な関係を築けそうだと安心しました。
それから隣の奥さんは、ご主人が不在がちで寂しさもあってか、私によく連絡をくれるようになり、私たちはお互いを名前で呼び合うほど親しくなりました。
隣のご主人からの衝撃の報告
引っ越しから半年ほど経ったある日、隣のご主人が突然わが家を訪ねてきました。いつも穏やかなご主人が、玄関先で深々と頭を下げ、苦渋の表情で語り始めたのは、私の夫と隣の奥さんの不倫の事実でした。
ご主人は以前から奥さんの様子に違和感を抱き、興信所に調査を依頼していたそうです。差し出された報告書には、言い逃れできない証拠写真が並んでいました。密会の約束や親密なやりとり、私の留守中にわが家で逢瀬を重ねていた様子までが記録されていました。
ご主人からの報告を受け、私も夫の書斎を調べると、見知らぬスマホ(私に内緒で契約していた夫のもうひとつのスマホ)が見つかりました。私に見つからないと高をくくっていたのか、大胆にもそのスマホの待受は奥さんと夫の顔を寄せ合った2ショット。
それから、ペットカメラにも映像が残っていたのです。祖母は猫ちゃんを飼っており、その猫ちゃんの様子を私の両親が見守っていました。祖母が亡くなり、猫ちゃんは私の両親が引き取りましたが、ペットカメラはそのままわが家に置かれたままだったのです。
数日後、私は証拠を手に、まずは隣の奥さんと直接話をすることに。奥さんは当初とぼけていましたが、私が証拠を突きつけると観念し、不倫を認めました。「夫が不在で寂しかった」「彼がやさしくしてくれたから」と涙ながらに語る姿に、友人としての信頼を裏切られたショックと、身勝手な言い分への怒りがこみ上げました。
隣の奥さんをかばう夫
奥さんとの話し合いには、私も顔見知りである奥さんの実母にも同席してもらいました。ひと通りの話を終え、私は仕事中の夫に連絡を入れました。
「仕事中なんだけど、何?」
「用があるなら手短にな」
夫の偉そうな態度に腸が煮えくり返る思いでしたが、冷静さを保ちながら、私は告げました。
「隣の奥さんと親御さんが目の前で土下座しているけど」
「え?」
夫は明らかに動揺し、状況が飲み込めないといった様子でした。私は、隣のご主人から不倫の事実を聞かされたこと、目の前で奥さんと奥さんの実母が頭を下げていることを淡々と伝えました。
「証拠もすべて揃っているの」と告げると、夫は観念したのか不倫を認めました。しかし、謝罪の言葉はなく、あろうことか奥さんを擁護し始めたのです。
「彼女は寂しかったんだ」
「守ってあげたくなる、儚い子なんだ。お前みたいに強くない」
「不倫したからって、彼女を責めるな」
夫は奥さんが演じていた「儚げな女性」という虚像を完全に信じ込んでいました。私はあきれ果て、「それなら、今すぐ帰ってきて直接彼女の話を聞けばいい」と返しました。
儚げな奥さんの真の姿
急いで帰宅した夫を待っていたのは、衝撃的な事実でした。隣の奥さんは不倫だけでなく、わが家に出入りする際に金品を持ち帰っていたのです。しまっていた祖母が残したアクセサリーや、小物などだったため私は気がついていませんでしたが、ペットカメラの映像と、ご主人の証言でその事実が明らかになりました。
ご主人が私に不倫の事実を報告に来てくれた際、「妻の母が、以前あなたのおばあさんが愛用されていたブローチとよく似たものをつけていたのですが、もしかすると妻が持ち帰ったかもしれません。念のため、確認してみてもらえますか?」と言っていたので、祖母が残した金品を確認したところ、ご主人の言葉通りなくなっていました。
なんと奥さんは、持ち帰った品の一部を「プレゼント」として実母に渡していたのです。そのため私は、奥さんの実母にも同席いただき、品物の返還と謝罪を求めたのでした。そう、「儚げで守ってあげたくなる女性」というのは、奥さんが夫に取り入り、警戒心を解くための演技だったのです。
真実を知った夫は、顔面蒼白で立ち尽くしていました。「騙されていたなんて……」と泣き崩れ、「魔が差しただけだ、やり直させてくれ」夫は手のひらを返したように、私に許しを請いました。しかし、もう私は夫を信じることはできません。窃盗に関しては、示談金と弁償を受け入れることで被害届の提出は見送りました。
その後、隣のご夫婦も私たち夫婦も離婚することになり、隣はご主人も奥さんも引っ越していきました。私も夫と離婚し、現在は祖母の家でひとり、穏やかな日々を送っています。不快な記憶は捨て去り、新しい人生を楽しんでいきたいと思います。
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不倫に加え、盗みまで働いていたとは……言葉を失ってしまいますね。人は見かけによらないと言いますが、好意や同情を利用することは許されるものではありません。人と接するときは、表面的な魅力だけでなく、その人の本質や誠実さをしっかりと見極めることが大切ですね。相手から信頼してもらえるよう、またその信頼を裏切らないよう、誰に対しても誠実に向き合いたいですね。
【取材時期:2025年12月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。