夫は意気揚々と「東京に行く」と友人との約束を取り付けたものの、ホテルや交通手段の手配をすべて私に丸投げ。「せっかくだからセンスのいい部屋にしろ」「喫煙できる部屋がいい」と注文ばかり多いわりに、予算は雀の涙ほどしかありませんでした。
条件に合う場所が見つからず、一緒に探してほしいと相談すると、夫は呆れたようにため息をつきました。「お前さ、段取り悪すぎない? 専業主婦で時間はたっぷりあるんだから、それくらいなんとか探してよ」
私の苦労を想像しようともせず、ただ見下す夫。それでも「家族の思い出になれば」と自分に言い聞かせ、なんとか準備を整えて当日を迎えました。
しかし、その淡い期待は機内で無残に打ち砕かれることになります。
空の上での絶望
慣れない飛行機の音と気圧の変化に驚いたのか、娘が機内で激しく泣き出してしまいました。私は必死であやしましたが、泣き声は大きくなるばかり。周囲に頭を下げながら、冷や汗を流して娘をあやし続けました。
隣に座る夫に助けを求めようとしましたが、夫は露骨に不機嫌な顔でイヤホンを装着。「うるさいな。恥かかせやがって」「どっかおかしいんじゃないのか?」と、娘を心配するどころか、まるで汚いものでも見るような目で私たちを睨みつけたのです。
孤独と申し訳なさで押しつぶされそうになりながら、永遠にも感じる1時間を耐え抜きました。
そして空港に到着した直後、夫は信じられない行動に出ます。「機内で泣かれてテンション下がったわ。別行動したいから、お前らは勝手にホテル行ってて」
大きな荷物と抱っこの娘……。慣れない都会をひとりで移動するのがどれほど大変か、想像すらしていないのでしょう。私が呼び止めるのも聞かず、夫はスタスタと去っていきました。
旅行先に置き去りに……
翌日も夫とは別行動。さらにその夜、夫から悪びれる様子もなく連絡が入ります。「俺、もう帰るわ。お前らがいると楽しくないし、飛行機で先に帰ってきたから」
なんと夫は、家族を旅行先に置き去りにして、自分だけ帰路についていたのです。
しかしその少し後、再び夫からの着信が。声は今まで聞いたことがないほど慌てていました。「おい! 家に帰ったらお前たちの荷物が何もないけど、一体どうなってるんだ!?」
実は空港で置き去りにされた直後、私は実家と義実家の両方に洗いざらい事情を話していました。激怒した双方の両親が結託し、夫がいない間に私と娘の当面の荷物を運び出し、別居の準備を整えてくれていたのです。
産後のサポート用にと、両親に鍵を預けていたことが功を奏しました。私は受話器越しに、はっきりと告げます。
「私、あなたと離婚します。泣いている娘を『おかしい』呼ばわりしたうえに、旅先に置き去りにするような人は、父親とは言えない……」
夫は「悪かった、謝るから戻ってきてくれ!」と泣きつきましたが、その声はもう私の心には響きません。私は電話を切りました。
夫への制裁
その翌朝、夫は慌てて旅行先まで追いかけてきましたが、私の決意は変わりませんでした。1カ月ほどかかりましたが、双方の両親の協力もあり、無事に離婚が成立。夫は慰謝料と養育費の支払いを約束し、やつれた様子で去っていきました。
現在は実家で娘と穏やかに暮らしています。夫の機嫌を伺う必要もなくなり、娘の成長を心から楽しめるようになりました。
これからは娘がのびのびと育てる環境を守りながら、親子2人で歩んでいこうと思います。
◇ ◇ ◇
月齢の低い赤ちゃんを連れての遠出には細心の注意が必要です。気圧の変化による耳の痛みや、慣れない環境でのストレスは、赤ちゃんにとって大きな負担となります。
特に飛行機を利用する際は、離着陸のタイミングでミルクや麦茶などを飲ませてあげると、耳抜きができて痛みを和らげることができます。また、離着陸のタイミングでおしゃぶりをくわえさせるのもひとつの方法です。
そのほか、機内でぐずってしまったときに備えて、音の出ないおもちゃやお菓子など、気分転換できるアイテムを多めに用意しておくと安心です。
もし旅行に行くのであれば、赤ちゃんの生活リズムを最優先にしたゆとりのある計画が必須。そして何より、トラブルが起きたときには夫婦で協力しなければなりません。家族みんなが笑顔で過ごせるよう、無理のないプランを立てられると良いですね!
【取材時期:2025年12月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。