威圧的な空気の面接室
私のグループの番が来て入室すると、人事部長、営業部長、そして社長が面接官として並んでいました。厳粛な雰囲気に、自然と背筋が伸びます。
学生が順番に自己紹介を始めると、人事部長が「声が小さいね。本気で受けに来ているの?」と強い口調で指摘しました。
その後も、学生の発言に対して細かく否定的なコメントが続き、室内は次第に重苦しい空気に。明らかに動揺している学生もいました。
やがて話題は出身地や家族のことに移りました。
「農家」であることへの偏見
親の職業を尋ねられ、歯科医師や会社員などと答える学生に対しても、面接官はどこか揶揄(やゆ)するような反応を見せていました。
そして私の番。
私は、両親が地方で農業を営んでいることを率直に伝えました。すると、「農家なんだ」「東京の企業でやっていけるかな?」といった、根拠のない先入観を含んだ発言が返ってきました。
直接的な差別的表現ではなかったものの、明らかに見下すようなニュアンスがあり、胸の奥が熱くなりました。
両親は、地域に根ざし、誇りを持って農業を続けています。それを軽んじるような空気に、私はどうしても黙っていられませんでした。
私が伝えたひと言
深呼吸をして、私は落ち着いた声で言いました。
「農業は天候や市場の変動と向き合いながら、経営判断も求められる仕事です。私はその姿を間近で見て育ちました。だからこそ、粘り強さや責任感には自信があります」
一瞬、面接室が静まりました。それまで強い口調だった社長が、「……なるほど」と小さくうなずき、人事部長もそれ以上は踏み込んできませんでした。
空気が、少しだけ変わったのを感じました。
面接の後に起きた変化
その企業からご縁をいただくことはありませんでした。
しかし後日、大学のキャリアセンターを通じて「面接時の対応について改善を検討している」という話を耳にしました。どうやら複数の学生から、面接の雰囲気について意見が寄せられたようです。
企業側も、時代に合った採用のあり方を見直す必要性を感じたのかもしれません。
本当に評価してくれた会社へ
その後、私は別の企業の面接を受けました。そこでは、出身地や家族の職業ではなく、「あなた自身が何を考え、どう行動してきたか」を丁寧に聞いてもらえました。
そしてありがたいことに、第一志望の企業から内定をいただくことができました。
あの面接で感じた悔しさがあったからこそ、私は自分の言葉で誇りを持って話す覚悟ができたのだと思います。
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出身地や家庭環境、親の職業などで人を評価することは、本来あってはならない姿勢です。採用の場であればなおさら、公平さと敬意が求められるもの。一方で、違和感を覚えたときに感情的にならず、自分の価値観を落ち着いて伝える姿勢は、大きな強みになることも。環境に左右されず、自分の背景を誇りに思える人こそ、どんな場所でも力を発揮できるのではないでしょうか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
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