優秀な兄と「居候」扱いの僕
僕の両親は、数年前に医者になった兄を異常なほど溺愛しています。「うちの誇りだ」と兄をちやほやする一方で、一般企業に勤める僕のことは「情けない」「ただの居候」と見下していました。
ある日の夕食時、給与明細をたまたま見られたことがきっかけで、父が激昂したのです。
「手取り10万ちょっとしかないのか!そんなんじゃいつまで経っても、家にまともな金が入れられんだろう」
僕が「最低限の生活費は毎月渡してる」と反論すると、
「何言ってんの、小銭じゃ話にならないわw」と母が鼻で笑いました。
「医者の兄貴に比べて、お前はなんだ!そんな薄給でこの家に居座って恥ずかしいと思わんのか。貧乏人は目障りだ、もう出ていけ!」
兄も勝ち誇ったような顔で黙って見ています。僕は悲しみよりも、何かがプツリと切れる音がしました。
「わかった。今日限りで出ていくよ」
自由な一人暮らしの始まり
僕は翌日、すぐに格安のアパートを見つけて荷物をまとめました。両親は「借金でもして家に迷惑だけはかけるなよ」と冷たい言葉を投げかけてきましたが、僕は一言も言い返さずに家を出ました。
両親は気づいていないようですが、実際は実家の家計はギリギリの状態でした。医者の兄は自分の給料をすべて遊びやブランド品に使い込み、家には一円も入れていません。
一方で、僕は少ない給料の中から、実家の食費だけでなく光熱費や通信費まで、すべて僕の口座から引き落とされるように設定していたのです。
家を出てから、僕はそれらすべての自動引き落としを解約し、自分の新居の契約に切り替えました。 「自分たちで払えるって言ってたし、困ることはないよね」 僕は静かな新生活を満喫することにしました。
数カ月後、真っ暗な実家で
僕が家を追い出されてから数カ月が経った夜のこと。突然、母から震える声で電話がかかってきました。
「ねえ、いきなり家の電気が消えたのよ!ブレーカーを上げてもつかないし、どうなってるの!?」
電話の向こうでは、父が「暗くて何も見えん! 早くなんとかしろ!」と騒いでいるのが聞こえます。僕は冷静に答えました。
「ああ、今まで僕の口座から払ってた光熱費、全部止めたから。数カ月経って未払いになったから止められたんじゃない?家に督促状来てるはずだけど」
「えっ、何かの間違いじゃなかったの……?」と絶句する母。
続けて、僕は事実を伝えました。 「僕が渡しているお金を『小銭』って言ったよね。でも、その小銭がなくなったら、家計も光熱費も回らないってことだよ。これからは、大好きな『お医者様』の兄貴に払ってもらいなよ」
その後、兄は貯金がゼロだったことが発覚し、両親は慌てて僕に「戻ってきてくれ」と泣きついてきましたが、僕は拒否。 現在は、自分のためだけに給料を使い、穏やかな日々を過ごしています。あの時、追い出してくれて本当に感謝しています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。