後日、夫が再会した義母は、想像とは正反対の慎ましくやさしい女性でした。そこで判明したのは、浮気をしていたのは義父であり、義母は全財産を奪われ、着の身着のままで追い出されていたという衝撃の事実……。
夫は「これまでの苦労を償いたいんだ。仕送りをしてあげたいんだけどいいかな」と私に言いました。
それを聞いた私は迷わず快諾しました。同じ女性として、彼女のこれからの人生を支えたいと心から思ったのです。
私たちは毎月10万円の仕送りを決めました。月に1回親孝行を兼ねた食事会をして、夫から渡すことにしたのです。
夫が仕掛けた卑劣な裏切り
仕送りを始めて1年、義母から「仕送りのおかげで今夜は久しぶりにお肉が食べられるわ。ありがとう」というメッセージが届きました。
そのメッセージに疑問を抱いた私……。毎月10万円送っているはずなのに、たまにしか肉が食べられないのでしょうか。
不審に思いそれとなく確認すると、信じられない事実が発覚しました。夫から義母に渡している仕送りは月に1万円……。夫は10万円のうち、9万円を自分の懐に入れていたのです。
問い詰めると、夫は反省するどころか「小遣いが少なすぎるのが悪いんだ!」と開き直りました。
離婚を決意
私がさらに追及すると、今度は実の母親に対して信じられない暴言を吐いたのです「今さら母親面して金を受け取る神経が理解できない。卑しいと思わないのか?」「本当に俺が大切なら、もっと早く会いに来られたはずだろ。結局、金が欲しくなっただけじゃないのか!」
夫の話を聞いていると、夫はかつて母親に置いていかれた恨みをぶつけているようでした。だからといって家計を誤魔化して良いことにはなりませんが……。
どんな理由であれ、夫婦の信頼を裏切ってお金を使い込んだ事実に変わりはありません。嘘をつかれたこともショックでした。
悩んだ末、私は離婚を決意しました。月10万円という金額は、私たちの家計にとって決して小さな負担ではありません。
私は夫の親孝行を支えたい一心で、副業を増やし、自分自身の洋服代や化粧品代さえ切り詰めてきました。そうして必死に捻出したお金を夫は自分の小遣いに変え、女性がいる店に飲みに行ったり、見栄のためとしか思えないブランド品を買ったりしていたのです。
義母からの感謝
私はすぐに弁護士を雇い、離婚手続きを開始しました。
夫は焦ったように「離婚なんて極端すぎるだろ。君だって、ひとりになったら仕事だけの味気ない生活に戻るんだぞ」と、さも私の心配をするような口振りで引き止めにかかってきました。その身勝手な言葉も、今の私には虚しく響くだけ……。
それに私と離婚したら、決して収入が高くはない夫は今よりも苦しい生活を強いられるでしょう。それが嫌で、引き止められている気にさえなったのです。
私は使い込まれた1年分の金額を慰謝料として上乗せ請求し、夫との離婚を成立させました。
義母には私から、事の経緯と離婚を報告しました。夫の経済状況では今後仕送りは望めず、私としてもこれ以上彼の家族に関わるつもりはありません。心苦しさはありましたが、支援を打ち切ることも合わせてお伝えしました。
生活が苦しいであろう義母でしたが、笑って受け入れ、夫のおこないを私に詫びてくれました。その上で、1万円でも本当に助かっていたと感謝の気持ちを伝えてくれたのです。
義母への仕送りを巡っては嫌な思いの連続でしたが、唯一心があたたかくなる瞬間でした。
◇ ◇ ◇
家族の力になりたいという想いは尊いものですが、そのための節約や負担は、夫婦のどちらか一方が過度に我慢するのではなく、共に向き合い、納得して分かち合うべきものではないでしょうか。
もし自分のために使いたいお金があるのなら、隠し事をするのではなく、まずは相談して一緒に捻出する方法を考えたいものですね。
【取材時期:2026年3月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。