美しい秘書の登場
ある年、秘書課にA子という新入社員が入社してきました。華やかな雰囲気のある人で、社内ですぐ注目の的に。多くの男性社員が彼女に心を奪われていたようですが、夫も見た目だけでなく、仕事ぶりまで高く評価したようです。
ある日、社長室で夫は「いや~A子ちゃんはよく気が利いて、いい秘書だよな〜。いるだけで癒やされるし、職場がパッと明るくなったよな~」と言ったので、私は特に気にかけることもなく、「優秀な人が入ってきてくれてよかったね」と答えました。
すると夫は、「いっそのこと社長専属の秘書にしちゃおっかな~」と言い出したのです。私は、社長業務が増えた夫を支える人が必要なのだろうと考え、「仕事のためになるならいいんじゃない」と答えました。
こうしてA子は社長専属秘書となり、常に夫のそばにいるように。すると夫は仕事だけでなく、私的な予定まで任せるようになりました。それでも私は夫を信じ、「一線を越えることはない」と思い込んでいました。しかし、その信頼はあっけなく崩れ去ることとなったのです。
夫の様子がおかしくなって…
A子が夫専属の秘書になってから、夫の様子は明らかに変わっていきました。外食や外泊が増え、急な外出や予定にない出張も目立つようになり、連絡がつかない日も出てきたのです。
さらに私への態度も冷たくなりました。「ねぇ、今年の年末年始は久々に旅行でもしない?」と誘っても、夫は「パス。知り合いの社長仲間とゴルフだし、行きたいならひとりで行けよ」と冷たく言い放ったのです。
私が「一緒にゴルフに行く仲間って誰?」とたずねると、「お前に言う必要ある? 俺が誰とどこに行こうが勝手だろ。口出しすんな」と突き放されてしまって……。その後、夫は私とまともに会話すらしなくなりました。
問題は家庭だけではありません。会社でも夫は仕事を放り出すようになり、社員からは「社長と連絡が取れません」「このままだと業務に支障が出ます」と相談が相次ぎ、私は夫の分まで対応に追われるようになったのです。
社長室で見た裏切り
ある日、社長室へ向かうと、半開きの扉の隙間から信じられない光景が見えました。夫とA子が至近距離で寄り添い、親密そうに手を重ねていたのです。さらに耳に入ってきた会話は、私の心を完全に打ち砕くものでした。
「も~また今日も仕事をサボってていいんですかぁ? あの鬼嫁に怒られちゃいますよ?」
「いいんだよ、仕事はあいつに押し付けてあるから。あの女は昔から俺のためなら何でもするからさ」
さらにA子が「用済みなんだったら早く離婚してくださいよ〜。あの女を会社から追い出して私を社長夫人にしてくれるんでしょ?」と言うと、夫は「そのうちな。面倒な案件をやらせてから捨てるつもりだから」と答えたのです。
頭の中が真っ白になりましたが、その場で問い詰める気にはなれなくて……。私は社長室を離れてから、会長である義父に電話し、すべてを打ち明けました。すると義父は「大丈夫。私に任せなさい」と言い、後日、夫とA子をオフィスに呼び出すよう指示したのです。
明かされた事実
約束の日、オフィスに呼び出されたA子は余裕の笑みを浮かべていました。隣にいる夫は「俺、暇じゃないんだけど」と不機嫌そうです。私はA子を見つめながら「単刀直入に聞くけど、夫と不倫していますか?」と問いただしました。するとA子は、「それがなにか問題ですか?」と言い放ちました。夫も止めることなく、黙って視線をそらすだけです。
私は「……だそうです、お義父さん。私は離婚することにします」と声をかけました。奥の部屋から姿を現した義父を見て、夫は顔色を変えました。
「お、オヤジ!? 何でここに……」
義父は夫とA子に経営や業務について次々と質問しましたが、ふたりは何も答えられません。義父はため息をつき、「この件は看過できない。お前の処遇は役員会で正式に決める」と夫に告げ、そのうえで当面の立て直しは私に任せると言ったのです。
その後、私は正式に社長に就任。二人は退職し、私は夫との離婚手続きを進めました。スキャンダルの影響を心配しましたが、会長が対応してくれたおかげで会社は持ち直すことに成功。「会長、本当にありがとうございました」と頭を下げると、義父は「期待しているよ」とほほえんでくれました。こうして私は、新たな責任とともに会社の未来を背負うことになったのです。
つらい出来事ではありましたが、自分の立場と守るべきものを改めて見つめ直すことができました。支えてくれる人たちへの感謝を忘れず、会社の未来のために一歩ずつ進んでいこうと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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