双子の赤ちゃんの母乳育児について、あまり情報がなくて困っているママも多いと思います。お世話が大変だったり、2人分の母乳は出ないかもと初めから諦めているママもいます。
今回は、できるだけラクに双子の母乳育児が続けられるポイントをお話していきます。
双子の母乳育児って難しい?
双胎妊娠は、子宮が大きくなるため切迫早産になりやすく、予定帝王切開になることも多く、36週〜37週と少し早い時期に出産になる傾向があります。出生体重が小さいと、お口が大きく開けられなかったり、おっぱいを飲む力が弱く吸いつけなかったり、おっぱいが上手に飲めないことがあります。
また、赤ちゃんが小さく生まれる場合や早産になる場合もあり、NICUやGCUなどの新生児集中治療室に大きくなるまで入院することで、ママと少しの間離れるということもあります。近年、双子は帝王切開での出産も多く、手術後の体調などにより母乳育児のスタートが少し遅くなってしまうこともあります。
双子のママは母乳が2人分出る?
双子の場合、おっぱいを吸われる回数や時間が長くなるので母乳分泌が多くなり、2人分の母乳が十分に出るといわれています。しかし個人差もあり、ママの産後の体調によっては、母乳が出るようになるまで時間がかかることもあります。
また、赤ちゃんがうまく吸えないことで分泌量が上がりにくいこともあります。最初、おっぱいに吸い付いてくれなくて直接あげれない場合には、搾乳してあげる方法もあります。搾乳は手搾乳だったり、手動や電動の搾乳器もあります。電動の搾乳器の中にはダブルポンプといって両方のおっぱいから同時に搾乳できるものもあり、母乳量が上がりやすかったり、搾乳時間が短縮できたりといったメリットがあります。
同時授乳のメリットとデメリット
双子の授乳の方法としては、1人ずつおっぱいや育児用ミルクをあげていく方法と、同時におっぱいを吸ってもらう同時授乳をする方法があります。同時授乳には、横抱きと脇抱き(フットボール抱き・クラッチ抱き)を組み合わせる方法がありますが、2児ともに脇抱きをする同時授乳が一番スタンダードだと思います。
メリットとしては、同時に授乳することで両乳房に刺激が行くのでホルモンが多く分泌し、母乳量があがりやすい、授乳時間の短縮になるという点があります。
デメリットとしては、抱き方にコツがいり、最初は誰かに手伝ってもらわないと難しいという点があります。
まずは1人ずつの授乳から始めて、慣れてきてから同時授乳に進むといいと思います。同時授乳にする時期は、赤ちゃんの大きさや哺乳力などによって変わってくるので、様子を見ながらステップアップしていきましょう。
双子の同時授乳の方法
慣れるまでは、赤ちゃんをおっぱいの近くに連れてきて授乳のセッティングをしてくれる人を確保しておきましょう。
同時授乳には、リラックスしてできるようにクッションや枕を使って、赤ちゃんを安定して支えられるようにします。おっぱいの高さに赤ちゃんの顔がくるように高さを調整します。乳頭が鼻の先につくポジションで片方の赤ちゃんをフットボール抱きで吸い始めたら、もう片方の赤ちゃんを連れてきてもらいフットボール抱きにします。タオル類などで赤ちゃんの頭を固定できるようにすると手や腕への負担が少ないです。
片方の赤ちゃんがおっぱいを吸うのが休み休みになったり、口が止まって飲むのをやめたら、おっぱいを外してお手伝いの方に渡します。ゲップをさせてもらったり、必要なら育児用ミルクを補足してもらったりしましょう。
慣れてきたら、すぐにゲップをさせられないときは脇に下ろして横向きに寝かせる、クッションなどで上半身を高くするようにすると吐き戻しが少なくなります。
授乳中は動けなくなるので、飲み物や携帯電話、リモコンなどの必要なものは近くに置いておきましょう。2人の飲む力や時間に差がある場合は、授乳のたびに赤ちゃんを左右入れ替えると良いでしょう。
双子の同時授乳は慣れるまでは少しコツがいりますが、マスターすると授乳時間がグンと減り、育児用ミルクを作ったり片付けたりする時間が減ってラクになってきます。最初は周りの協力をお願いしながら試してみてくださいね。
引用参考文献
『ペリネイタルケア 2009年 夏季増刊』
『すぐ使える!70の事例から学ぶ母乳育児支援ブック』