最初が肝心!
赤ちゃんが通ってくるママの産道は、せまいだけでなく、場所によって幅が違っていたり曲がっていたりしています。そのため、赤ちゃんはそのままの状態で産道を通るのは難しいので、産道を通過しやすくするために自分で工夫をしています。
まず赤ちゃんが最初にするのが、あごをぐっと引くこと。自分の胸にくっつくくらいあごを引いて、体を少し丸めたような姿勢になります。このとき、赤ちゃんの背中はママの腕のほうを向いています。
しかし、あごを引いただけでは赤ちゃんは産道を通ることはできません。そこで赤ちゃんは、産道に圧迫されながら自らの頭の骨同士を重ね合わせて、頭を通りやすいように小さく変形させるんです。
ここに一番時間がかかる!
そのあと、ママの腕のほうを向いていた赤ちゃんがママの背中を向くように、およそ90度回転しながら産道を下りてきます。この回転に一番時間がかかるといっても過言ではありません。ママがつらい陣痛やいきみ逃しを頑張っているとき、赤ちゃんも一緒に頑張っているんですね。
妊娠中に体重が増え過ぎてしまうと、産道に脂肪がついてしまいます。ただでさえせまい産道がさらにせまくなってしまうので、赤ちゃんが回転して下りてくるのが大変になってしまいます。そういったことからも、妊娠中の体重コントロールは大切なんです。
もうすぐ赤ちゃんが誕生!
ママの背中側を向いた赤ちゃんは、陣痛とママのいきみに助けられて、下降を続け、いよいよ頭が出てきます。そのとき、赤ちゃんは少し頭を後ろにそらせるようにして下りてきて、自らの頭が外に出るのを助けます。
赤ちゃんの頭が出ると、助産師から「もういきまなくていいですよー。短く呼吸してくださいねー」というような説明が。このとき、助産師がゆっくり赤ちゃんの頭から顔の部分までが出てくるのを助けます。
そのあと、赤ちゃんは、自分の肩を外に出すために、産道に入るときと同じ方向を向くんです。赤ちゃんが横を向いたら、助産師が肩を片方ずつ出して、赤ちゃんの全身が外に出てきます。「おめでとう!」の瞬間ですね。
赤ちゃんが頑張った証?
せまい産道を通ってきた赤ちゃんの頭は、「細長く変形している」ことが多いです。産道がせまく、赤ちゃんが下りてくるのに時間がかかった場合、変形が強くなることがあります。でも、これも赤ちゃんが頑張った証!
このまま治らないんじゃないかしら……と心配になるかもしれませんが、生後数日で戻ります。頭の骨の重なりも徐々に元に戻ります。
ときどき、あごの引きつけが弱かったり、逆に反らしてしまったり、回る方向が違ったりする赤ちゃんがいます。そうするとお産が長引いたり、ときには帝王切開になってしまうことも。「ちゃんと回って下りてきてねー」とママも赤ちゃんにお話ししてあげてくださいね。