退職後に増えた頼まれごと
私は60代で長く勤めた仕事を退職しました。最初のうちは、時間に追われない生活に少しほっとしていました。朝も慌てずに過ごせるようになり、これからは自分の体を労わりながら暮らそうと思っていました。
ところが、退職したことが町内に知られると、少しずつ頼まれごとが増えていきました。町内会の掃除、回覧板の準備、集会所の鍵開け、行事の買い出しなど、「定年後だし、時間あるでしょ」と声をかけられることが多くなったのです。
最初は、長年お世話になってきた地域のことなので、できる範囲で協力したいと思っていました。けれど、頼まれるたびに引き受けているうちに、「退職した人は暇なはず」と思われているようで、少しずつ心が重くなっていきました。
負担が偏っていると気付く
ある日、町内の清掃後に、別の役員の方から「来週の回覧板の仕分けもお願いできる?」と言われました。そのとき私は、思わず返事に詰まってしまいました。先週も、その前の週も似たような作業をしていたからです。
家に帰ってから、私は手帳を見返してみました。すると、ここ数カ月で自分が町内会の用事に関わった日が思った以上に多いことに気付きました。掃除や準備だけでなく、細かな確認や電話連絡も含めると、かなりの時間を使っていました。そこで私は、誰がどの作業を担当したのかを簡単に記録することにしました。責めるためではなく、自分の感じている負担が本当に偏っているのか知りたかったのです。
数カ月分を一覧にしてみると、やはり私と数人の女性に作業が集中していました。一方で、名前だけ役員に入っていても、実際の作業にはほとんど参加していない人もいました。なんとなく感じていた不公平感が、数字として見えた瞬間でした。
会議で一覧表を出す
その後の町内会の会議で、私は勇気を出して発言しました。「少しだけ見ていただきたいものがあります」と言って、これまでの作業内容と担当者をまとめた一覧表を出しました。最初は、場の空気が少し固くなりました。「そんな細かいことまで記録していたの?」という表情の人もいました。私自身も、角が立つのではないかと緊張していました。
けれど、一覧表を見た人たちは、だんだん黙り込んでいきました。誰かを責める言い方はせず、「このままだと一部の人が疲れてしまいます。長く続けるためにも、役割を分けたほうがいいと思います」と伝えました。
すると、同じように負担を感じていた人が「実は私も少し大変でした」と話してくれました。そのひと言をきっかけに、当番表を作ろうという流れになりました。掃除や回覧板の準備、行事の手伝いなどを、できるだけ公平に分けることが決まったのです。
まとめ
町内会の活動は、地域のつながりを守る大切なものだと思います。けれど、善意に頼り過ぎると、知らないうちに、誰かだけが無理をすることになります。私も、記録を出すまでは「波風を立てたくない」と我慢していました。でも、負担を見える形にしたことで、感情ではなく事実として話し合うことができました。地域の活動を続けていくためにも、無理をする人を増やさない仕組みが大切だと感じました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:福島隆二/60代男性・無職
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年6月)
※一部、AI生成画像を使用しています。
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