「うちはもう用済み?」A夫婦が抱いた怒り
町内で焼肉弁当店を営むA夫婦は、10年以上にわたり、夏祭りで提供する食べ物の準備を一手に引き受け、町内会を支えてきました。毎年、会場での調理から料理の提供まで取り仕切り、祭りの中心人物として振る舞っていたのです。
しかし、昨年の夏祭りでは、A夫婦が調理していた鉄板の近くに小さな子どもが駆け寄り、あわや接触しそうになるヒヤリハットがありました。幸い事故には至りませんでしたが、近年は小さな子どもを連れた家族の参加が増えており、今年も多くの親子が訪れることが予想されました。
そこで私は、会場で肉を焼いて提供する形式から、事前に作ったお弁当を配る形式へ変更してはどうかと提案。さらに、調理器具のレンタル代など、変更によって浮いた費用は、子どもたちが喜ぶ出し物の準備に充てることになったのです。
お弁当は引き続きA夫婦の店に注文することになりましたが、A夫婦の役割は、会場で祭りを取り仕切ることから、完成したお弁当を納品することへと変わりました。会議の場ではこの案に納得してくれていたものの、内心ではおもしろくなかったようです。
後になってわかったことですが、A夫婦は「うちはもう用済みってことか?」「どうして、あんな新参者の言いなりにならなきゃいけないんだ」と不満を募らせていたそうです。売り上げではなく、長年かけて築いてきた自分たちの立場を私に奪われたと感じ、次第に私をライバル視するようになったのでした。
焼肉弁当を買いに行くも、まさかの販売拒否
夏祭りを2週間後に控えたある日のこと。家族で「今日のお昼は、あの店の焼肉弁当にしよう」という話になり、小学生の娘に買いに行ってもらいました。A夫婦は町内会の行事などを通じて娘の顔を知っていたため、娘がお店を訪れると……。
A夫婦は娘の顔を見るなり、あざ笑うような口調でこう言ったそうです。
「あなたのおうちに売る焼肉弁当はないの。夏祭りの件があるからね〜。ごめんね〜」
そして、事情を何も知らない娘を、そのまま追い返したのです。娘は「お弁当、売ってもらえなかった……」と、悲しそうな顔で帰ってきました。詳しく話を聞いた私は、A夫婦が夏祭りの件を根に持ち、その腹いせに娘へ意地悪をしたのだと察しました。
大人同士の勝手な意地やプライドに、何の関係もない子どもを巻き込むなんて、到底許せません。私は、すぐにほかの役員たちへこの出来事を報告しました。
焼肉弁当85個をキャンセルした結果…
事情を知った役員のひとりがA夫婦に連絡すると、私や夏祭りへの不満が次々と飛び出しました。さらには、ほかの役員たちのことまで「人の心がない」「役に立たない」と罵倒したため、全員が激怒。
役員が「注文している85個のお弁当は予定通り納品してもらえますか?」と確認すると、A夫婦は「さあね。こっちをないがしろにしたんだから、予定通り届くと思わないほうがいい」と言い放ったそうです。
大勢の住民が楽しみにしている夏祭りで、お弁当が届かなければ運営に大きな支障が出てしまいます。役員たちは、子どもへの嫌がらせだけでなく、納品についても責任ある回答をしないA夫婦に、これ以上大切な注文を任せることはできないと判断。
「腹いせで納品されない可能性がある以上、別のお店を探したほうがいい」役員の意見は一致し、夏祭り用に注文していた85個の焼肉弁当を、すべてキャンセルすることに。急きょ別の飲食店に相談したところ、事情を知った店側が快く引き受けてくれることになり、おかげで夏祭りは子どもたちの笑顔があふれる大成功となりました。
さらに、焼肉弁当のキャンセルが町内に知れ渡ると、「実は、うちも注文を断られたことがある」「自分たちを慕わない客の陰口を言っているらしい」など、これまで店から理不尽な扱いを受けていた住民たちが、次々と声を上げ始めました。
やがてA夫婦の横柄な振る舞いは町内中に知れ渡り、店は地域の行事で一切利用されなくなりました。近隣住民の足も遠のき、売り上げは激減。すっかり孤立したA夫婦は、その後、町内の行事にも顔を出さなくなりました。一方、店は今もひっそりと営業を続けているそうです。
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大人同士の不満に、何の関係もない子どもを巻き込む行為は、到底許されるものではありませんよね。自分たちの立場やプライドに固執するのではなく、相手の意見にも耳を傾け、互いを尊重する姿勢を大切にしてほしかったですね。
【取材時期:2026年7月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。