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「ありがとう」が言えないまま父が他界。遺品整理で初めて知った不器用な父の胸の内【体験談】

父とは昔から折り合いが悪く、顔を合わせても素直な気持ちを伝えられないままでした。入院した父との最後の対面でも、口にできなかった感謝と謝罪。父が亡くなった後、遺品の中から見つけたある物をきっかけに、私は父の思いを知ることになりました。

顔を合わせれば口論になった父との関係

私の父は、いわゆる昭和の頑固親父でした。私とは昔から折り合いが悪く、顔を合わせれば口論ばかりしていました。

 

私が就職して実家を出てからは、父と接する機会も少なくなりました。お盆や正月に帰省しても、まともに会話をすることはほとんどありませんでした。

 

長く離れて暮らしていても、父との間にできた溝が埋まることはなく、お互いに素直な気持ちを伝えられないまま年月だけが過ぎていきました。

 

入院した父に伝えられなかった言葉

数年前、父が急に体調を崩して入院したと連絡がありました。見舞いに行くと、そこには以前よりも痩せ細った父の姿がありました。しかし、弱った父を目の前にしても、これまでの確執が邪魔をしてしまい、私がかけたのは「体調はどうだ」という短い言葉だけでした。

 

本当は、「今まで苦労をかけてごめん」と伝えたいと思っていました。その言葉は喉まで出かかっていたのに、どうしても口にすることができませんでした。

 

その後、父の状態は予想していた以上の速さで悪化しました。意識がもうろうとする直前、父は私の手を弱々しく握り、何かを言おうとしました。それでも私は言葉に詰まり、ただ父の手を握り返すことしかできませんでした。それが、父との最後の対面になりました。

 

 

遺品の中に残されていた古いネクタイ

葬儀を終え、父の遺品を整理していたときのことです。父の机の奥から、古いネクタイが出てきました。それは、私が初任給で父にプレゼントしたネクタイでした。贈ってから長い年月がたっていたにもかかわらず、父は手放さず、大切に保管していたのです。

 

そのネクタイを見た瞬間、父は言葉には出さなくても、私のことを思ってくれていたのかもしれないと感じました。同時に、なぜ最後に会ったとき、素直に「ありがとう」と言えなかったのかという後悔が込み上げてきました。

 

この経験を通して、心の中で思っているだけでは伝わらないことがあるのだと痛感しました。「いつでも言える」と思っていた父への感謝や謝罪は、結局、本人に伝えられないままになってしまいました。

 

まとめ

意地や照れが邪魔をして言えなかった言葉を、今も仏壇の前で繰り返しています。届かないとわかっていても、私は父に「ありがとう」と伝え続けています。

 

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

 

著者:谷口けんた/50代男性・会社員

 

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年7月)

※一部、AI生成画像を使用しています。

 

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シニアカレンダー編集部

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