こんにちは、保育士・離乳食インストラクターの中田馨です。赤ちゃん専門店などの離乳食グッズコーナーに行くと、離乳食に使うスプーンがたくさん並べられています。実は離乳食用のスプーンは赤ちゃんの発達に合わせて形などが変わります。
今回は、意外に知らない時期別スプーンの使い方を紹介します。
5~6カ月ごろ(離乳食初期)のスプーンの使い方
離乳食をスタートしたころの赤ちゃんにとって、スプーンは初体験。中にはスプーンを嫌がる赤ちゃんもいることでしょう。離乳食をスタートしたときは、食べ物に慣れることもそうですが、スプーンの感触にも慣れなければいけません。
5~6カ月ごろ(離乳食初期)に使うスプーンは深みが少なく平たいタイプで、柄の長いスプーンが食べさせやすいです。スプーンが決まったら次は、以下のようにスプーンを使って食べさせます。
【1】スプーンを下唇にあててツンツンする
【2】口が開いたら下唇の上にスプーンを置く
【3】上唇が閉じるまで待つ
【4】スプーンを水平に引き抜く
スプーンの先に少量だけ離乳食を盛り口の中に入れるのですが、口から離乳食が出てきたら、すくい取って再度1~4の要領で口に入れてあげましょう。
どの時期にも共通するNGなことは
・スプーンを口の奥に入れないこと
舌を使って食べる練習ができないため
・上あごにすりつけないこと
自分の唇を使って離乳食を取り込む練習ができないため
離乳食を食べさせるときに、赤ちゃんが自分で食べる練習をするんだと意識を向けることで、赤ちゃんの舌や上唇が発達します。
7~8カ月ごろ(離乳食中期)のスプーンの使い方
7~8カ月ごろ(離乳食中期)になると、離乳食メニューにもつぶ状のものが増えてきます。まだ、深みの少ない平たいスプーンを使います。
この時期になると、下唇をツンツンとつつかなくても口を開けてくれることが多くなります。
【1】下唇にスプーンを軽く乗せる
【2】上唇が閉じたら水平に引き抜く
赤ちゃんがモグモグして飲み込んでから、次のひとさじを口の前に持っていくことが大切。自分自身に置き換えてみましょう。まだ口の中に食べ物があるのに、次の食べ物がスプーンにのせられて目の前にあったら……? 急いで飲み込もうとしますよね。赤ちゃんも同じ気持ちになりますので、赤ちゃんがゴックンしてから次のひとさじを用意します。
また、スプーンにのっている離乳食を全てこぼさないようにと、口の奥にスプーンを入れてしまうと、自分で食べ物を取り込む練習になりません。また、丸のみしてしまう原因にもなります。引き続き赤ちゃんが自分で食べる練習をしていることを意識して与えましょう。
9~11カ月ごろ(離乳食後期)のスプーンの使い方
9~11カ月ごろ(離乳食後期)になったらおすすめなのが、やや深めのスプーン。深めのスプーンを使うことで、さらにしっかりと唇で食べ物を取り込むための練習になります。スプーンの使い方は今まで同様に、唇で食べ物を取り込むこと、水平に引き抜くことなどを意識しながら与えます。
また、9~11カ月ごろ(離乳食後期)からは手づかみ食べをそろそろスタートしたいので、ママが与えるスプーン食べと自分で食べる手づかみ食べを併用しながら食べていきます。まだ自分でスプーンを使うことは難しいですが、持ちたがったら赤ちゃん専用のスプーンを持たせてもOKです。
1歳~1歳6カ月ごろ(離乳食完了期)のスプーンの使い方
1歳~1歳6カ月ごろ(離乳食完了期)になると、多くの赤ちゃんがスプーンに興味を持ち始めます。だいぶじょうずに使えるようになるのは1歳3カ月ごろからですが、持ちたがる場合はスプーンを持たせましょう。スプーンの持ち方は、柄を上からつかむ「上手もち」です。
スプーンの使い方のステップアップは
【1】大人が手を添えてスプーンを持ち離乳食を口に運ぶ
【2】大人がスプーンに離乳食をのせて赤ちゃんが自分で離乳食を口に運ぶ
【3】自分ですくって、自分で口に運ぶ
という順で進んでいきます。
急にはじょうずになりませんので、ママが補助をしながら赤ちゃんのペースで進めていきましょう。
スプーンの使い方とひと言で言っても、赤ちゃんの発達によって意識する部分が違います。赤ちゃんの発達に合わせたスプーンを見つけて、赤ちゃんのペースに合わせて食べ進めてください。
作画/はたこ