授乳中にスマホや家の時計を見ながら授乳されているママがいます。5〜10分など病院で指導された授乳時間が終わったら、授乳をやめるためなのかもしれません。時間を区切って授乳することは必要なのでしょうか? 今回は、授乳時間についてお話します。
おっぱいを飲む長さは時間帯によって違う?
母乳は夜中や朝方に多く分泌し、夕方〜夜に分泌が減っていくことがあります。また、母乳中の母乳中の脂肪は、朝は少なく、午後に増加をします。つまり、朝は水分の多いあっさりとした母乳、午後になっていくにつれて濃い母乳になっていく傾向にあります。
1回の授乳においても、飲み始めと終わりとでは成分が異なり、脂肪は後乳(後半の飲み終わりの頃の母乳)で2倍程度に増加するといわれています。その他、乳糖は減少するがたんぱく質はほぼ横ばいで他の成分は大きく変動しないといわれています。分泌量が多い朝の授乳は短時間なことが多いといわれています。反対に、夕方〜夜にかけての授乳は長くなることがあります。
おっぱいの終わり、左右切り替えるタイミングはいつ?
赤ちゃんは母乳を片方10〜30分ほど飲むといわれています。授乳時間が短いと授乳の終わりごろに出てくる栄養価の高い後乳を赤ちゃんが飲めなくなることがあり、体重増加が悪くなることもあります。赤ちゃんが自然におっぱいから口を離すまで授乳を続けてから、反対側をあげるようにします。
しかし、なかにはずっと吸い続けている赤ちゃんもいて終わるタイミングがわからないということがあります。
・吸う力が弱くなってくる
・吸うのが休み休みになってくる
・途中で口の動きが止まって休憩をする回数が増えたり、合間に寝息をたてたりしている
ずっと吸っているなかでも、これらのサインが見られたらママがおっぱいから赤ちゃんの口をはずしてみましょう。
片側だけ飲んで寝ちゃった! どうすれば良い?
基本的には、赤ちゃんが離すまで片方の乳房をしっかりと飲ませて、両方の乳房を交互に授乳することが、自然で理想的な授乳です。しかし、母乳分泌量が多いママや、生まれたばかりの赤ちゃんの場合に多いのですが、1回の授乳が片方だけで満足して眠ってしまうことがあります。そのような場合は次回の授乳時に飲まれていない乳房からあげるようにします。
この場合、1〜2時間間隔で授乳することが多いです。次の授乳まで時間が空くようであったり、飲まなかったほうのおっぱいの張りが強かったりした場合は、圧が抜ける程度に軽く搾乳しておきます。両方飲んでもらうために、短時間にして時間を区切って授乳することは、飲みきれずに乳房内に母乳を残し気味になることがあり、しこりなどの乳房トラブルになったり分泌量が減っていく原因になったりすることがあります。
母乳の分泌量は時間帯によって変化するため、赤ちゃんの覚醒状況や空腹程度などによっても影響を受けて授乳にかかる時間はまちまちです。また、赤ちゃんが乳輪に深くしっかりと吸い付くと短時間でもたくさん飲めることもあります。おっぱいに吸い付いていた時間と、赤ちゃんの飲んだ母乳量とは比例しないこともあります。
授乳中は、時計や授乳アプリとにらめっこするのではなく、時間を気にせず赤ちゃんの吸っている様子や表情を見ながら授乳すると良いですね。
<引用・参考文献>
メディカ出版「ペリネイタルケア 2009年夏季増刊 すれ違いコミュニケーションをなくそう すぐ使える!70の事例から学ぶ 母乳育児支援ブック」
編集 涌谷桐子
P103 篠原和子著「授乳の頻度と長さ」
医学書院 「母乳育児支援スタンダード」
編集 NPO法人ラクテーションコンサルタント協会
P176 水井雅子著「ポジショニング・ラッチオン」