子どもの偏食事情について、管理栄養士の久野多恵さんにお話しいただきました。
どうして子どもは偏食になりやすいのか や、どんなふうに栄養補給をおこなえばいいのか? などを詳しく解説していきます!
自我の芽生えとともに起こる偏食
子どもが偏食になる理由とは、成長するにつれ自我の芽生えとともに自己主張が強くなる時期となり、その影響が食事に表れるからです。
また、子どもは食べなれないものは食べたがらないという本能的なものが備わっていて、そういったことが偏食につながっていることも。もともと人間には新寄の恐怖といって、食べなれない物への恐怖や警戒心があります。それは、自分の身を守る上で大事な感覚とされており、初めて見るものに対して恐怖心を持って警戒するという行動がみられます。
子どもの偏食で悩む前に、このような事実があることをママやパパがしっかりと理解することで、客観的に子どもの偏食について向き合いやすくなります。
気分によって食べないのは当然のこと
偏食とは、子どもが健やかに成長している証になります。そのため、気分によって食べたくない日があったり、苦手な食べ物があったりするのは当然のこと。ママやパパはこのような事実を受け止め、子どもの反応に一喜一憂せず、ゆったりとかまえる姿勢が大切です。そして、楽しい食事の雰囲気づくりをおこなったり、少しでも子どもが食べたら褒めるなど、食べ物に対して前向きになれるようなサポートをおこない、食体験を日々積み重ねていきましょう。
ここで気を付けてほしいのが「偏食で食べないのが当たり前だったら、仕方がない」と諦めてしまうことです。ママやパパが何もサポートをおこなわないと、子どもは食体験からますます遠のいてしまい、偏食が悪化しかねない状態になります。そのため「偏食」は長期戦だと考えることがポイントになります。何回も同じ食材を繰り返し食べさせることで、少しずつ食材に慣れていきますので、長期スパンで何回もチャレンジし、子どもの食体験を増やしていくことが重要になります。
不足分の栄養をおやつでカバーしましょう
幼児期に進むにつれて、身長や体重が著しく発達する時期となり、食事だけでは栄養が足りなくなってしまいます。これは3食しっかりと食べている子どもについても足りないとされています。そこでおやつが第四の食事となり、不足分の栄養をカバーしていくことが必要になります。
また、WHOの研究でも幼児期は鉄分とカルシウムは特に必要な栄養素であるということが示されています。世界的にもそれらの栄養素が不足しているという実態があるので、鉄分とカルシウムが重要とされています。
そのほかにも、鉄の吸収を助ける栄養素のビタミンCや、カルシウムの吸収を助ける栄養素のビタミンDどちらも大切になってきます。さらに、DHAという脳や網膜に豊富に存在している栄養素のほか、血や肉、筋肉のもとになり栄養の根幹であるタンパク質も成長発達の段階で大切な成分となるので、取り入れていきたい栄養素になります。
おやつには不足分の栄養素を取り入れよう
■おやつの摂取カロリーの目安とタイミング
・1~2歳は100~150kcal程度
1回で食べられる量が少ないので、1~2回(午前と午後など)に分けて摂る。
・3~5歳は200~250kcal程度
(1度に食べられる量が増えてくるので、1日1回程度(午後15時くらい)で摂ればOK)
3歳児くらいまでは、フォローアップミルクがおすすめ
3歳くらいまでは、フォローアップミルクを食事に取り入れるのもおすすめです。
鉄分やビタミンを強化したものになり、カルシウムも摂取することができます。
そのまま飲ませるのもいいですが、ホットケーキやクッキー、スムージー、バナナやかぼちゃディップに混ぜるなど、普段のおやつ作りやお食事などに取り入れることで簡単に摂取しやすくなります。
おやつの実践例
おやつとは、食事では足りない栄養を補う補食になるので、子どもの食事状況に合ったおやつを取り入れることをおすすめします。基本的には、食事で不足していると思われる栄養素をおやつでまかないます。
例)ご飯類がなかなか進まないケース
→ ふかし芋、コーンフレーク、ディップパン、サンドイッチなど、穀類を中心としたものをおやつに取り入れる。
例)タンパク質が足りないケース
→ ゆで卵、卵を使ったプリン、ホットケーキ、おからクッキー、豆乳プリンなどをおやつに取り入れる。
例)野菜が進まないケース
→ 野菜を入れ込んだおやき、お好み焼き、果物、ミニトマト、枝豆、かぼちゃやバナナなどをディップ状のものにしてクラッカーやパンにつけたものなどをおやつに取り入れる。
栄養が摂れているかどうかは3日分の食事で考えるといいとされています。そのため、3日スパンで栄養を考え「この栄養素が足りていないかな?」と思ったら、ぜひおやつに取り入れてみてください。おやつの摂取カロリーはあくまで目安となりますので、個人差があって当然です。無理せずにその子にあった量をあげてくださいね!
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