子どもの偏食事情について、管理栄養士の久野多恵さんにお話を伺いました。
小食を解決へと導く方法や、小食になる要因についてなどを詳しく解説していきます!
小食の悩み! 生活習慣を見直して改善したケースも…
小食と偏食は一緒に相談されることが多く、偏食があって小食で困っているというケースが多いです。その原因としては、偏食に通じる部分もあるのですが、下記のような原因が挙げられます。
◆お腹がすいていない
運動不足や活動量が少ないことが考えられるほか、生活リズムの乱れ(夜型や食事の回数が少ない、大人がダイエットしているから1日2食にしている、遅寝遅起きなど決まった時間に起きていない)も考えられます。
◆間食を食べすぎている
市販品のお菓子の食べすぎや糖分の多い飲み物を飲みすぎていると血糖値が下がらないのでお腹がすかない原因になってしまいます。
◆食に対して興味がない
そのほかのものに興味が向いてしまうということが考えられるので、食事をする環境が整えられているかどうかを見直す必要があります。(例: オモチャを片付ける、テレビを消すなど)
◆食事のときに怖い経験をしたことがある
少ししか食べられなかったときにママにすごく怒られた、食事の環境がいつも怖い雰囲気になっているなど、食事が怒られる場になったりしていると子どもの食育がそがれてしまう場合もあります。
◆便秘気味
便秘気味の子どもだと腸内環境が乱れているケースもあります。人間の構造的に排泄しないと食べ物を摂取しにくいというのがあるので、便秘体質の子どもは食べ物を受け入れにくい、すなわち食べ物を摂取しにくい状態になりやすいです。
◆体質
ママやパパの体質の遺伝で、もともと小食だということもあります。
まれに、食事のとき魚の骨がのどにつかえてしまって苦しい思いをしたことがあったり、骨がのどにつまり、大量に嘔吐してしまったなどの経験があると、一定の期間食事が進まないということも考えられます。
その子の体質など個人差はあり、一概に断定できるものではないですが、意外と生活習慣や生活リズムのみだれが原因となっているケースが多いのも現状です。規則正しい生活リズムにすることで、小食が改善されたというケースも実際多く見受けられます。
小食でもその子の発達曲線に沿っていればOK!
1日の子どもに必要な摂取カロリーは下記の通りになります。
・1~2歳児 男の子950 kcal、女の子が900 kcal
・3~5歳児 男の子1300 kcal、女の子が1250 kcal
小食に定義はなく、小食であっても身長や体重が発達曲線に沿って伸びていれば問題はないです。あくまで上記のエネルギー量は目安となるので、ほかの子と比べて食べる量が少なくても発達曲線に沿っていれば、その子に合っている量となります。
そのため、食べる量が少なくても「ちゃんと発育しているかどうか」「その子に合った発育ができているかどうか」というところがポイントになります。平均値を下回っていても、その子なりのカーブに沿った伸びが認められれば問題ありません。個人差があるので平均値に近づける必要はないです。
医師に相談が必要になるケースというのは、体重増加が停滞したり下降気味になったりするなど、発達曲線に沿った伸びをしていないという場合になりますが、食べムラがあると一時的に身長体重が停滞してしまうということはよくあります。子どもの発育は一定ではないため、総合的かつ長期的に見てちゃんとしたカーブが描けているかどうかというところが判断基準になります。
また、顔色が悪い、元気がないなど、子どもの様子がおかしいと感じたときには、病院を受診しましょう。しかし、子どもが元気に過ごしていて、顔色が良いという状態であれば、様子を見ながら注意して見ていくという判断で大丈夫です。
栄養は3日で見る! おやつで不足分の栄養を補給
栄養が摂れているかどうかは、大体3日分の食事量を目安に見ると良いです。理想は1日3食に主食、主菜、副菜をそろえて食べるということになりますが、偏食や小食などの問題があると難しくなると思います。そのため、1日で栄養を摂るのが難しいのであれば、おやつで補いながら3日くらいのスパンで見ていきましょう。
長期的に見るのも悪くはないのですが、1週間だと忘れてしまう可能性も高くなってしまいます。3日くらいであれば覚えていられるので、「2日この栄養が足りていなかったから、3日目の今日あげてみよう!」という感じで考えるといいでしょう。
子どものテンションを上げることがとても大切!
食に興味を持たせるために子どものテンションを上げることもおすすめです。好きなキャラクターの食器にしたり、100均などで売っている道具を使って、見た目をかわいくするということも良いですね。
食事は五感を使うもので、視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚の五感をフルに活用するというのは食だけとされています。子どもが「おいしそうだなぁ」「かわいいな」という視覚から入り、ポリポリと触感が良いものだったり、おいしそうなにおいだったり、食材を触ったりして確かめるなど、五感をフル活用できる食べさせ方も効果的です。
年代別で気をつけたいこと
◆2歳くらいまで
2歳くらいまでの子どもは、大人に食べさせてもらうのをすごく嫌がる時期でもあり、自我が強く自己中心になりやすい時期になります。そのため、子どもの気持ちにある程度寄り添い、強制をしないことが大切です。子ども主導の食事を進めるようにし、遊び食べをしても少し見守るようにすると良いです。あまり「汚いよ」「汚れちゃうよ」などは言わないようにし、遊び食べがひどい場合は20~30分で切り上げましょう。
また、おままごとや絵本を通して食育を学ぶこともできます。おままごとをすると食事の大切さなどを楽しく学ぶことができます。ほかにも、遊びの要素を取り入れながら、食事前に歌を歌いながら食卓に導いたり、手遊び歌やぬいぐるみを取り入れて「くまちゃん食べているから○○ちゃんも食べてみようね」と声かけをおこなうなど、楽しい雰囲気づくりが大切になります。
◆3~5歳まで
3~5歳までは自分で選んで食べることができるようになるので、食事づくりに積極的に参加させてあげると良いです。料理を一緒に作ったり、スーパーなどで「どのキュウリが良い?」など食材を選ばせて触れさせたりするのも効果的です。ほかには、野菜を一緒に育てる、果物狩りをするなども良い経験になります。
また、これは全年代に言えることですが、運動量が足りていないからおなかがすかないということも考えらます。そのため、外遊びの時間を増やすなど活動量を増やすことも有効かと思います。
1日に必要な摂取カロリーを記載しましたが、必ずしもすべて摂取しなければならないということはありません。数字を記載するとそれにとらわれてしまう人も多いですが、あくまで目安です。その子なりの発達曲線に沿っているかどうかという方が重要になってきますので、数字は目安程度で考え、食事の場が子どもにとってもママにとっても楽しいふれあいの場となるように、頑張りすぎずに少し肩の力を抜いてサポートしてあげてください。
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