不妊治療と仕事の両立サポートを促す!厚労省がハンドブックを発行

2020/09/09 06:25
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厚生労働省から2020年3月に、不妊治療と仕事の両立のため、職場で不妊治療への理解を深めてもらうためのサポートハンドブックが発行されました。
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不妊治療と仕事の両立サポートを促す!厚労省がハンドブックを発行

 

不妊治療をしている人にとって、仕事と治療の両立は大きな悩みになっています。精神面の負担が大きいことや、通院回数が多いことなどが両立を妨げる原因となり、結果として不妊治療を諦めてしまう人や、逆に会社を退職してしまう人も少なくありません。

 

そんななか厚生労働省から、不妊治療と仕事の両立のため、職場で不妊治療への理解を深めてもらうためのサポートハンドブックが発行されました。

 

不妊治療と仕事の両立サポートハンドブックを厚生労働省が発行

日本では、不妊を心配したことのある夫婦は3組に1組、そして実際に不妊の検査や治療を受けたことのある夫婦は5.5組に1組にも及びます。(※1)

これほど多くの人が治療をしていながら、職場では不妊治療について、あまり知られていないのが現状です。仕事と治療の両立に苦しみ、ある日突然会社を辞めてしまう「不妊退職」ということも起こっています。できれば仕事を続けたいと思いながら退職するのは、企業や社会にとっても大きな損失といえます。

そこで厚生労働省では、2020年3月、働きながら不妊治療に取り組む人を支援するため、『不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック』を発行しました。

このハンドブックのサブタイトルは「不妊治療を受ける方と職場で支える同僚の皆さんのために」。不妊治療に関して、不妊治療を受ける当事者はもちろん、職場の上司や同僚などが知っておくべき情報が、わかりやすくまとめられています。

 

(※1)国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」より

 

<参考リンク>
厚生労働省:『不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック』

 

仕事をしながら不妊治療をすることの難しさ

厚生労働省の調査によると、不妊治療をしたことがある(予定している)働く人のうち、仕事と治療を両立している(両立を考えている)人の割合は53.2%ですが、仕事と不妊治療の「両立できずに仕事を辞めた」「両立できずに不妊治療をやめた」「両立できずに雇用形態を変えた」という人は34.7%にも及びました。(※2)

 

仕事と治療が両立できなかった理由では、「精神面で負担が大きいため」「通院回数が多いため」「体調、体力で負担が大きいため」などのほか、「待ち時間など通院にかかる時間が読めない、医師から告げられた通院日に外せない仕事が入るなど、仕事の日程調整が難しいため」といった切実な悩みが挙げられています。

 

(※2)厚生労働省「平成29年度『不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査』」より

 

不妊治療をしている人は身近にいる

不妊治療のなかでも高度な治療に体外受精や顕微授精があります。こうした生殖補助医療(ART)によって、2017年には日本で5万人以上の赤ちゃんが生まれていて、これはその年に生まれた赤ちゃんの約17人に1人の割合になっています。(※3)

 

このほか、タイミング法や人工授精といった一般不妊治療で妊娠する人も数多くいるので、実に多くのカップルが不妊治療で子どもを授かっているのです。つまり、知らないだけでまわりに不妊治療体験者がいる、ということ。ですから、職場に治療中の人がいても珍しくはないのです。

そんなときに大切なのが、正しい情報を知って接することです。

 

(※3)ARTの出生児は日本産科婦人科学会の「ARTデータブック」より。出生数は厚生労働省「人口動態統計」より

 

正しく知ることでハラスメントを防げる

今回、厚生労働省が制作した『不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック』には、不妊治療の現状や治療の方法、職場で配慮すべきポイントなどが紹介されています。

 

不妊治療がどのようなスケジュールで進むのか、どれくらいの頻度で通院が必要なのかなど、一般的に浸透していない情報は多くあるものです。しかし、知らないことで「いったいいつ妊娠するんだ?」「また病院に行くの? 仕事をやめて治療に専念したほうがいいんじゃないの」といったプレ・マタニティハラスメントに問われる発言も起こりかねないのです。

 

こうしたことを防ぐためにも、多くの人が不妊治療の現状を把握し、理解することが重要です。ハンドブックは不妊治療をしている人と同じ職場で働く上司や同僚に向けた内容になっていますが、一般的な知識として知っておきたい情報といえます。

 

また、不妊治療を受けているまたは受ける予定の人に向けて、自分の会社の制度をよく調べるようアドバイスが記載されています。さらに、職場へ不妊治療中(または治療予定)であることを伝え、不妊治療と仕事の両立に関する配慮を求めるためのツールとしても使用できる「不妊治療連絡カード」についても紹介されています。

 

事業主や人事部門に向けたマニュアルも発行

厚生労働省は、事業主や人事部門向けとして『不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル』も同時に発行しています。

 

こちらは、企業が不妊治療と仕事の両立支援に取り組む意義や、不妊治療と仕事の両立支援導入の具体的なステップなどについて取り上げたものです。実際に制度を導入している企業の支援内容や導入・運用のポイント、さらに利用者の声も紹介されています。

 

<参考リンク>
厚生労働省:『不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル』

 

NPOも企業の制度導入をサポート

さらに、不妊体験者を支援するNPO法人Fineでも、2020年3月に『不妊治療支援を通じたさらなる女性活躍推進について 制度導入促進ガイド』を発行しています。当事者の立場から、企業に望むサポートを伝えるとともに制度導入を提案し、企業向けにオンライン相談会も実施しています。

 

働きながら不妊治療に取り組めるように、多方面から支援がスタートしています。身近な社会課題といえる不妊治療と仕事の両立について、まずは正しい情報を得ることが大切です。

 

<参考リンク>
厚生労働省:不妊治療と仕事の両立に関するマニュアルとハンドブックを作成しました
NPO法人Fine:Fine妊活プロジェクトみらいAction『制度導入促進ガイド』

 

著者

ライター 野曽原誉枝(のそはらやすえ)

NPO法人Fine 理事 准ファンドレイザー


福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年間の不妊治療を経て、2012年12月に男児を出産。自らの不妊治療と仕事の両立での経験、高齢出産の経験から、今の妊活、多様な家族形態を認め合う社会を作るために2013年よりNPO法人Fineに参画、2014年9月同法人理事に就任。主にFine妊活プロジェクト~みらいAction~の推進と企業や自治体向け啓発活動に力を入れている。

 



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