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卵子と同じように精子も老化する!? いくつまで妊娠できるの!?

卵子のことを知ることで、ご自身の体のこと、命のことをより深く知ることができるかもしれません。この記事では、意外と知られていない卵子について、浅田レディースクリニック理事長 浅田義正先生のお話を交えて紹介しています。今回は精子と妊娠の期限についてです。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師浅田義正先生
浅田レディース品川クリニック 院長

名古屋大学医学部卒業。名古屋大学医学部附属病院産婦人科医員として「不妊外来」および、「健康外来(更年期障害・ホルモン補充療法)」の専門外来を担当後、米国初の体外受精施設に留学。主に顕微授精(卵細胞質内精子注入法:ICSI)の基礎的研究に従事。95年に名古屋大学医学部附属病院分院にてICSIによる治療開始。顕微授精症例の全症例を担当し、同年5月、精巣精子を用いたICSIによる日本初の妊娠例を報告。98年ナカジマクリニック不妊センター開設。2004年浅田レディースクリニック(現・浅田レディース勝川クリニック)開院。10年に浅田レディース名古屋駅前クリニック、18年には浅田レディース品川クリニックを開院。多くの不妊に悩む女性と日々向き合っている。近著に、『実践「浅田式」標準不妊治療学』(協和企画)『よくわかるAMHハンドブック 第2版』 (協和企画)『名医が教える最短で授かる不妊治療』(主婦の友社)『女の子が知っておきたい卵子のハナシ。』(主婦の友社 ) など多数。
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ベッド上の男女

 

妊娠に欠かすことのできない卵子ですが、みなさんは卵子についてどのくらいご存知ですか? 実は卵子にはみなさんが知らないような不思議な話がたくさんあるんです。卵子のことを知ることで、ご自身の体のこと、命のことをより深く知ることができるかもしれません。そこで、意外と知られていない卵子について、浅田レディースクリニック理事長 浅田義正先生のお話を交えて紹介していきたいと思います。今回は、「精子と妊娠の期限」に関するお話です。

 

精子はどうやってつくられる?

生まれたときには約200万個あり、加齢とともに減少していく卵子。卵子の数は限られていますが、一方精子はどうなのでしょうか。

 

精子は、精巣のなかにある精細管(せいさいかん)という部分でつくられます。卵子と同じように、原始生殖細胞である精細胞が分裂して精子になります。卵子は、生まれてから一度も新しくつくられませんが、精子細胞の元となる精原細胞はなくなることはなく、分裂した細胞がほぼすべて成熟した精子になるという特徴があります。精子は第二次性徴くらいから毎日つくられるようになり、男性はほぼ一生涯を通じて精子を産生することができます。
 

精子も卵子と同じように老化する?

卵子と異なり毎日つくられる精子ですが、精子も老化するのでしょうか。


浅田先生いわく、「加齢の影響がまったくないというわけではありません。しかし、その影響は卵子に比べれば桁違いに低く、妊娠率などの臨床成績にはまったく考慮する必要がありません。

 

論文では94歳で生児を得た記録もありますし、精子の老化は生殖年齢ではまったく考慮する必要はありません。精子の所見は個人差が非常に大きく、年齢よりも若くても所見がはじめから悪い人も多くいますし、個人でも精液検査は大きな結果のバラツキがあり、あまりあてになりません」とのこと。

 

妊娠はいつまでできる?

現在、日本では女性の社会進出が進み、晩婚化が進んでいます。厚生労働省の人口動態統計によると、今から50年前の1970年の女性の平均初婚年齢は24.2歳、最新のデータ(2017年)では29.4歳と5.2歳上昇しています。

 

女性の妊娠する力が最も強いのは22〜23歳だと言われています。しかし、最新のデータからも妊娠する力のピークを過ぎてから結婚する女性が多くなっているのが現状です。しかし、実際には40歳以上でも妊娠・出産され、子育てをしている女性もたくさんいらっしゃいます。現在、自然妊娠ではアメリカの57歳の女性が最高齢とされていますが、2019年には体外受精で妊娠した70歳の女性が双子の赤ちゃんを出産し話題となりました。

 

浅田先生いわく、「70歳の女性が妊娠した事例は、卵子提供と思われます。個人差はありますが、一般的に自然妊娠できる年齢の限界は42〜43歳。身体面、卵子の状態、安全なお産という観点から見ると、22歳〜35歳ぐらいまでに出産できるのが理想的」とのこと。ちなみに浅田先生のクリニックでは47歳が最高齢の出産だそうです。


加齢とともに妊娠する力が衰え、不妊の原因は女性側にあると思われる人も多かったようですが、最近では「男性不妊」と言う言葉があるように、男性側の原因による不妊も明らかになってきています。しかし、浅田先生によると、「精子があれば人工授精、顕微授精で解決できます。女性の晩婚化、女性の年齢、卵子の老化が不妊症のダントツの原因です」とのこと。

 


最近は見直されてきている性教育ですが、まだまだ生理に関することや妊娠の仕組み、避妊の方法にとどまっていて、妊娠の期限に関する情報を得る機会が少ないようにも感じます。「性」に関する教育も必要ですが、今後は男女の生涯を通じた心身の変化ついて学ぶ機会が増えるといいなと思います。

 


著者:助産師 REIKO

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

 

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