特集 不妊治療

<大山加奈さんインタビュー#2>不妊治療のステップアップ~2年間の休養期間と心の葛藤

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大山加奈さん インタビュー2

 

大山加奈さんは元バレーボール選手です。2001年の高校在学中には、オリンピック・世界選手権・ワールドカップと三大大会と言われるすべての試合に出場。日本を代表するプレーヤーとして「パワフルカナ」の相性で親しまれ、活躍しました。現在では、全国での講演活動やバレーボール教室、メディアの出演など活動の幅を広げるなど、さまざまな分野で活躍しています。また、2021年2月19日に双子の女の子産を出産し、念願だったママになりました。

不妊治療を開始したものの、思うように結果が出なかったという大山さん。そこで、思い切って体外受精に踏み込むことを決意します。今回はそのときの大山さんの心情の変化を中心にお話を伺いました。また、周囲の言動でつらかったことや、働き盛りの時期に仕事を休むということへの後ろめたさ、子どもができないことに対して考え方が変わるキッカケとなった愛犬との出会いについても話してくれました。

 

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経済面・精神面で負担が大きいとされる人工授精に挑戦

ー具体的にはどのような内容の不妊治療をされていたのでしょうか?

 

大山さん:最初は、自然な形で授かりたいという想いが強かったんです。なので、タイミング療法(※1)を試していた時期も長かったですね。ただ、先生からは「早く人工授精(※2)にステップアップしたほうが良い」とアドバイスをしていただいていました。でも、なかなか妊娠することができず、年齢を重ねてきてしまっただけでなく母親にガンが見つかり、早く子どもの顔を見せたいという気持ちが溢れ、体外授精(※3)にステップアップすることを決意しました。

 

(※1)タイミング療法:正確な排卵日を予測し、医師が性行為をおこなうタイミングを指導することで、妊娠へと導く療法。

 

(※2)人工授精:細い管を使い、事前に採取しておいた精子を子宮腔内に注入する治療法。タイミング療法で妊娠しなかったという人の次のステップとされている。

 

(※3)体外受精:卵子と精子を採取し、培養液内で受精させ体内に戻す方法。タイミング療法や人工授精と比べると金額が高く、体への負担も大きいとされている。

 

ー体外授精にステップアップすると決意するのは、簡単なことではないですよね。

 

大山さん:はい。まず引っ掛かったのは経済面のことでした。体外受精だと1回の治療は何十万とかなりの高額なので、そのことを考えると気軽に出せる金額ではないです。また、その金額を出したからって子どもを授かれる保証があるわけでもないですからね。さらに、体への負担も大きいと聞いていたので、“仕事をしながら体外受精にステップアップすることは可能なのか”ということはすごく気になっていました。大事な仕事のときに、ちゃんと仕事と向き合えなかったらそれこそ大変ですからね。

 

ー実際にお仕事と治療の両立をされてみていかがでしたか?

 

大山さん:私の仕事が1番少ない年度初めの4月に合わせて、初めての体外受精に臨みました。その当時は、精神面の浮き沈みが激しかったですね……。また、仕事と両立するために通院回数を減らそうと、排卵を促すための排卵誘発剤を自分で打つ「自己注射」というものを取り入れたのですが、昔から注射が苦手だった私は、“なんでこんなことをしなくちゃいけないんだろう”と思いながら、ときには涙を流しながら注射を打つこともありました。そこでメンタルはかなり削られました。

 

ー旦那様は不妊治療についてあまり賛成ではなかったと伺いましたが、どのように2人で話し合って治療を進めていったのでしょうか?

 

大山さん:不妊治療の話し合いもしっかりとおこなう感じではなく、「やりたいようにやれば良い」という感じだったので、私から「こうしたいと思う」ということを伝えていくことが多かったです。

 

ー実際に体外受精に挑戦したのはどのくらいだったのでしょうか?

 

大山さん:そのときは1度だけですね。でも、採れた卵がほぼ使えない卵だったんです。かろうじて1個だけ、他のクリニックなら廃棄してしまうようなものがあって、それを受精させて戻したんですけど、やっぱりダメで……。きっと、また採卵をしても同じ結果になるんじゃないかと思ったのと同時に、もう疲れちゃったんです。そこで一度、治療を終わりにする決意をしました。ちょうど仕事も忙しくなってきたころだったので、仕事を取ったというのもありますね。

 

周りの何気ない発言に傷ついてきたことも…

ー不妊治療中につらかったことなどはありましたか?

 

大山さん:仕事では子どもと関わることも多くて、質問コーナーでストレートに「子どもはいますか?」って聞かれることがあったんです。ほかにも、「きっと加奈ちゃんならいいお母さんになれると思う」と言われたことも……。その質問や発言には悪気がないのは分かっていましたが、ちょうど治療がうまくいかなかったり、気持ちも落ちていたときだったので余計につらかったです。また、ある食事会では、子どもができないことを冗談交じりに茶化されたことがありました。そのときは思わず涙が出てしまい、とても傷つきました。

 

ーすごく難しい問題ですよね。

 

大山さん:そうですね。やっぱり、当事者じゃないとその言葉がどれだけ鋭いものかって難しいと思うんです。それは不妊だけではなく、どんな場所でも同じなので、発言は軽々しくしてはいけないなと改めて感じました。

 

愛犬との出会いにより、気持ちと体に変化が…

だいずくんと加奈さん2

出典:大山加奈さんのInstagramより(左側は飼い始めたころ(2018年5月)のだいずくん)、右側は2020年12月のだいずくん)

 

ー不妊治療を休んだ当時は、どんな心境でしたか?

 

大山さん:不妊治療を休むことになってから、愛犬である“だいず”を飼い始めたんです。それからは、治療のことや子どものことをあまり考えなくなったんです。それよりも、このだいずを育てていくことに幸せを感じて、次第に“この子がいればいいや”と思うようになりました。すごく心がラクになりましたし、純粋に毎日が楽しく感じられるようになったんです。それまでは、生理が来るたびに苦しい気持ちになっていたので、久しぶりに幸せだと思えた期間でした。

 

ーだいずくんが心を癒してくれたんですね。

 

大山さん:はい。だいずが来てから、精神的にも落ち着きましたし、健康になった気がします。もともとストレスを抱えてしまうタイプで、不眠症も患っていたのですが、それも治ったんですよ。毎日だいずのお散歩に行かなくちゃいけないので、朝寝坊も夜更かしもしなくなりました。そのおかげで心身ともに健康になりました。だいずには、心から感謝をしています。

 

 

そのころのことを思い出したのか、だいずくんの話をし始めた途端、大山さんの表情もやわらかく、その場の空気も温かいものへと変わっていくのを感じました。さて、大山加奈さん独占インタビューの最終回は、不妊治療の再スタートについてやコロナ禍での妊娠・出産について答えてもらいます。ぜひ最後までお付き合いください。

 

<第3回に続く>

 

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。また、病院や治療方法などにより、金額が異なる場合があります。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 


PROFILE:大山加奈さん

1984年6月19日生まれ。小学2年生からバレーボールを始め、小中高すべての年代で全国制覇を経験。高校卒業後は東レ・アローズ女子バレーボール部に入部。高校在学中の2001年に日本代表として初選出され、オリンピック・世界選手権・ワールドカップに出場し、小中高全ての年代で全国制覇を経験。高校卒業後は東レ・アローズ女子バレーボール部に入部した。日本代表には高校在学中の2001年に初選出され、オリンピック・世界選手権・ワールドカップと三大大会すべての試合に出場。2010年6月に現役を引退し、現在は全国での講演活動やバレーボール教室、解説、メディア出演など多方面で活躍中。

著者

ライター 吉田可奈


エンタメ系のフリーライターとして活動しているシングルマザー。13歳、10歳の子どもを子育て中。発達障害・知的障害の子どもに関する著書を出版している。


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