東日本大震災が起きた2011年の3月、私は妊娠3カ月を迎えたところでした。東日本大震災は日本各地に影響を及ぼし、私の住む九州も例外ではありませんでした。東北から離れた場所であるのに、無関係ではなかったのです。東日本大震災が妊娠中だった私に与えた影響と、地震を経て講じた対策についてお話しします。
震災で仕事量が増え、妊娠中の体に負担が
私は当時、旅行代理店に勤めており、多くのお客様を東北地方に送り出していました。3月11日、東北地方で起きた地震のニュースを、私は会社の休憩室にあるテレビで知ることとなったのです。すぐに社内で震災の情報が共有され、私たちは東北地方や関東地方に関係する仕事の対応に追われることになりました。
地震の影響による仕事の負担増加は想像以上のもので、朝から夜遅くまで走り回る日々……。つわりがつらい時期に仕事量が急に増えたため、体が悲鳴をあげていました。現地の人はもっと大変だと思うとつらいと口に出せず、我慢して仕事を続けました。
SNSで現状を知り精神的に不安定に
私に影響を与えたのは、体の面だけでなく精神面もです。私は当時SNSを通じて、たくさんの妊婦さんと交流していました。なかには東北や関東に住んでいる妊婦さんもいて、ご実家が被災された人もいたのです。
SNSを開くと、交流していた妊婦さんや関東に住む友人のリアルな現状がたくさんありました。交通機関がストップして帰れない、紙おむつが売っていないなどです。SNSで現状を知ったことで、妊娠中や子どもといるときに地震がきたらと考え、一気に不安に……。妊娠中でナーバスだったこともあり、精神面が不安定になりました。
災害を身近に感じたからこそ対策ができた
東北から遠く離れた地に住んでいる私にも影響を及ぼした東日本大震災。そのダメージの大きさをまざまざと実感させられたのです。そこで私は、夫と共に災害対策について話すことにしました。避難ルートの確認に飲料水の備蓄、妊娠中は母子健康手帳を持ち歩くこと。海に近い実家に帰省したときの避難ルートも確認しました。
東日本大震災が起こる前は防災について深く考えたことがなかったので、災害対策をするきっかけになったと思っています。震災により心身ともに負担がかかりましたが、それ以降、特に大きなトラブルもなく無事に出産することができました。
その後私は、2016年の熊本地震と2017年の九州北部豪雨を経験しました。直接的な被害はなかったものの、東日本大震災後に話し合いを設けたおかげで冷静さを保つことができたと思います。現在私には3人の子どもがいますが、家族構成や置かれた状況によって対策も変わってくるので、定期的に災害対策を見直していくつもりです。
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監修/助産師REIKO
著者:河津明香
2男1女の母。旅行代理店勤務をしながらの育児を経て、フリーランスのライターへ転身。現在は発達障害の長男のサポートをおこないながら、旅行・育児・生活雑貨などの記事を中心に執筆。