出産までの流れは予想外の展開
陣痛が来たのは、出産予定日を超過して4日目のこと。ちょうど妊婦健診の日でもあり、陣痛が来たかな?と思いましたが、おなかの張りの間隔があいまいだったため、産院に着いてまず医師の診察を受けました。すると子宮口の開きは3cmほどでしたが、陣痛が微弱であったことと、高位破水をしていたという理由で陣痛促進剤を投与し、すぐさま出産という流れに。
もう少し余裕をもっての出産になるかと思っていたので、予想外の展開に焦りを隠せませんでした。徐々に強くなる陣痛に耐えられるのか、無事に出産できるのかと次々に不安が浮かびあがりました。
医師からの衝撃的なひと言
陣痛促進剤を投与してから約2時間後、子宮口も全開大になり、いよいよ出産。しかしいざ「いきんで」と言われたときに、どのようにすればいいのかわからず、まったくじょうずにいきむことができませんでした。するとそれを見ていた医師が「へたくそ! そんなんじゃ生まれないぞ!」とひと言。
私はこの言葉を聞いて内心「へたくそって何!?」と思いましたが、医師はそのあとこう続けました。「わかるか? 今一番つらいのは赤ちゃんなんだぞ! ちゃんと呼吸してあげないと!」。
どうしてこんなにつらい思いをしながら怒られなきゃいけないのか、このときはまったく理解できませんでした。そんなふうに言われてもうまくはいきめず、やっとの思いで無事に出産することができました。
「ごめんね」と謝ってくれた助産師さん
無事に出産できてよかったものの、「こんなにいきむのが下手だなんて」と自分が情けなくなってしまいました。それを察してか、私のお産を介助してくれた助産師さんが、ベッドで休んでいる私のもとへ来て「ごめんね。先生、へたくそなんて言うことないのにね。でも赤ちゃんが出てくるときって、お母さんがしっかり呼吸をしてあげないと、赤ちゃんが苦しくなっちゃうの。だからもし次に出産するようなことがあったら、落ち着いて呼吸を整えてあげることを意識してみてね」と言ってくれました。
陣痛の痛みに耐えられるかどうかなど、自分の心配しかしていなかった私。出産の瞬間、赤ちゃんも苦しくなるだなんて思いもしなかったので、助産師さんの言葉を聞いて出産は本当に命懸けなんだと気付かされました。
助産師さんのフォローがあったおかげで、「へたくそ!」という言葉はこの医師なりの愛であり、赤ちゃんへの想いだったのかなとも思いました。それから私は3人の出産をしてきましたが、「出産は赤ちゃんも苦しいんだ」ということを念頭に置きつつ、落ち着いて臨めました。今となってはあのきつい言葉にも、感謝の気持ちでいっぱいです。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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著者:夏川さほ
10歳、8歳、3歳、0歳の男女4人の母。ステップファミリー。元コンビニ店員だが、第4子出産を機に退職し、現在はフリーライターとして活動中。自身の子育て体験談や商品レビューなどを執筆中。