こんにちは。3人の子どもを子育て中の小児科医、保田典子です。みなさんのお子さんは水、大好きでしょうか? それとも、怖がりますか? これからプールや水遊びが多くなる季節になりますが、子どもが水を怖がらないとお風呂などもラクになると思いますので、今回は「水を怖がる子」のための処方箋をお伝えしたいと思います。
「水を怖がる子」ってどんな子?
今までたくさんの子を見てきて、「水を怖がる子」は、その子の特性で怖がりな子が怖がってしまうパターンがとても多いように感じています。
水が全然平気な子は、水が鼻に入っても、ちょっとすべって水に頭ごとざぶんと入ってしまっても、また懲りずに水に向かっていくのです。
なので、水嫌いの子は水だけでなく、高いところに登る、乗り物(自転車や遊園地のアトラクションなど)に乗ることなども怖がりでできない・やらない子に、水を怖がる傾向があると考えています。
水を怖がってしまうと、プールも怖がってしまうので、水泳もなかなかレベルアップしにくいことがあります。
水嫌いの処方箋1:なにが嫌なのかをきちんと把握する
水が嫌い、水が怖いといってもいろいろあったりします。
0歳の子だと、「顔に水がかかる感じが嫌」だということが多いかと思います。1歳を過ぎると、漠然とした水への恐怖が出てくることがあります。2歳を過ぎると「溺れちゃうかも」みたいな想像が、水が怖い気持ちにつながります。
水を嫌がる・怖がるお子さんは、水がかかる「感覚」が嫌なのか、水に溺れてしまう「恐怖」が嫌なのか、それだけでも判断できるとその先の対処がラクになります。
水嫌いの処方箋2:子どもが「嫌なこと」はしない
水がかかる感覚が嫌なタイプの子は、まずはシャワーキャップなどで顔に水がかからないようにしてあげる方がいいでしょう。シャンプーのときはシャワーキャップを使って、顔を洗うときはなるべく顔にバシャッと水がかからないように、手で水をよけてあげながら洗ってあげることがいいでしょう。無理に水に慣れさせようとすると、かえって水嫌いが長引く可能性があります。
溺れる想像による恐怖心で水を怖がってしまう子は、お風呂の湯船は大丈夫でも、プールに入れないという子が多いです。この場合は、プールに入るときにずっとしっかり抱っこしてあげて「絶対安全」と子どもに感じさせるような状況にします。
抱っこのまま、ちょっとずつプールに足をつける、腰まで入ってみるなどプールに少しずつ慣れさせてあげましょう。また、アームリングなどの浮き輪をつけてあげて「安全だよ」という気持ちを高めてあげるなどして、ちょっとずつ「大丈夫の範囲」を広げていくようにしてあげましょう。
水嫌いの処方箋3:スモールステップで慣れていく!
水嫌いの子、水が怖い子でも、子どもはだいたい「水遊び」は大好きです。プールは嫌でも、お風呂に顔をつけるのは嫌でも、水遊びは好きなんです。不思議ですね。
なので、水が怖い子が少しでも水に慣れてもらう第一歩としては、水遊び風にして水に慣れてもらうことです。
水遊びといっても、水が怖い子のための水遊びは、タライや浅いビニールプールに水を張って遊ぶことからが良いと思います。わが家ではお風呂の洗い場に小さいビニールプールを置いて、水遊びをしていました。暑い日のシャワーは、あせも対策にも良いので、「お風呂プール作戦」はオススメですよ。
お風呂プールは裸でも、水着を着てプール気分を盛り上げてもいいですね。0歳、1歳の子は水着でテンションは上がらないと思いますので、裸でよいと思います! 2歳以上であれば、水鉄砲などの水を使うおもちゃをお風呂で使ったり、プール遊びなどで水鉄砲で水を顔にかけたりして水に慣れていきましょう。公園のじゃぶじゃぶ池などもいいですね。
赤ちゃんや小さいお子さんの場合、水深数センチでも溺れる可能性がありますので、子どもから目を離さないように気を付けましょう。
水嫌いにならないために
「溺れてしまいそうで怖い」という感覚は、その子の特性でのちのち出てきてしまうものなのですが、「顔に水がかかる感覚が嫌」はある程度、経験も関係してきます。
生後すぐの沐浴などでは、水が顔になるべくかからないように丁寧に洗ってあげたりしますが、沐浴のときからある程度おおざっぱに洗って顔に水がかかるのに小さいときから慣れてもらうと、水が顔にかかっても平気になります。
「溺れそうで怖い」に関してもベビースイミングなど、小さいうちからプール慣れしておくと発症予防になることが多いかなとは思います。水遊びが気持ちいい季節になりました。赤ちゃんを育児中の方、お子さんが水を怖がるという方はぜひ参考にしてください。