最年少患者で人気者の娘
当時住んでいた家の近所にあった耳鼻科医院は「診察が丁寧」と地元では評判が良く、いつも混み合っていました。待合室はなぜかコの字型にソファが配置されていて、患者同士の視線が否が応でも合う作り。
そんな中、当時1歳でよちよち歩きの娘は誰にでも愛想が良く、常連になるにつれ医院のスタッフやほかの患者さんたちにもやさしく声をかけていただくなどして、とてもかわいがられていました。
「今日はパパと?」思わず言葉につまる私
その日も待合室は混んでいて、娘はいつものようにほかの患者さんに手を振ったり、絵本を読んだりしながら機嫌よく私の膝の上で診察の順番を待っていました。ようやく娘の名前が呼ばれたので返事をしながら娘を抱えて立ち上がると、診察室から顔を出した顔なじみの医師にこう言われました。「あら! 今日はパパと? 良いわね~」
その日娘の付き添いは私だけ。医師には私が「パパ」に見えたのだ! と思い至りはしたものの、とっさにどう返してよいのかわからず思わず絶句してしまいました。
どこに行くにも最低限の身だしなみを!
医師はすぐに間違いに気づき「あ! ごめんなさい」と焦って謝られましたが、私は恥ずかしいやら申し訳ないやらで身の置き所がありませんでした。かなり大きな声だったので、待合室中に聞こえていたと思うと、ますます恥ずかしかったです。
実は私は女性としてはかなり身長が高く、その日は娘を抱っこしながらでも着られるようにと夫のコートを羽織っていたのです。だとしてもまさかこの年で男性に間違われるとは! と少なからずショックを受けたと同時に、着飾らないまでも身だしなみは整えねばと反省しました。
私は子どものころから身長が高く、中学生くらいまでは着る服によっては男の子に間違われることもありました。しかしまさか母親になってまで男性に間違われることになるとは思っていなかったので、どう返事をしてよいのか考えつかずとっさに反応できませんでした。あのとき待合室に漂った気まずい雰囲気を思い出しては笑ってしまいます。
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監修/助産師 松田玲子
著者:川木みさ
7歳差の1男1女を子育て中。英検1級、児童英語指導者TEYL取得。海外サイトの翻訳や子育て体験談の執筆活動中。