常に様子を見ながら、子ども主体で遊ぶことが大切
小崎先生は保育士の経験を持つ、3児の父。お子さんが生まれるたびに育児休暇をとって、育児に関わってきた先輩パパでもあります。そんな小崎先生いわく「子育てとは、子どもの間違いや失敗を許して認めること」とのこと。でもそれは、男性にとって意外に難しいことかもしれないと言います。
「仕事をする上では、“間違ってもOK”という価値観は受け入れづらいものです。仕事中、そういった意識で過ごすことが多いと、なかなかそのモードが抜けきれない場合もあると思います。でも、子どもってすぐにふざけるし、集中しないし、間違える。だけどそれが子どもというものなんです。まずはそれをパパが理解することが大事でしょう」
そして、子どもと遊んでいるときも「子どもの様子を見る」ことがとても大切だと話します。パパがやりがちなのは、遊びに集中するあまりにパパが主体となって楽しんでしまうこと。子どもと遊びながらも常に、「飽きていないかな? 怖がっていないかな?」と様子を確認して、子ども主体の遊びを楽しみましょう。
NG1:正解にこだわる
絵本の読み聞かせをしながら、「これはなーんだ?」と質問するパパ。子どもが答えを間違えるとそれを指摘して正しい答えを教えたり、内容を正しく理解しているかをチェックしたり!? そのやりとりって必要なの?
小崎先生:「パパの『正解をきっちり教えたい!』という気持ちもわかりますが、それって自分主体の考え方で絵本の読み聞かせをしていますよね。それでは子どもは楽しくありません。子どもは間違えや失敗をするけど、そこから必ず成長して変化していくという、正しい「子ども観」を理解しましょう。内容の理解を求めたり、教え込んだりしなくていいんです。ただ単純に、絵本の世界を一緒に楽しみましょう」
NG2:怖がっているのにやめない
“高い高い遊び”や“飛行機ごっこ”など、腕力のあるパパならではのダイナミックな遊びをしてくれるのはいいけど、たまに子どもが怖がっています。それでも「怖くない怖くない!」と言って続けたり……。
小崎先生:「パパ主体で遊ぶのはNGですね。なかには子どもが怖がることを面白がるパパもいますが、これは本当にダメ。子どもにとっては、安心・安定できる環境がとても大切です。安心できるからこそ、パパとの遊びを楽しめるし、段々とスキルアップできるんです。
私が主催する“パパと遊ぼう”というプログラムでは毎回、『子どもの顔を見てね』と話をしています。ダイナミックな遊びのときこそ、子どもの顔や表情をしっかりと意識しましょう。そして、パパのペースではなく、子ども中心のペースで楽しむことが大切。遊具遊びも同じ。もし子どもが怖がっていたら、怖がる気持ちを受け止めて、パパが助けてあげましょう。子どもは心から安心できて、初めて冒険や挑戦に向かっていけるんですよ」
子どもっぽい遊びが苦手なパパはどうしたらいい?
子どもとどう接していいかわからない、子どもっぽい遊びが苦手、なんか恥ずかしい、体力が持たない……など、子どもと遊ぶのが得意ではないパパはどうすればいいのでしょうか。
小崎先生:「最近、よく寄せられるお悩みです。子どもと遊ぶのが得意なパパがいれば、不得意なパパもいるでしょう。もちろん無理に遊ぶのは大変だし、パパがイヤイヤ遊んでいたらそれは子どもに必ず伝わります。であれば、パパの得意なことや興味のある分野に子どもを引き入れましょう。
野球やサッカーなどのスポーツに限らず、鉄道やプラモデルなどの趣味や好きなことで構いません。ボードゲームは2歳から楽しめるものもあっておすすめだし、筋トレ好きのパパは、子どもを乗せて腕立て伏せやスクワットなんかをやってもいいじゃないですか。そんなパパの好きなことから、子どもの興味を広げてほしいですね」
そして、ママへのアドバイスも。
小崎先生:「ママは、そんなパパの趣味や好きなことを否定せずに、一緒に楽しんでほしいです。子どもの理解が進むように、中立的な立場で見守ってあげることも大切でしょう」
子どもは遊びを通して成長します
「子どもにとって遊びは大切。子どもは遊びを通してたくさんのことを学習し、成長します。それはパパだけでなく、ママにも知っておいてほしいこと。育児に絶対的な正解や間違いはないので、あまり窮屈に考えず、もっと自由に子どもとの時間を楽しみましょう。でもそれは、子ども主体であることが大前提です。育児も遊びも、常に子どもの様子を見ながら、子どもの負担にならないように進めること。子どもが安心して楽しめる遊びを通して、子どもの成長や変化を、長い目で見守る視点を持ちましょう」
取材・文/早田佳代