困った! 勤務時間を延ばすよう打診され……
職場復帰して1年ほど経ったとき、直属の上司が異動し、他部署から明るく元気で仕事に熱意のある上司が着任されました。高校生の娘さんを育てるママです。
着任後すぐに、私を含む時短勤務している社員だけ呼び出されました。そして、「今後はフルタイムで働いてほしい」、「残業もできるだけしてほしい」と言われたのです。私が勤める会社で時短勤務している人は、全員が小さい子どもを育てるママでした。みんなが勤務時間を増やすことは現実的に難しい旨を伝えると、上司は厳しい表情になりました。
時短勤務はやる気がない証拠!?
さらに、上司はこのように言いました。「私の子どもが小さいとき、早朝から夜遅くまで保育園へ子どもを預け、保育園が休みの土日は両親を頼り、仕事をしていました。工夫をすればできます。時短勤務しかできないのは仕事にやる気がない証拠です」と。あぜんとして何も言えない空気が流れました。
両親に助けてもらえる環境ではない人、子どもを長時間預けられる保育園が近くにない人もいます。そして、私は仕事も大切ですが、子どもと過ごす時間も大切に思っています。会社の制度として時短勤務は認められており、時間内は一生懸命に働いている私たちに対し「やる気がない」と言い切られ、理解してもらえない悔しさが残りました。
さまざまな考え方の人がいるということ
その後、別の上司から「各々の家庭事情があるので、フルタイム勤務の強要はできない」と話があり、私たちは今まで通り時短勤務で働いています。しかし直属の上司の考えを知り、ママたちの中にはモチベーションが下がり退職してしまった人もいます。
確かに勤務時間が短い方がいると、他のフルタイムで働く方へ少なからず業務負担のしわ寄せがくるとは思います。そんな中で時短勤務の私たちは申し訳ないと思いながらも、一生懸命に働いています。上司が自分の経験だけで私たちを「やる気がない」としたことは悔しいことではありますが、同じママでもそのような考えの方がいるということを知りました。
最終的には上司に自分たちの意見を言えず、現状は何も変わっていません。しかし、大きな学びはありました。同じママでも考え方は人それぞれだということ。私も無意識に自分の経験だけで物事を断定するようなことはしていないか、見直す機会にもなりました。今回のことがあって以来、自分の経験がすべてではなく、常に相手のことを考えた言動ができるよう気をつけています。
著者:海原えめ/40代女性・会社員。2017年生まれの息子と2022年生まれの娘を育てるアラフォー母。2児のワンオペ育児に奮闘する毎日。サービス業で働きながら、幼児食インストラクターとして活動している。
作画:山口がたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています