子育て世代の家計相談で教育費や保険の見直しに次いで多いご質問が住居費についてです。中でも多くの方が利用されている住宅ローンは、ご自宅を購入したときだけでなく、その後の定期的な見直しが必要になることも少なくありません。
2016年2月から始まったマイナス金利が、住宅ローンの金利を一段と下げるきっかけになったのですが、フラット35(35年間固定のローンの一種)を始めとする長期間固定金利の住宅ローンは、9月からわずかですが上昇してきました。2016年10月の状況を踏まえて、住宅ローンの見直し・借り換えのポイントをお伝えします。
9月から金利に対する傾向が変わった
2016年10月のフラット35の金利は1.06~1.61%です。この金利は2003年の制度開始以来、最も低い2016年8月の0.9~1.57%と比べると若干上昇しています。この上昇の理由としては、9月に行われた日本銀行の今後の方針について、短期のマイナス金利は継続しながら、10年以上の金利は上昇させるように方針が切り替わった影響を受けたことがひとつの要因です。
長期の住宅ローンの金利がすぐに急上昇するとは限りませんが、今までの金利水準から少しずつでも上昇する可能性が出てきましたので、1.5%より高い固定金利で現在の住宅ローンを利用している方は、借り換えした方が有利かどうか検討されるといいでしょう。
借り換えだけが負担を下げる方法ではない
住宅ローンの負担を下げるには、借り換えがひとつの手段であることは間違えありません。しかし、手数料や諸経費が掛かるため、借入時の金利と現在の金利の差があるだけでは負担を軽減できない可能性もあります。あくまでも参考ですが、以下に当てはまる場合は、借り換えの検討をしてみましょう。
①ローンの借入残高が1000万円以上
②ローンの借入期間が10年以上
③ローンの借入金利が現在のものより1%以上高い
借り換えをするにあたってのポイントや繰上返済は、今年1月の記事ですが、「今年からはじめる家計管理① 住宅ローン編」をご参照ください。
また、住宅ローンの負担を軽減するには、現在借りている銀行等への金利交渉があります。借入時の金利が高い場合は、現在の金利よりは少し高い条件とはなりますが、手数料もあまりかからず、手続きも借り換えよりは簡単にできる可能性があります。
たとえば、2010年に2.2%の固定金利で借りたローンを、1.5%の金利に下げてもらう交渉をすることです。金融機関や支店ごとに交渉ができるかどうかは異なりますが、別の金融機関との比較で借り換えを検討していることを伝えて交渉してみるのも一つの方法です。
いずれにしても金利が上がってしまうと、借り換えにしても金利交渉にしても金利が低いメリットを受けにくくなりますので、現在住宅ローンを利用している方は、借りたローンの金利と現在の金利と比べて今後どうするかを考える機会にしてみましょう。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。