閉経後の腟・子宮・卵巣はどう変わる?
全体的に衰えて機能が低下
生理がなくなると、腟・子宮・卵巣にはどんな変化が表れるのでしょうか。
「閉経すると子宮と卵巣は基本的には機能しなくなります。卵巣は女性ホルモンのエストロゲンを分泌する機能がありますが、閉経とともに分泌されなくなります。
エストロゲンには、コラーゲン、脂肪組織、水分の保持能力があるため、閉経後分泌されなくなると、肌や粘膜の弾力性が失われて薄くなり、バリアー機能も抵抗力も低下してしまいます。
また、腟の粘液が減り、組織が薄くなります。乾燥して自浄作用が弱まり、細菌などに感染しやすくなります。
腟の粘液が減り、乾燥しやすくなるので性交時には痛みを伴うことが多くなります」(駒形先生)。
閉経しても濡れるの?
興奮すれば、閉経後も濡れる
それでは、閉経後は粘液が減る=濡れにくくなるのですね。
「はい。閉経に向かう更年期の前半からエストロゲンは減っていくので、すでに濡れにくくなっている方も多いでしょう。
でも、エストロゲンは急激に減っても、男性ホルモンのテストステロンは緩やかに減るので、一定量を維持しています。そのため、閉経後は相対的にエストロゲンよりテストステロンが多い状態になるので、ちょっと性欲が上がる女性もいるのです」(駒形先生)。
やる気はあっても濡れないという……。閉経後はもう濡れることはないのでしょうか。
「濡れるか濡れないかは、実は興奮の度合いで決まります。
どんなことで興奮するかは人によって違いますが、触覚、視覚、聴覚など性的刺激を五感で感じられるシチュエーションがあれば、閉経後でも濡れます。もちろん、量的には若いときと同じというわけではありませんが」(駒形先生)。
やっぱり濡れないときは?
マッサージをしたり、潤滑ゼリーを活用したりしても
長年連れ添った夫には興奮しないという女性も多いでしょう。やっぱり濡れないときはどうすれば良いでしょうか。
「腟口と肛門の間にある会陰をマッサージしてみましょう。人差し指から小指までの4本の指を会陰に当てて、やさしく円を描くようにマッサージします。会陰のツボを押すことで、東洋医学において女性特有の症状の治療に使う任脈という経路を活性化させることができます。
市販されている潤滑ゼリーを活用しても良いですよ。ただ、品質に差があるようなので、いろいろ試してみると良いでしょう。
痛みを我慢しながら性交するのは楽しくないですし、濡れないまま性交を続けて傷がつき、細菌感染をして膀胱炎や腟炎などになる原因にもなります。無理をせず夫婦のコミュニケーションを楽しみましょう」(駒形先生)。
まとめ
濡れるために一番必要なことは「興奮」ということ。濡れない原因は、体だけではなく、心、気持ちも関係していることに改めて驚きました。40代、50代で「興奮」するシチュエーションをどう作るか。痛くない夫婦生活のカギはそこにあるようです。
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取材・文/岩崎みどり
ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重あごが悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。