楽しかったはずの会話は、苦痛の時間に
里帰り出産を終えて自宅に戻ると、ワンオペ育児が始まりました。夫は仕事で忙しく覚悟はしていたものの、新生児との生活は疲労困憊の毎日。自分のトイレもままならず、細切れで短い睡眠時間しか確保できていませんでした。
そんな生活の中、仕事を終えて夜遅くに帰宅した夫は、寝るまでの約2時間弱ずっとしゃべり続けます。私は「休みたい」と思いながらも、以前夫から「会話が一番のストレス発散になる」と言われたことがあったので、話を遮ることはしませんでした。
出産前はあんなに楽しいと思っていた夫との会話が、だんだんと負担に感じるようになっていたのです。
ちょっと黙ってくれない!?
ある日、私の話の聞き方が気に入らなかったらしく、「ろくに相槌もせず、興味なさそうに話を聞かれて気分が悪い」と夫を怒らせてしまいました。
その日は、義両親の突撃訪問もあってとても疲れており、いつの間にかボーッとしていたようです。私はすぐに夫に謝ったものの、睡眠・休息時間を削って毎日のように話を聞いているのにと納得できませんでした。
そして、これまでのモヤモヤが募り……数日後、いつも通り話す夫に向かって「うるさい! ちょっと黙ってくれない!?」と怒りを露わにしてしまったのです。
あまりの言い草に夫はカチンときたようで、この一件以降、私たち夫婦はあいさつ程度の会話しかしない冷戦状態が続きました。
快適になったけど、このままで良いのかな
深夜の会話タイムがなくなり、負担が減って私の気持ちはラクになりました。仲直りはしたいけれど、以前のように会話タイムを再開する気力は湧きません。どうしたものかと考えているときに、SNSである投稿が目に留まりました。そして、その方法を試してみることに。
その方法とは、私の1日のスケジュールを書き出して夫に育児の大変さを知ってもらうということ。早速試してみたところ、夫は想像以上に私の睡眠時間が細切れで驚いていました。
”寝る子は育つ”のことわざを信じて、「わが子が順調に育っているのはしっかり寝ているからだと思っていた」と言われ、私は愕然。
毎日、子どもの様子を伝えていたはずなのにと悲しくなりました。試しに、夜泣きの対応をしてもらうと、1日で音を上げる始末で、育児の大変さを少しは理解してくれたようです。
それからは、お互いの意見を取り入れ、深夜の会話タイムは1時間以内で、疲れているときは私の睡眠を優先することにしました。
しばらくして夫は転職。職場の環境も変わり、第2子の育児には積極的に参加してくれるようになりました。もう笑い話になりましたが、夫は「あのときの俺の無理解はひどい」と今でも言います。
ワンオペ育児で私の生活は大幅に変わりましたが、育児にほぼ参加していなかった夫は、第1子誕生後も大きな変化はなく、育児の大変さがうまく伝わっていませんでした。また、私が子どもの様子を話すとき、いつも笑顔だったためつらそうに見えなかったそうです。
あのとき、急いで仕上げた手書きの1日のスケジュールは、決して見やすいものではありませんでしたが、数年後の会話タイムを取り戻すきっかけになってよかったと思っています。SNSの育児・父親育ての知恵に感謝しています。
ちなみに成長した子どもたちもおしゃべりが大好きになり、賑やかな毎日を送っています。
著者/田畑 菜々
作画/おんたま
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