転勤族になって
私は結婚すると同時に、夫の転勤について行く転勤族になりました。転勤があるということを覚悟してはいたものの、いつあるかわからない引っ越しや、知らない街で暮らすことの大変さは想像以上。
遠方へ引っ越すときは、現地で新居の内覧はほとんどできず、引っ越しの荷物を運び出してから運び入れるまで3日かかることもありました。引っ越し後はスマホの情報を頼りにスーパーや病院を探し回り、慣れるまで迷ってばかり。地方の場合だと、お店の人や看護師さんの方言をうまく聞き取れない場合も多く、「今のはどういう意味ですか?」 と聞き返すこともしばしば……。
夫以外頼れる人がいない…
また実家から離れたところでの妊娠生活や子育ては、とても不安でした。何かあっても頼れるのは夫だけ。夫がいない間はひとりで何とかするしかない、いわゆるワンオペの状態でした。
特に2人目が生まれてから数カ月は、大変すぎて記憶がほとんどありません。探せば頼れる場所はあったのかもしれませんが、当時の私はいっぱいいっぱいでそこまで頭が回らず……。私は次第に「夫や子どもが毎日一緒にいるのに、いつもひとりで何かと戦っている気がする、とにかく孤独だ」 と感じるようになったのです。
「転勤族や周りに頼れる人がいない人は、みんなこんなに大変なんだ、私にはつらすぎる……結婚相手を間違えたかもしれない」 と思ってしまうこともありました。
悪いことばかりじゃない
孤独を強く感じていたある日、夫の同僚の奥さんに出会いました。その人は夫の会社の食事会で初めて会ってから、何かと私を気にかけ食事や外出に誘ってくれるように。
会うたびにお互い転勤族の大変さを共有したり、その街のおすすめのお店を教え合ったり、楽しい時間を過ごすことができました。そしてその人は、「転勤族は大変だけど、知らない街での観光気分が味わえるし、ご当地のおいしいものも食べられる。新しく人と出会えるのもいいよね」 と、とても前向きに転勤族ライフを楽しんでいたのです。
その人と出会ってから、私の意識も変わりました。孤独感は減っていき、転勤族は悪いことばかりじゃない、と思えるようになったのです。
後から聞くと、その奥さんとの出会えたのは、夫が同僚に「妻が孤独でつらそうだ」と話してくれたことがきっかけだったようです。夫と、夫の同僚の奥さんのおかげで、私は別の街に引っ越した今も前向きに過ごすことができています。もし以前の私と同じように悩んでいる人がいたら、やさしく声をかけられるような人になりたいと思った経験でもありました。
著者/斉藤ひかり
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!