前回の記事:「教育費も老後資金も足りない…」結婚後によくある金銭トラブル・失敗とは?【FP監修】
答えてくれたのは……
ファイナンシャル・プランナー 山本昌義氏(山本FPオフィス 代表)
商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て、2008年8月に山本FPオフィス開業。現在は日本初の「婚活FP」として、お金と恋愛・婚活・結婚・離婚などの両面に精通し、さまざまな相談・執筆・講師活動を行っている。最近ではオンライン児童館にてライフプランセミナーも随時開催中。
お財布一緒のメリット・デメリットって?
お財布一緒・別々の世帯の割合
まず、独立行政法人 労働政策研究・研修機構がおこなった2021年度の調査によると、共働き世帯は68.8%、専業主婦(夫)世帯は31.2%です。
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構『専業主婦世帯と共働き世帯 1980年~2021年』
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html
また、株式会社ベビーカレンダーが既婚者945人を対象にアンケートを実施したところ、
「夫婦のお財布は一緒」と答えたのは全体の53%、「夫婦のお財布は別々」と答えたのは39.9%、「その他」が7.1%で、お財布を一緒にしている世帯が多いとわかりました。
※有効回答数:945名、アンケート実施期間:2022年6月27日〜7月4日
さらに、株式会社OsidOriが2019年9月17〜18日に、25〜39歳の既婚または婚約済みの女性817を対象にアンケート調査を実施したところ、共働き世帯では「分担制(お財布別々)」が53%、「合算制(お財布一緒)」が47%だったのに対し、専業主婦(夫)世帯では「分担制(お財布別々)」が25%、「合算制(お財布一緒)」が75%という結果に。
共働き世帯では「お財布別々」の割外がやや多く、専業主婦(夫)世帯では「お財布一緒」が大半を占めていることがわかりました。
参考:株式会社OsidOri『共働き夫婦のお金の管理は「分担制」へ。「お金の話をもっとしたい」が7割超える。』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000047164.html
お財布を一緒にするメリット・デメリットとは?
「そもそも、お財布が一緒とは一般的に、夫婦二人の収入をひとつの口座に振り込んで管理することを指します。ただし、お互いの個人的な貯金や、相続分などは別管理にするのが基本です。
お財布を一緒にする最大のメリットは、お互いが家計状態を正確に把握できて、家計管理がしやすいことです。お互いに毎月の収支(収入・出費)や残高を常に把握できるので、ちょっとしたお金の相談もしやすくなります。また、相手が浪費家であれば無駄遣いをしないよう監視することができ、無駄な出費を抑えられる点もメリットのひとつです。
一方で、私が考えるお財布が一緒のデメリットは、離婚したいと思ったときに相手と揉めやすいことです。夫婦で口座をひとつにしていると、いざ離婚をするとなったときに、口座に貯めていたお金をどう分けるかなどの相談や手続きで揉めることがよくあるのです。」(山本氏)
お小遣いの管理は妻側がするのが普通? お小遣い金額の平均は?
株式会社UOCCは2021年5月14〜19日の期間に、20歳から60歳の既婚者500人を対象に、お小遣いの平均金額にかんするアンケート調査をおこないました。対象者の平均世帯年収は、642万円で、44.4%が専業主婦の家庭です。
「家計のやりくりをおこなう人は?」と質問したところ、「妻」が57.0%、「夫」が13.4%、「2人で一緒に」が29.6%で、妻側がお小遣いを管理しているケースが最も多いとわかりました。
※参考:
Spicomi『【TV掲載】旦那のお小遣いの平均金額相場は?夫と妻でどのくらい違う?』
https://spicomi.net/media/articles/2972
株式会社UOCC
https://uocc.co.jp/
ちなみに、新生銀行の『2022 年会社員のお小遣い調査』によると、お財布を一緒にしている世帯においての平均お小遣い額は、夫3万8642円、妻3万3278円という結果になっています。
※参考:新生銀行『2022年会社員のお小遣い調査』
https://www.shinseibank.com/corporate/news/pdf/pdf2022/220627_OkozukaiSurvey_j.pdf
お財布別々のメリット・デメリットは?
「一般的に、お財布が別とは、お互いの収入を別々の口座で管理することを指します。その上で、生活費口座や子ども用口座、貯金口座などを別で作るのが定番です。
お財布を別々にするメリットは、自分の収入額や貯金額を隠すことができ、相手にお金の使い方を干渉されないことです。お財布を別々にしておけば、自分で稼いだお金を、相手に干渉されずストレスフリーに使うことができるでしょう。夫婦それぞれが自分自身でお金の管理をしているため、もし離婚するとなったときには煩雑な手続きが少ない、という面もあります。
また、お財布別々のデメリットとしては、貯金に失敗しやすいことが挙げられます。お互いのお財布事情が分からないので、お互いに「相手がきちんと貯めていると思っていた」と頼ってしまい、自分は貯金できていなかった、というケースをまれに見かけます。」(山本氏)
お財布別々で貯金に失敗しないためには?
「お財布を別々にした上でしっかり貯金をしたい。そう考えている方は、以下の3つを心がけましょう。
- まずは貯金する意思を強く保つこと
- 必ず共同口座をひとつ以上作ること
- 家計の管理はどちらかひとりではなく、夫婦二人でおこなうこと
そもそも、「貯める気」がなければお金は貯まりません。もし、あなた自身に貯金が苦手という意識があるのであれば、先取り貯金を検討するなどして、おのずとお金が貯まるようにしましょう。
次に、お財布が別々だとしても、必ず共同口座をひとつ以上は作るようにしてください。共同口座をひとつだけ開設するなら、まずは「貯金口座」を作りましょう。これは、とにかく貯金を優先するためです。
もっと理想的なのは、「貯金口座」と「生活費口座」の二つを分けて作ることです。生活費口座ができれば、毎月の出費を正確に把握することができます。また、「子ども用口座」(子どもにかかるすべてのお金を貯めておくための口座)を作るのもいいかと思います。
お財布を別々にすると、世帯全体の収支を把握しにくくなります。そのため、「相手が貯めてくれていると思っていて自分は貯金していなかった」といった失敗をしないよう、夫婦二人で家計簿をつけ、家計を管理することが非常に大切です。」(山本氏)
結婚後の家計管理方法は、いつまでに決めるべき?
「これから結婚を考えている方は、遅くとも、第一子が産まれるまでにはお財布を一緒にするか別々にするかを決めておきましょう。
子どもが生まれてから家計の管理方法を決めるのではタイミングが遅く、子どもにかかるお金を慌てて準備しても間に合わない恐れがあります。子どもにきちんとお金をかけてあげるためにも、第一子が生まれるまでには、お財布を一緒にするか別々にするかを夫婦で話し合って決めておき、その上で管理体制を整えておきましょう。」(山本氏)
お財布を一緒にするか別々にするか、どう決めたらいいの?
「お財布を一緒にするか別々にするかは、結局のところ、夫婦で話し合って決めるしかありません。それぞれの意見をすり合わせ、お互いが納得できてベストだと思う管理方法を選びましょう。
もし、お互いの意見が異なる場合は、ファイナンシャル・プランナーや信頼できる友人など、中立立場になってくれる第三者を交えて話し合うのもいいかと思います。もしくは、ライフプラン(今後の人生をどう生きていきたいか・そのために生涯でいくら必要か、計画を練ること)を先に二人で相談しておくと、先の見通しがわかり、管理方法が選びやすくなるかもしれません。
ちなみに、お財布を一緒にするか別々にするかは夫婦で話し合って決めましょうとお伝えしましたが、ファイナンシャル・プランナーとして長年たくさんの夫婦の相談に乗ってきた私としては、正直なところ、お財布は一緒にすることをおすすめしています。理由は、お財布を一緒にしておくほうが家計管理がしやすいうえ、離婚しづらくなるからです。つまり、お財布を一緒にすることは離婚防止につながる(結婚生活を長く続けるための対策にもなる)のです。
ですので、これから結婚される方に対して基本的に私は、結婚を機に心とともにお財布も一緒にすることをおすすめしています。」(山本氏)
今回は、「お財布一緒VSお財布別々」をテーマに、それぞれのメリット・デメリットや貯金のコツなどをお伝えしました。
お金のプロである山本氏は「結婚したのならお財布は基本的に一緒にすべき」と主張しています。しかし、「自分で稼いだお金なのだから自由に使いたい」「収入額を相手に知られたくない」と思う方も一定数いるのではないでしょうか。
その場合は、相手の意思を尊重しながら夫婦で話し合い、お互いに納得できる管理方法を探してみましょう。お財布を一緒にするにせよ、別々にするにせよ、大切なのは「二人でしっかり話し合って家計管理方法を決め、二人で一緒に家計管理をする」ことです。
次回は、引き続き、夫婦での家計管理に悩んでいる方に向けて、「家計管理で悩んでいる夫婦からファイナンシャル・プランナーへのよくあるQ&A」をご紹介いたします。
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!